東京オリンピック番外編最終:コロナ対策の大変換を!

東京オリンピックは無事?終わった。バブルは機能していたとは思わないが、来日前にPCR検査を受けて陽性者を可能な限り抑え込んだ結果だと考える。もちろん、厳しい行動制限が寄与したことは間違いないが、PCR検査によって無症状感染者を見つけることの重要性を理解しなければ、科学的とは言えない。これこそ、「検査と隔離」が有効であることを実証したのである。デルタ株は最初の武漢株の9倍感染力が高いという報告もある。ウイルスの排出用が3桁、1000倍高いとも言われている。そして、他人に感染を引き起こす期間も5日間長いとの推測もある。これでは、今の様な甘ったるい緊急事態宣言では収束するはずもない。感染拡大スピードが少し鈍化している兆しもあるが、よほどの行動制限を課さない限り、低下傾向には移らないかもしれない。これまでの経過から、ある数字を超えると行動にブレーキがかかり、減少傾向に入るのではと予測していたが、感染力9倍、ウイルス量が1000倍が真実であればしばらくは減少しないだろう。

 

自宅待機者の急増は、自宅で急変して亡くなる危険性を高めることは自明の理だ。急を要さない手術は延期と言っているが、これは通常医療の崩壊を意味している。日本社会は、曖昧さを貴しとする傾向があるが、感染対策は科学的な基準で行うべきであり、科学は白と黒を決着させることが必要だ。日本でどれだけ市中感染が広がっているのか相も変わらず不明であるし、今では、どこからどのように感染が起こっているのか明らかでない。家庭内感染が多いのは、オリンピックによってステイホームを行ったことが関連しているのだろうが、そもそも家庭内に持ちこんだのはどのようなルートなのか?ウイルスの排出量が3桁高ければ、当然ながら通勤電車内感染も考慮する必要がある。これを抑え込むには、ロックダウンしかないのだ。日本ではロックダウンができないというが、人の命を尊いと思うならば、それができる法整備をするのが政治ではないのか?ラムダ株の感染慮の強さは不明だが、ヒタヒタと日本に迫っている。科学と信念に欠けたコロナ対策を行っている政治が日本を壊していく。

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東京オリンピック番外編―4

私の予想値をはるかに上回るペースで感染拡大が起こっている。

そこで、政府は入院制限という、「安心・安全」とは真反対の手に出た。医師が認めた場合は入院できると言うが、急変することが明らかな感染症に対してあまりにも無責任な対応だ。しかも、分科会にも相談がなかったというが、それなら一体誰が政策決定を行っているのか?不思議の国アリスを通り越し、闇の国日本である。 

そもそも、大半が軽症者であることがわかっていた昨年の春に、感染陽性者をすべて入院させる必要がある制度を作り、医療崩壊が起こるのでPCR検査を制限するという非科学的理由から、日本のコロナ対策の失敗が始まった。デルタ型の脅威を理解していたならば、もっと早い時点で感染者対策として、療養施設の確保などをすべきであったのだ。今春の大阪での医療崩壊を経験しているのだから、アルファ株より感染力の高いデルタ株対策をしっかりしておくべきだった。感染力が高いけれど無症状者が同じ割合ならば、無症状感染者を野放しにしていれば、このような事態になることは自明の理だったはずだ。

PCR検査の制限、入院制限、いずれも形式的な医療崩壊を繕うための判断である。見たくないものに目をつぶって、科学に目を背けてきたのだ。「検査と隔離」という大原則を無視し続けたツケだ。ゴムは何回も伸縮していると弾力性を失う。緊急事態宣言というゴムは伸びきって弾力性を失っている。自粛だけではなく、何か異なったメッセージ、たとえば、PCR検査を拡充して陰性証明書を発行し、「ワクチン接種証明書」、もしくは、「2日以内の検査陰性証明書」を持っている人にだけ、飲食店に行って可などの対策を行う必要がある。

総理の発言に対する信頼度は失われ、感染拡大は止まらなくなってきた。「緊急事態宣言」と「オリンピック」、「感染拡大」対して「重症者は少ない」、「安心安全」と「入院制限」と矛盾に満ちた対応は誰が考えてもおかしいのだ。従来株よりも2倍感染力が強ければ、昨年の緊急事態宣言で毎週感染者数が0.7倍になるような自粛が行われても、0.7X2=1.4倍ずつ毎週感染が拡大することになる。こんな単純なことさえ理解できていない人たちが感染対策を立てているのだ。高齢者の接種がかなり進んできている状況でこの感染拡大が起きているのは、デルタ株は従来株よりも、日本人には感染しやすいかもしれない。「検査と隔離」を徹底しなければ、経済は疲弊し、日本の未来はない。

週刊文春の中づり広告に次期衆議院予測として「自民過半数割れ、立憲伸び悩み、維新3倍」と出ていたが、あれだけ的外れ回答を続けていれば、それも納得だ。

オリンピック野球は日本が決勝に進んだ。我々の野球世代には、スケートボードは理解しがたいものがある。金メダル・銀メダルをとっても残念ながら素直に喜べない世代なのだ。スポーツと言えば野球だ。頑張れ、日本。

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東京オリンピック番外編―3 ; 悲しきかな日本!無茶苦茶な対策!

