2023-01-01から1年間の記事一覧

やさしくて、卑屈な、かよわき者の国に;高島屋とダイハツ問題

高島屋がクリスマスケーキ問題で「原因の特定は不可能」とコメントした。「ケーキを作って、凍らせて、配送する」といった至って単純なプロセスにもかかわらず、「原因がわからない???」はいかにも日本的だ。誰かに非難が集中するのを回避したかったのだ…

妊婦のつわりは胎児が産生するホルモンに関係する?

Nature誌に「GDF15 linked to maternal risk of nausea and vomiting during pregnancy」というタイトルの論文が掲載されている。また、News&vews欄で「Pregnancy sickness linked to hormone from fetus」と紹介されている。GDF15(growth differentiation…

腫瘍浸潤性リンパ球療法が承認間近か?

Nature Reviews Drug Discovery誌のnews欄に「Tumour-infiltrating lymphocyte cancer therapy nears FDA finish line」という記事が出ている。表題の通り、腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)が米国FDAに承認される日が近づいてきたのだ。 米国癌研究所のローゼンバ…

希少疾患の治療薬開発;台湾での感動!

12月8日から2泊3日で台湾に行ってきた。今年、3回目の台湾出張だ。誕生日の夜を一人寂しく過ごす結果となったが、台湾出身で米国在住の二人の研究者の発表は聞いていて有意義だった。特にスタンフォード大学のJean Tang教授の発表には感動さえ覚えた。 Gorli…

今ごろ、派閥会長を辞める大悪手

今ごろ、岸田総理が派閥会長を辞めると告げた。2週間少し前には、内閣総理大臣が派閥会長を続けるのはおかしくないって言ってたのに? 私は、岸田総理が米国のギングリッチ下院議長(当時)と一緒に元統一教会幹部と会ったことは馬鹿メディアのやりすぎだと…

原子爆弾から学ぶこと

12月3日号のNew England Journal of Medicine誌に「Learning from the Bomb」と言う記事が掲載されている。ハーバード大学の公衆衛生学の名誉教授のBarry Bloomさんが書かれたものだ。毎年8月になると、彼の気持ちが落ち込むという文章から始まる。理由は広…

日本の人間教育の闇

日本大学の混乱が収まらない。アメフト部を廃部すると決めたと報道があったが、その決定を継続審議としたそうだ。一部の部員が起こした大麻問題のために、残りの人たちが犠牲になるのは望ましくはないと考えていたが、裁判で「副学長がもみ消してくれるかと…

サル不足に付け込んだ野生猿のロンダリング

日本は相も変わらず、国際的な情勢に無関心である。おおよそ80年前に焦土と化した過去を忘れ、ウクライナ問題などもはや忘れ去られている。国民や領土を守るための基本事項、たとえば、実験動物、とくにサルの確保には何ら手を打っていない。 11月16日のNatu…

「海軍兵学校・五省」

SNSでの誹謗中傷が止まらない。 おかしな世の中になってきたものだが、政治家が恥さらしの行為をしているのだから誹謗中傷は仕方がない。それにしても、こんな人を国会議員にしていいのかと思っても、選ぶ人がいるのだからそれも仕方がない。 人として、して…

徳洲会グループ50周年;離島医療に果たした貢献は多大

昨夜開催された「徳洲会グループ50周年記念パーティー」に出席した。700名が参加された盛大なものであった。残念ながら、そこにはALSという病気で闘病中の徳田虎雄先生の姿はなかった。私が東京大学医科学研究所で始める予定だったバイオバンクジャパンに協…

見事なまでの政務三役の不祥事内容と担当省庁との関係

ようやく財務副大臣が辞任に追い込まれた(罷免された)。しかし、不祥事の内容と彼らの担当する省庁との関係は、お見事と言うしかない。大喜利であれば、座布団5枚という声が出そうなまでの絶妙な関連性だ。 文部科学政務官―男女の不適切関係 法務副大臣―選…

フェイク論文は科学分野での大きな問題だ!

Nature誌11月5日のNews欄に「How big is science‘s fake-paper problem?」という記事が掲載されている。Paper millsと呼ばれる論文製造工場によって生み出された論文数が過去20年で40万を超えるという。昨年だけで約7万と推測されており、2022年に公表され…

税金滞納差し押さえ議員が財務副大臣の愚

財務省の後ろ盾を失うと政権が揺らぐと言われている。今回の減税の財源原資がないと財務大臣が発言したことは、大きな意味を持つ。「税金増収分の還元」という「減税の大義名分」が失われたことを意味する。これだけでも大変なのに、さらに大変な事態が起こ…

米国友人の嘆き;関西空港は米国の空港より悪い

大阪で開催された「がん撲滅サミット2023」で、久しぶりに米国の友人に出会った。彼は開口一番「関西空港の入国手続きは最悪だ」と私に訴えた。「どうして日本のメディアは、この劣悪なシステムを問題にしないのだ」と一気に私に畳みかけた。私はメディ…

強直性脊椎炎に対する抗HLA抗体療法;他の自己免疫難病にも応用可能か?

