時代は動く:大腸がん患者へのネオアンチゲン特異的T細胞受容体導入T細胞療法

このブログでも触れたことがあるが、ネオアンチゲン特異的なT細胞受容体遺伝子を見つけ、それを患者さんのT細胞に遺伝子導入して、がん細胞を攻撃するT細胞を人工的に作り、治療に利用する方法が、報告された。7月11日にNature Medicine誌にオンラインで「Ad…

トランプ前大統領が「急死に一生」?????、そして古江選手おめでとう!

トランプ前大統領の暗殺未遂事件には驚いた。まるでゴルゴ13のような狙撃事件だ。ネット記事を読んでいると、「銃撃で“急死に一生”のトランプ氏」という文字が飛び込んできた。「九死に一生」の間違いか、故意に「急死に一生」としたのか不明だが、語句の…

徳田虎雄先生の遺したもの;救急医療と離島医療

7月10日の夜、徳田虎雄先生が天に召された。ALSと診断されてから約20年、難病との戦いに破れた。メディアの報道では「いのちだけは平等だ」という言葉だけは取りあげられているものの、議員としての保徳戦争や家族ぐるみの選挙違反事件など負の側面だけが…

小池圧勝、石丸健闘、蓮舫惨敗から見えてきた課題

東京都知事選挙は、小池百合子知事が予想通りに勝利を収めた。公示前の予想を裏切り、蓮舫氏は2位に大きく及ばない3位で惨敗した。予想を裏切り若者票・無党派層の票を大きく集めたのが元市長の石丸伸二氏だ。 蓮舫氏の敗因はいろいろと取りざたされているが…

米国大統領選挙における究極の2択を他山の石にすべし?

米国大統領候補のテレビ討論会が開催された。最後の方は、ガキの喧嘩かと思わせるようなひどいものだった。 私は、アメリカがん学会とアメリカ臨床腫瘍学会で、当時副大統領だったバイデン氏の講演を生で聞いたことがある。流れるように淀みなく、そして、格…

東京都知事選挙:中高年者の失望

報道によると東京都知事選挙は現職が大きくリードしているようだ。「若者の手取りを徹底して増やす」を掲げている蓮舫氏は苦戦しているようだ。誰が考えたのかはわからないが、このキャッチコピーは高齢者を敵に回すような謳い文句だ。 東京都の高齢者人口は…

十二指腸閉塞を誤診???

「日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院で、搬送された16歳の男子高校生について、研修医が誤診し、死亡させる医療ミスがあった」とのニュースが流されている。事故調査委員会が「研修医から経験のある医師への相談がされなかったことなどが問題」と…

果物の価格高騰は異常だ!

体調がよくなると、どうでもいいと思っていたことに腹が立ってくる。インフレ率が2-3%と言われているが、果物好きの私には桁が違うのではという感覚だ。小玉スイカも桃も温室ミカンも2年ほど前の1.5-2倍になっているのでは? 東京知事選挙でも、メディア…

眠れないと長期間の記憶が残らない?!

しばらく続いていた突発的な呼吸困難症状が完全に消失して10日間経った。今日も不安を抱きながら長居公園の植物園まで散歩に行ってきたが、何の症状も出なかった。この数か月間の苦しみは何だったろうと不思議な心境だが、普通の日常生活を取り戻したことは…

政治の停滞は国家の危機である

政治資金規正法で、ガキの喧嘩のような低レベルの議論が続いている。与党もだらしないが、野党もいつまでたってもだらしない。自民党のガバナンスのなさを称して、野党議員が「民主党政権時もなかったひどさ」と言っていたが、民主党内は派閥の対立で悲惨だ…

母が亡くなって25年

昨日で母が亡くなって25年となった。先週は相も変わらず、突発的に息苦しさ・呼吸困難が起こる中、忙しい1週間だった。火曜日の夜8-9時カタールの研究者向けに免疫ゲノム学の講義、水曜日には大阪の開明高校で1時間の講演と30分間の質疑、木曜日はオランダ…

米国領事館での不快な出来事

必要な書類があり、米国の領事館に行ってきた。予約を取るのも大変で4月の中旬に5月の中旬の予約を入れるという状況だった。窓口で書類を提出すると、最初のページにイニシャルが書いていなかったことに、目を吊り上げて「ちゃんと書きて来てください」と詰…

50年前に電子新聞の記事が?;どんな社会にするのを想定したビジョンを!

どうも突発的な呼吸困難は収まらない。カタールでは薬を服用していなくても何ともなかったが、関西空港に到着直後に呼吸困難症状が出たので、空気に含まれる何かが問題のはずだが、血液検査結果ではアレルギーに関連するIgE抗体は正常値であり、検査した範囲…

カタールの変貌―2; 教育とリーダーショップ

日本に戻ってきて出勤したが、耳に届く雑音でくたびれてきた。カタールで感じた高揚感は一気に萎んでしまった。 理由は簡単で、日本では大きなビジョンがなく、目先に小さなことに捉われているからだ。中東のゲノム・プレシジョン医療の盟主を目指すはっきり…

カタールの変貌

私は今、カタールのドーハから戻ってきたところだ。カタール財団がプレシジョン医療センターを発足するセレモニーに招かれて講演をしてきた。カタール財団のトップは前国王の妃、現国王の母に当たる妃殿下だ。29日のセッションでは妃殿下の横に着席したし、…

嘘とごまかしの政治・行政

年間の介護保険料の通知が来た。33万円を超える金額だ。働いていると厚生年金はカットされ、年金収入の大半が介護保険料で消えていく。残った収入から、所得税が差し引かれるので、この仕組みは理解不能だ。 今後は、子育て支援分を社会保険料として徴収す…

論文の審査をChatGPTがする?!