東京オリンピックも半分以上が終わった。応援していた桃田選手や内村選手は残念な結果に終わってしまった。でも、全力を尽くした彼らを責める理由などどこにもない。心から健闘を称えたい。そして、池江選手の400メートル混合リレーの決勝後に見せた涙とコメントには、ただただ感動があるだけだ。よく頑張った、3年後のパリで本来の実力を見せて欲しいと心から願っている。

しかし、コロナ感染者数は増加の一途を辿っている。これまでのような国民全体でブレーキといった様子が全く見られない。この大きな要因は、国のトップの危機意識のなさだ。トップが「ワクチン接種が進んでいる」「高齢者の感染割合が減ってきている」などと言えば、医療関係者が発出している危機感が中和されてしまうのは当然だ。自分が責任を取ると断言してこそ、国民に伝わるものがあると思うが、責任は絶対に取らないという姿勢が歴然とわかる人に誰が従うのだろうか?記者会見での緊張感皆無のコメントは日本をさらなる苦難に貶めるものだ。自民党には人材はいないのか!

オリンピックの感染症対策バブルも怪しいものだし、東京オリンピック株が出現して全世界に広がる悪夢が現実のものとならないことを祈念している。それにしても、大量の弁当を放棄する、予約したホテルには宿泊客もなく、お金が払われる。この国の管理体制の欠如は目を覆うものがある。AIでなくても、簡単なアルゴリズムを設計しておけば、弁当の無駄やホテルの非効率的な運用もなかったはずだ。オリンピック開催が決まってから何をしていたのだろうか?

1964年の東京オリンピックは、日本という国がオリンピックを開催したことで、国と国民に誇りを取り戻すきっかけとなった。無残な終戦からわずか19年後に国際的祭典を開催でき、世界の一員として認められた高揚感を、小学施生であった私も感じたものだ。2021年開催の東京2020オリンピックは、日本という国の欺瞞(この時期が温暖でオリンピックにふさわしいなど国家的詐欺に等しい)、自粛頼みでずさんな非科学的コロナ対策を世界に晒したつけは大きい。月末に合った会見など、いつもながら質問と答えが1メートルくらいすれ違っている。

今回の大流行は、インド株の怖さを甘く見たことが大きい。外国の例を見れば明らかなこと、それを先例として対策を取ることができない科学力の欠如が現状を招いている。後手後手に回ると言うが、ゲームオーバーが宣言された後からバットを振っているような感じがする。

しかし、侍ジャパンは9回に追いつき、10回にサヨナラ勝ちした。日本政府も真っ向勝負して勝って欲しいものだ。

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東京オリンピック番外編ー2;どうした日本!

東京2000人超えが先だと思っていたら、全国で5000人超えが先行してしまった。政府は日本の感染者数は欧米に比べて少ないと公言しているが、徹底したPCR検査で感染者を洗い出している国とPCR検査で絞り込んでいる国を比較すること自体が、この国の非科学的な対策を象徴している。最近では、無症状や軽い症状で検査を受けていない感染者が、有症状者の5倍との報告もある。この人たちを捕捉できずに、感染を広げやすいインド株に置き換わっているのだから、しばらくは感染拡大は止まらないだろう。国が非科学的なコメントを続けていることは、国の恥だ。

 

しかし、これまでは緊急事態宣言は、その効果が期待できるよりも早く、感染者数の減少が起こっていたので、ワクチンの効果と相まって東京3000人、全国で10000人くらいになると、日本人は強いブレーキをかけ、自然と感染収束が起こってくるのではないかという気がする。人数に対する重症者の割合はこれまでよりも低いので、医療崩壊には至らず持ちこたえて欲しいと願わずにいられない。そして、私にもようやくワクチン接種の依頼がきたので、協力したい。

 

