Nature誌11月5日のNews欄に「How big is science‘s fake-paper problem?」という記事が掲載されている。Paper millsと呼ばれる論文製造工場によって生み出された論文数が過去20年で40万を超えるという。昨年だけで約7万と推測されており、2022年に公表され…
財務省の後ろ盾を失うと政権が揺らぐと言われている。今回の減税の財源原資がないと財務大臣が発言したことは、大きな意味を持つ。「税金増収分の還元」という「減税の大義名分」が失われたことを意味する。これだけでも大変なのに、さらに大変な事態が起こ…
大阪で開催された「がん撲滅サミット2023」で、久しぶりに米国の友人に出会った。彼は開口一番「関西空港の入国手続きは最悪だ」と私に訴えた。「どうして日本のメディアは、この劣悪なシステムを問題にしないのだ」と一気に私に畳みかけた。私はメディ…
Nature Medicine誌のオンラインで「Targeted depletion of TRBV9+ T cells as immunotherapy in a patient with ankylosing spondylitis」という論文が掲載されている。免疫療法が強直性脊椎炎に効果的である可能性を示唆したものだ。強直性脊椎炎は背骨を中…
10月19日のNature Medicine誌に「Feasibility of a dietary intervention to modify gut microbial metabolism in patients with hematopoietic stem cell transplantation」という論文が掲載されている。直訳すると「造血幹細胞移植患者の腸内微生物による…
歌手の谷村新司さんが天に召された。心よりご冥福をお祈りしたい。 私が外科医として勤務していた1880年に発売された「昴」だが、勤務していた病院や留学当初のユタ大学で、行き詰っていた自分をこの歌を聴きながら励ましていた日々が懐かしく思い出され…
10月12日のNature誌のNews欄に「Reproducibility trial:246 biologists get different results from same data sets」という記事が掲載されている。 以前から一流紙に掲載された結果に再現性がないという指摘がされている。一流紙に掲載される論文は、画期的…
日本では「経済安全保障」対策が実施されつつあるが、どうも「経済安全保障」と「国家安全保障」は別物のようだ。私のような凡人は、「国家安全保障」が成り立ってこその「経済安全保障」だと思うのだが、どうも定義があいまいだ。医薬品開発、特に、感染症…
Nature誌の研究ハイライト欄に「Break a leg: How snow-loving flies survive the cold」という記事が掲載されていた。原著はCurrent Biology誌に掲載されているが、アクセス権がないのでこのハイライト欄の元論文は読んでいない。 ハエは夏しか見かけないの…
3年半ぶりの海外出張で台北に来ている。前回の海外出張は、2020年1月に内閣府「AIホスピタル」プロジェクトグループによる海外視察のための、シアトル(マイクロソフト)とサンフランシスコ(サーモフィッシャー・グーグル・IBMなど)の訪問だった。一つの大…
今日、シカゴ時代の部下だったアフリカ人からメールが届いた。内容を読んで、涙が出るほどうれしかった。 彼との出会いは2013年12月だ。私の研究室の部下が、彼を技術補佐員として採用して欲しいと依頼してきたのを受けての面接だった。私が採用しないと1週…
9月7日のNew England Journal of Medicine誌に「Threatening the Future of Global Health-NIH Policy Changes on International Research Collaborations」というタイトルの論文が公表されていた。NIHの方針が世界の医療保健施策を脅かすことに対する懸念の…
ビッグモーター事件で大騒ぎしていたと思ったら、今度はジャニーズ事件で大騒ぎだ。まったく異質のように見えているが、病根は一つで、金儲け主義なのだ。ビッグモーター事件は幹部からのトップダウンで、給料がもっと欲しい従業員はその指示をありがたく守…
言葉では伝わりにくいことを画像で伝えるために、画像生成AIの勉強をしている。テキストで入力すると、それに沿った画像をAIが合成してくれる(はずだ)。画像を作るとことは、ある種のプロフェッショナルな仕事だと思っていたが、画像を作成するAIを利用す…
Nature誌の8月31日号に「DIY medical devices: The people who built a bionic pancreas」という記事が載っている。DIYはDo It Yourselfの頭文字を取ってもので、「自分でやれ」となる。「DIY医療機器:生きているすい臓を組み立てた人々」という意味か? こ…