Nature Medicine誌のオンラインで「Targeted depletion of TRBV9+ T cells as immunotherapy in a patient with ankylosing spondylitis」という論文が掲載されている。免疫療法が強直性脊椎炎に効果的である可能性を示唆したものだ。強直性脊椎炎は背骨を中…

骨髄移植後の拒絶反応を消化しにくいデンプンで抑える??

10月19日のNature Medicine誌に「Feasibility of a dietary intervention to modify gut microbial metabolism in patients with hematopoietic stem cell transplantation」という論文が掲載されている。直訳すると「造血幹細胞移植患者の腸内微生物による…

やせ薬の副作用?

歌手の谷村新司さんが天に召された。心よりご冥福をお祈りしたい。 私が外科医として勤務していた1880年に発売された「昴」だが、勤務していた病院や留学当初のユタ大学で、行き詰っていた自分をこの歌を聴きながら励ましていた日々が懐かしく思い出され…

同じデータでも、研究者・解析手法が異なると異なる結果???

10月12日のNature誌のNews欄に「Reproducibility trial:246 biologists get different results from same data sets」という記事が掲載されている。 以前から一流紙に掲載された結果に再現性がないという指摘がされている。一流紙に掲載される論文は、画期的…

経済安全保障と国家安全保障

日本では「経済安全保障」対策が実施されつつあるが、どうも「経済安全保障」と「国家安全保障」は別物のようだ。私のような凡人は、「国家安全保障」が成り立ってこその「経済安全保障」だと思うのだが、どうも定義があいまいだ。医薬品開発、特に、感染症…

雪バエは自分の足を切断して生き延びる

Nature誌の研究ハイライト欄に「Break a leg: How snow-loving flies survive the cold」という記事が掲載されていた。原著はCurrent Biology誌に掲載されているが、アクセス権がないのでこのハイライト欄の元論文は読んでいない。 ハエは夏しか見かけないの…

親日国 台湾

3年半ぶりの海外出張で台北に来ている。前回の海外出張は、2020年1月に内閣府「AIホスピタル」プロジェクトグループによる海外視察のための、シアトル(マイクロソフト)とサンフランシスコ(サーモフィッシャー・グーグル・IBMなど)の訪問だった。一つの大…

強制送還寸前から、医師に、そして、風に立つライオンに

今日、シカゴ時代の部下だったアフリカ人からメールが届いた。内容を読んで、涙が出るほどうれしかった。 彼との出会いは2013年12月だ。私の研究室の部下が、彼を技術補佐員として採用して欲しいと依頼してきたのを受けての面接だった。私が採用しないと1週…

米国の国際協力研究に対する非友好的態度

9月7日のNew England Journal of Medicine誌に「Threatening the Future of Global Health-NIH Policy Changes on International Research Collaborations」というタイトルの論文が公表されていた。NIHの方針が世界の医療保健施策を脅かすことに対する懸念の…

ビッグモーター事件とジャニーズ事件の病根は同じ

ビッグモーター事件で大騒ぎしていたと思ったら、今度はジャニーズ事件で大騒ぎだ。まったく異質のように見えているが、病根は一つで、金儲け主義なのだ。ビッグモーター事件は幹部からのトップダウンで、給料がもっと欲しい従業員はその指示をありがたく守…

画像生成AIで、気づけばホラー画像??

言葉では伝わりにくいことを画像で伝えるために、画像生成AIの勉強をしている。テキストで入力すると、それに沿った画像をAIが合成してくれる(はずだ)。画像を作るとことは、ある種のプロフェッショナルな仕事だと思っていたが、画像を作成するAIを利用す…

Do It Yourself;欲しいものは自分で手に入れよ!

Nature誌の8月31日号に「DIY medical devices: The people who built a bionic pancreas」という記事が載っている。DIYはDo It Yourselfの頭文字を取ってもので、「自分でやれ」となる。「DIY医療機器:生きているすい臓を組み立てた人々」という意味か? こ…

AI化された医療と医学教育;知識・技術だけでなく、人間力を磨く医学教育の重要性

8月3日号のNew England Journal of Medicine誌に「AI and Medical Education-A 21st-Century Pandra’s Box」というタイトルの論文が掲載されていた。 AIの医療への導入がパンドラの箱を開けることになるのか?と思ったので、改めてパンドラの箱を開くことが…

マウイ島での遺体身元確認の難しさ

7月は7回も講演会があって疲れが溜まっていたにも関わらす、8月4日に大阪から那覇に飛んだ。沖縄では7月31日から台風6号の影響があった。記憶にないような進路で、沖縄を通過したにもかかわらず、東シナ海から沖縄に戻ってきたため、多くのフライトが欠航と…

ChatGPTは文才のない人の文章力改善に大きく貢献

少し前になるがNature のNews欄に「ChatGPT gives an extra productivity boost to weaker writers」という記事が出ていた。 端的に言えば、文章を書くのが下手な人にとっては、ChatGPTは有用であるとのことだ。逆に、文才のある人にとってはあまり有用でな…

心の中を読む技術?

7月24日のNature Newsに「Mind-reading machines are coming-how can we keep them in check?」というタイトルの記事が掲載されていた。 いつどこで読んだのか忘れたが、言葉を発することができない病気、たとえば、脳卒中やALS、の患者さんの脳の刺激を…