感染はいずれ収束するだろうが(もっと強力な変異種が出てくれば数年かかるかもしれないが)、日本に対する国際的な信頼度の低下には歯止めがかからないように思う。永田町にも、霞が関にも、日本の将来を担っていくと期待できる気概のある人物が見当たらないのだ。こんな状況では政権交代が起こっても不思議ではないのだが、自公に代わりうる政党が存在しないという底の見えない危機的状況だ。開会式直前の組織委員会のゴタゴタも、シャボン玉のように簡単に弾けるバブルも、日本という国の誇りを無残に傷つけているように映っている。

 

バッハ会長が「日本」と言うべきところを「中国」と言ったら、まともな政府ならもっと抗議してもいい。言い間違いで済むことと、済まないことがあるが、これは絶対に後者だ。韓国の福島の人の心を踏みにじる態度には「帰れ」と言ってもいいと思う。ユダヤ人の抗議にオロオロとして平身低頭する姿には(ホロコーストを揶揄する表現は許されない。一体、どんな人選をしてきたのか?)日本人の一人として悲哀を感ずる。ユダヤの人たちのように、バッハや韓国に対して毅然とした態度を取れないものかと思う。ヘラヘラとせずに、福島の人たちのために、「ふざけるな!選手村の食事が嫌なら、韓国に帰れ」と言って欲しい。こんな不愉快な思いをしてまでもオリンピックが必要なのかと改めて思う。

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オリンピック番外編

私の予測よりも早く、今週中に東京の1日感染者数が2000を超えるかもしれない。全国の合計も今週中に5000人を超える可能性も高い。緊急事態宣言の無力化とデルタ株の影響を考えれば、科学的には何の不思議もない。

 

オリンピックの開催を前提に振り返れば、(1)今年初めの緊急事態宣言を1か月ほど早くすべきだったのでは?、(2)前回の緊急事態宣言解除はすべきではなかったのか?(3)水際対策が抗原検査でよかったのか?など不可思議な決定がなされていたことは今後の検証が必要である。

 

ワクチンの急加速と急ブレーキは、日本のデジタル化の遅れの象徴である。4000万回のワクチンが潜在しているというが、医療関係者は、ワクチン接種の登録がアナログすぎて追い付いていないだけで、本当は接種者はもっと多いのではないかと考えている。数か月前、河野大臣が、段ボールにタブレットを置いてピントを合わせ、接種券の数字を読み込んでいた姿が報道されていたが、これは漫画的でもあった。致命的とも言えるような悲しい現実を見た気がした。

 

ワクチン接種者をリアルタイムで読み込むような制度設計は、1年以上前に計画すべきであったはずだが、分科会は何をしていたのであろうか?PCR検査を否定したのも分科会だったし、変異種の危険度を推し量って対策を提言するのも彼らの責任であった。尾身会長の発言など、1年前にすべき内容であったと多くの人が思っている。

 

国内にまん延する責任感の欠如は、日本の信頼感の低下につながっている。内閣支持率も低下の一途だ。そして、「責任」の軽さは、日本の地盤低下と連動している。こんな状況でも、与党の支持率はあまり落ちていない。批判というよりも、揚げ足取りに終始している野党への信頼の低さが与党を助けている。

 

与党にも野党にも欠ける「ビジョンの欠如」が、若者の無力感につながっている。日本全体のフレイル化が進行しているのではないか?

 

気持ちは落ち込んでいるが、 池江選手、内村選手、桃田選手には頑張って、日本の誇りを示して欲しい。

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これでいいのか日本の医療! 最終回

2014年の6月21日にこのブログを書き始めて7年間が経過した。7年間に950回投稿し、560万回を超えるアクセスをいただいた。平均年間80万回以上のアクセスをしていただき、私の駄文に目を通していただいたことには感謝の一言しかない。

 

1年数ヶ月、コロナ感染症対策に苦言を呈してきたが、最近の動きは、日本は破滅に向かって一直線の感がある。政治家から、言葉の重みと責任が消え、まるで漂流国家のようだ。「勝負の3週間」「短期・集中で」という言葉がシャボン玉のように軽く、消滅していく。何を質問されても、「責任を取る」姿勢が皆無に映る。質問とかみ合わない回答を繰り返して、日本という国のいい加減さをさらけ出しても支持率が30%を切らないのは不思議だ。この理由は、野党に対する信頼感の低さの裏返しだ。総選挙になっても期待する候補がいない人が多くなるかもしれない。

国に明確な戦略・ビジョンがなく、目の前の課題に小手先の戦術で対応して、失敗しても口先の言い訳ばかりが続いている。デジタル化の遅れというが、この課題は、私が2011年に内閣官房参与となり、内閣官房の医療イノベーション推進室長として、日本の医療の課題として取り上げたものの一つだ。当時の課題は何も解決されていない。