8月3日号のNew England Journal of Medicine誌に「AI and Medical Education-A 21st-Century Pandra’s Box」というタイトルの論文が掲載されていた。 AIの医療への導入がパンドラの箱を開けることになるのか?と思ったので、改めてパンドラの箱を開くことが…
7月は7回も講演会があって疲れが溜まっていたにも関わらす、8月4日に大阪から那覇に飛んだ。沖縄では7月31日から台風6号の影響があった。記憶にないような進路で、沖縄を通過したにもかかわらず、東シナ海から沖縄に戻ってきたため、多くのフライトが欠航と…
少し前になるがNature のNews欄に「ChatGPT gives an extra productivity boost to weaker writers」という記事が出ていた。 端的に言えば、文章を書くのが下手な人にとっては、ChatGPTは有用であるとのことだ。逆に、文才のある人にとってはあまり有用でな…
7月24日のNature Newsに「Mind-reading machines are coming-how can we keep them in check?」というタイトルの記事が掲載されていた。 いつどこで読んだのか忘れたが、言葉を発することができない病気、たとえば、脳卒中やALS、の患者さんの脳の刺激を…
ビッグモーターの不祥事はあきれるばかりだ。やっていることはどこから見ても詐欺だ。そして、社長会見時の「ゴルフボールを靴下に入れて振り回して水増し請求する。ゴルフを愛する人への冒涜です。」にはズッコケた。どう考えても、まず、謝罪すべきはゴル…
今日は酷暑の中、公園に出かけた。先週は木曜日の朝6時に家を出て東京への日帰り出張、金曜日から土曜日にかけては婦人科腫瘍学会で松江に出張した。疲れが溜まっている時には大汗をかけばすっきりすると思って散歩に行ったのだが、この暑さはやはりきつかっ…
内閣府「AIホスピタルプロジェクト」は3月末をもって終了したが、予算も規模も縮小した形で、細々と続いている。5年間の進捗の一部がNHK worldどに取り上げられ、昨日からオンデマンドで視聴できるようになった。 https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/en/ondema…
Nature Aging誌に「Longevity factor klotho enhances cognition in aged nonhuman primates」というタイトルの論文が出ている。「長生きに関係するklothoは霊長類の認知機能を高める」となる。このklothoという因子は、1997年に鍋島陽一先生(京都大学…
Natureの6月30日のNews欄に「Australia to prescribe MDMA and psilocybin for PTSD and depression in world first」というタイトルの記事が掲載されている。日本では違法ドラッグに指定されているMDMA(メチレンジオキシメタンフェタミン、日本ではエク…
NatureのCareer News欄に「Postdoctoral researchers warn NIH that cost-of-living pressures are gutting the workforce」というタイトルの記事があった。簡単にいうと「ポスドクたちの生活苦が労働意欲を削いでいるとNIHに警告した」と言った感じか? 米…
1960年代から導入されていた米国のアファーマティブ・アクション(積極的に差別を是正するための措置)が憲法に違反しているとの判断を米国の連邦裁判所が下した。米国の大学ではマイノリティー(黒人やヒスパニックなど)の入学枠を広げているところが多か…
昨日の厚生労働省「がん有識者会議」で、「日本のバイオバンクは東北大学以外のものは小さい」という発言があった。2003年に東京大学医科学研究所でバイオバンクジャパンを立ち上げ、27万人弱の患者さん(疾患数の延べで44万症例)の協力を得た創始者として…
6月16日に「Precision medicine meets cancer vaccines」という記事がNature Medicine誌に公開された。「プレシジョン医療(オーダーメイド医療)ががんワクチンに巡り合った」のだ。 メラノーマや膵臓癌がんに対するがんネオアンチゲンmRNAワクチンの有望…
この1週間、腸内細菌といろいろな病気・病態との関連性を示す論文が目についた。 一つ目はCell誌に報告された「High-resolution analyses of associations between medications, microbiome and mortality in cancer patients」というタイトルの論文だ。造血…
Nature誌6月9日のNews欄に「Taurine supplement makes animals live longer-what it means for people is unclear」というタイトルの記事が出ている。これは6月8日のScience誌に公表された「Taurine deficiency as a driver of aging(タウリンが欠乏すると…