4月10日号のNature誌ニュース欄に「Is ChatGPT corrupting peer review? Telltale words hint at AI use」というタイトルの記事が掲載されていた。 ChatGPTに代表される生成AIが論文の審査に利用されていること、そして、それが形容詞の使い方で判定できると…

生産的でない?教授の給料を減額!

4月12日号のScience誌に「A university cut tenured faculty’s pay. They’re suing」という記事が出ている。タフツ大学がTenure(テニュア=任期のない)職員の年俸を減額したことに対して、減給された職員たちが不当だと訴えた裁判についての記事だ。 大…

裁判の証人となる利益と不利益

「ワクチンを打つと自閉症のリスクが増す」「このサプリメントを摂取すると・・・・などの有害事象が起こる」「産業廃液で健康被害が出た」などの訴訟の種が尽きない。紅麹の被害でも、どこまでがこのサプリメントの影響であるのかどうかの線引きが難しい案…

ユタ州と米国FDAの対立

4月1日のScience誌NEWS欄に「Utah flouts FDA with law greenlighting placental stem cell therapies”という記事が出ている。「flout」は「あざける」「馬鹿にして従わない」など強い意味があり、ユタ州が、米国FDAを無視して、胎盤から取り出した幹細胞を…

DTC (Direct-to-Consumer;消費者に直接)は安全か?

2月22日号のNew England Journal of Medicine誌に「Direct-to Consumer Platforms for New Antiobesity Medications-Concerns and Potential Opportunities」というタイトルの論文が掲載されていた。「新しいやせ薬を直接消費者に届けるシステムの功罪を…

通訳の裏切り;人を騙すくらいなら、騙された方がまし!

大谷翔平選手が、水谷一平さんに嘘をつかれたと会見で語った。それでも、なぜ、6億8千万円もの大金をどうして勝手に振り込まれたのかと、大谷選手に疑いの目を向ける人が少なくない。 今は、日本でも銀行口座にログインするだけでは、お金を振り込むことはで…

咳を聞きわけて病気を診断するAI

3月21日号のNatureのNews欄に「Google AI could soon use a person’s cough to diagnose disease」という記事が掲載されている。数百万もの咳を機械学習することによってコロナ感染症や結核の可能性を聞きわけるという。 Google社の開発したHealth Acoustic …

AIは方言から人種差別をする?

3月13日号のNature誌に「Chatbot AI makes racist judgements on the basis of dialect」というタイトルの記事が出ている。直訳すると「チャットボットAIが方言(なまり)に基づいて人種差別的な判断をする」となる。 最近、LLM(Large Language Model=大規…

CAR-T細胞を自己免疫性疾患に応用!?

最近は忙しすぎて、論文を読む時間もブログを書く時間が不足している。さらに、花粉症か寒冷アレルギーなのかわからないが、朝出かける際や夜遅く歩いていると、突然呼吸困難に陥っている。胸が苦しくなると、キラキラと眩しく感じ、めまいが襲ってくる。1-2…

「働き方改革」よりも「働きがいのある改革」を

韓国政府、現場離脱した研修医の免許停止手続きに突入という記事が出ていた。 医学部の定員増(約3000人から5000人)を引き金とする研修医の退職騒ぎが収拾せず、韓国政府が約7000人の医師免許停止手続きを進める強硬手段をとるところまで事態が切迫している…

サル不足に鈍感な国;これでいいのか日本は?!

2月23日のScience誌に「Giant monkey facility could ease U.S. shortage」というタイトルの記事が出ている。米国ジョージア州の人口14,000人の街に、30,000頭のサルを飼育する施設を造り、米国のサル不足を解消する計画を紹介している。コロナウイルス感染…

韓国で研修医の4分の1が集団退職?

韓国の聯合ニュースによると「韓国各地の病院で19日、政府が発表した大学医学部の入学定員増に反発する専攻医(研修医)が退職届を提出したり、その一部が実際に医療現場を離脱し始めたりしている。」との報道があった。 韓国全体で専攻医数千人が辞表を提…

生成AI「Sora」が文章から動画を作成!

ChatGPT-4を提供しているOpenAI社がテキストから動画を生成する「Sora」というシステムを生み出したと報告した。 Video generation models as world simulators (openai.com) 簡単なプロンプト(文章での指示)によって驚くべき映像を生み出しているのだ。上…

脳に埋め込まれたチップが心を読み取る!

イーロン・マスク氏のNeuralink社が、Brain-Computer Interface(BCI)(脳の思考をコンピューターに伝える装置)を初めて人の脳に埋め込んだと、マスク氏がツイートしたことに関連するニュース記事が2月2日号のNature誌の掲載されていた。記事のタイトルは「E…