昨日、ある会合で、私がシカゴに行ったのになぜ日本に戻ってきたのかと、ストレートな質問があった。いくつかの理由はあるが、最大の理由は、私たちが開発した薬剤の治験を受けるために、わざわざシカゴ大学に来られた患者さんとその娘さんが、結局、登録基準を満たさなかったので、日本に帰らざるを得なかった出来事だ。私のオフィスでせっかく来ていただいたが治験を受けることができないことを告げ、玄関で見送った。シカゴを訪れ、マンションまで借りていたのに、その患者さんが夢かなわず、タクシーに乗り込む姿を見て、涙が止まらなかった。患者さんにとっては、「希望」が「絶望」に変わった瞬間だった。今考えても心が痛む(「希望」が「絶望」に変わった瞬間、というタイトルのブログを検索して読んでいただければ幸いです)

滑膜肉腫の抗体療法の治験をフランスのリヨンで始めた後、高校生の患者さんのお父様から、日本人の研究者が作り、日本の会社が行っている治験薬をどうして日本の患者が受けられないのかという、やり場のない胸の痛むメールをいただいたこともあった。フランス政府の支援で行っている治験なので、参加できるのはフランスの人に限られていることを知らなかった私の責任だ。ただただ、悲しかった。

日本のためにと思って頑張ってきたが、民主党政権に絶望し、日本を捨ててしまった。しかし、シカゴにいても、患者さんの私に対する期待は絶えることはなかった。今さら日本に戻ってもとどうなるのかという思いと、日本人の血が流れているのだから日本の患者さんのためにという思いが交錯して数年間苦悩したが、2018年に後者を選んだ。後悔がないといえば噓になるが、日本のがん医療を変えたいという思いは募る。

それから3年、今の状況を考えると、日本に帰ってきたことが正解だったという答えは導き出せない。コロナ感染流行の影響もあるが、思い描いていたことができないままにコロナ禍の1年半が過ぎた。そして、私のがん研究所の任期もあと1年6か月だ。この10年あまり、私の頭の中で考えていたことが、手足に伝わらないようなことがたくさんあった。念ずれば気持ちは伝わるというが、根幹となる哲学・理念が全く異なる人たちに対しては、何も伝わらないことを再三再四体験した。自分のやりたいことは、自分で実行するしか道はない。

がん患者さんに希望を提供するだけで、私の人生を終わりたくない。希望をなくした患者さんや家族に、心の底からの笑顔を取り戻す姿を見てから、自分の人生を終わりたい。そのためにできることを、自分の力の限り、振り絞って頑張るしかない。7年間を一区切りとして、ブログに費やす時間を、目の前の患者さんに費やす形に変えて新しいことに挑戦していきたい、そして、自分の生き様を書き残していきたい。

長い間、ご愛読していただいた読者の方々には心からお礼を申し上げます。

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花咲く日を迎えることができるのだろうか?;これでいいのかこの国は?

緊急事態宣言は解除になる。東京では2人以内、90分以内なら、午後7時まで飲酒が可となるようだ。よくもこんなアホなルールを決めたものだ。このルール一つをとっても、この国の行政の世間知らずが丸出しだ。

4人組の客が来て、「われわれは2人ずつ2組だが、隣の席に」と依頼されれば、お店はどうするのだ!3人が、「会計は一人ずつで別々だから」といえば、どうするのだ。もちろん、店側からこのように提案することも可能だ。行政の自分たちは自粛を厳しくしたというアリバイ作りがさもしい。

すべてが誤魔化しと曖昧だ。分科会も責任逃れのアリバイ作り、メディアもとりあえずリスクを伝えれば責任を果たせるといった姿勢だ。総理がG7でオリンピックの支持を取り付けたので「中止の選択肢はなかった」とのたまう。G7の文章では「安全に安心できる環境で」と注釈がついている。こんなギリギリになって偉そうなことを言って、どこか専門家だ。「責任逃れの専門家」と肩書を変えればいい。

一昨日、昨日、今日の3日間の感染者の合計は

東京  1406人 (前週 1314人)

神奈川 626人 (610人)

千葉  372人 (319人)

これで安全安心が確保できるのか?

国民の健康や命ではなく、自分の地位が最優先の、ギャンブルのようなオリンピック開催でいいのか?ギャンブルに負ければ地位を失うのは自己責任だが、同時に多くの国民の命も奪う。このようなギャンブル政治が許す政治家も同罪だ。

これでいいのか、日本の政治は、そして、医療は?