花咲く日を迎えるために;なぜ、無観客開催はできないのか?

緊急事態宣言が20日で終わる。東京都と千葉県では2日連続で前週を上回っているにもかかわらずだ。下げ止まりというより、再拡大の兆候が見え始めている。ワクチン接種によって5月には1日2000人を下回っていたイギリスでも、ここ1週間ほどは7000人台の感染陽性者だ。インド株(デルタ株)の脅威は歴然としている。これがそのまま日本で起こると、7月下旬から8月上旬に今の数倍に増えるリスクがある。科学的な観察に基づく対策が求められるが、楽観的な希望・期待で施策を決めているようにしか見えない。

 

オリンピックが無事終われば、総裁選に勝利し、自民党が衆議院選挙でも勝利するだろうが、オリンピックが直前中止や期間中に中止になれば、政権交代が起こるかもしれない。あるいは、自民党が割れる可能性もある。何よりも人命が多数失われるし、日本の信用は失墜する。有観客にすれば、誰が考えても、感染拡大のリスクは高まる。どうして、無観客開催という選択肢がないのか不思議だ。日本を破壊するような科学リテラシーの欠如だ。国民の命よりも大切なものかあるのか?

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花咲く日を迎えるために;分科会 VS 官邸

オリンピックの観客を上限1万人にするかも?との報道があった。ビックリ仰天の発想だ。感染症の専門家 VS 官邸の戦いのヒートアップが予測される。

英国のジョンソン首相がインド株(デルタ株)に警鐘を鳴らした。感染者も死者も増える危険性を指摘していた。ドイツのメルケル首相が、オリンピックのリスクを容認しているようには思えない。昨年の感情のこもったスピーチは記憶に新しく、現在の日本の感染対策に合格を出しているはずがない。そして、日本では感染者数が減っているが、下げ止まりとともに感染者に占める若年層の割合が増えている。この世代にはワクチンは届いていないので、高齢者の接種が終了しても、緩めると感染急拡大のリスクは非常に高い。

20日ころに公表すると言っていた分科会(あるいはその有志)のコメントに注目が集まる。無観客にしなければ責任をとれないと言って、辞表を叩きつけるくらいの覚悟があるのか、専門家の矜持が問われる。

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花咲く日を迎えるようにがんばろう

尾身の乱の行方が見えない。反乱を起こすなら、半年前だろうと思う。オリンピック後の再拡大からの責任回避にしか見えない。G7会議では感染対策が支持されたのか、オリンピック開催が支持されたのかもはきりしない。すべてが、曖昧なワンダーランドだ。

G7の公表文書の最後に
「reiterate our support for the holding of the Olympic and Paralympic Games Tokyo 2020 in a safe and secure manner as a symbol of global unity in overcoming COVID-19.」

とあった。「安全安心に運営すること」を前提での支持である。国民でもどのように「安全安心」が保証されているのか理解できていないが、「安全安心」が確保されなければ支持しないという意味でもある。

しかし、今は、ワクチンの全集中するしかない。

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花咲く日をみんなで迎える努力をしよう‐50 ;ここまでくると、ワクチン、ワクチン、ワクチンだ!  

このブログも6月21日、7周年を迎える日で最終回を迎える。もともとはシカゴから、がん患者さんに新しい情報を伝えるために始めたが、この1年は、コロナ感染症流行に対してあまりにも世界標準からかけ離れたコロナ対策に、国のコロナ対策批判が増えてしまった。正直なところ、日本という国に対する国際的な信頼度はかなり低下したように思う。G7会議で「開催を支持する」と言うコメントがでるのか、「開催への努力を支持する」コメントとなるのかで今後の方針が変わってくるだろう。

ワクチン接種が進んでいる米国もヨーロッパもすっかり様変わりしつつある。しかし、この国の懸念材料は、東京や大阪の大規模接種会場での予約率は急低下していることだ。小林幸子さんではないが、「もしかして」、ワクチン接種を受ける人の割合はあまり増えてこないかもしれない。もう一つの懸念は、インド株(デルタ株)の感染力が高く、血管病変も強いことだ。末梢血管が閉塞して手指を切断するケースもあると報告されている。高齢者のワクチンが予定通りに7月末までに終わったとしても(?)、感染する人は若者中心なので、2-3か月以内の感染再拡大は必至だ。

ワクチン接種と変異株対策が急務だが、6月10日号のNatureに「Adjuvanting a subunit COVID-19 vaccine to induce protective immunity」というタイトルの論文が報告されていた。コロナウイルスのスパイクタンパク質のうち、ヒトの細胞に結合する部位のペプチドを利用してウイルスを中和する抗体やT細胞を誘導したという。mRNAワクチンはmRNAの情報をもとにスパイクタンパクを作ることで免疫を誘導するのだから、直接ペプチドを打つことは有効で当然だ。今や、ペプチド合成技術は進化したので、この方向性はこれからの流れだ。

しかし、竹中平蔵氏という人の発言を聞いていると、こんな人の意見を聞いているから日本はおかしくなったのだと思う。今日は「ワクチンの遅れは総理大臣が早く承認しろと言ったのを厚生労働省の怠慢で遅くなった」と発言したようだ。はっきりと言って、こんなレベルの人が大臣をしていたのかと思うと背筋が寒くなる。薬剤の承認を総理大臣が決めていいなどと考えているなら、この人はおかしい。科学と政治を混同している非常識極まりない発言だ。何を目的にオリンピック開催を煽るのかと勘繰りたくなる。

そして、とうとう、東京都と神奈川県のコロナ感染陽性者数が先週土曜日を上回った。人の流れがかなり増えているので当然だと思うが、緊急事態宣言下でも増加傾向になってくる状況では、この先が相当心配だ。オリンピックを開催してもしなくとも、ワクチン接種を加速するしか、この国を救う方法はない。ただし、党首討論で、「ワクチン接種は1日100万回を超えた」と総理は発言したが、公式なものでは1日100万回にははるかに及ばない。私はコロナ接種を応援すべく、厚生労働省のアプリに登録したが、ウンともスンとも言ってこない。とにかく、ワクチン、ワクチン、ワクチンだ(検査も不可欠だが!)

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花咲く日本を迎えるために;医師免許を持つ基礎研究者もワクチン接種に協力を

オリンピックをやってもやらなくても、コロナ対策の最優先事項は、ワクチン接種の拡大だ。打ち手を増やす際の問診や注射の権限を議論しても時間がかかる。法的な壁を考えなくていい方法は、医師免許を持つ基礎医学研究者の動員である。

 

日本を救いたいと思っている方、自分も何か力になりたいと思っている方は、是非、厚労省の「新型コロナワクチン接種医師確保事業」に登録してほしい。 

 

私も今朝登録した。迷惑がられるかもしれないが!

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花咲く日が遠い遠い日本-48;党首討論という名の禅問答

党首討論で「海外では、PCR検査をしても感染拡大が起こった」と言う。

では、オリンピックで毎日PCR検査をするのはどうしてなのか?安全安心のためのPCR検査ではないのか?

 

「私権の制限は日本ではできない」と言う。

必要なら国会で法律を作ればよかったのではないか?

 

「1964年の東京オリンピックは今でも印象に残っている」と言う。

オリンピックの思い出を残すのと、人の命を守ることのどちらが大切なのか?多くの人の命を奪うリスクがあっても、オリンピックの感動が必要かどうかが問われているのだ。

 

私も東洋の魔女には感動したし、アントン・ヘーシンク選手が日本柔道を負かしたことも、ローマ大会で金メダルの「裸足」のアベベが、東京では靴を履いてマラソンで2連覇したことも思い出となっている。柔道はオランダ人と話をする時のきっかけになるし、シカゴで私の研究室にいたエチオピア人は、私がアベベの話をすると喜色満面となり、母国の英雄を知っている私に尊敬のまなざしを向けた。党首討論でクドクドと述べなくても、オリンピックの意義は多くの日本人が理解している。安全安心が見えてこない現実に不安を抱いているのだ。

それにしても、党首討論というより、禅問答と呼んだ方がふさわしい内容に落胆した。

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AIホスピタルプロジェクト(3)

日本の医療のデジタル化は大きく遅れている。その象徴のひとつが、私も体験したワクチン接種券の二重配布である。私は4月中にワクチン接種を受けたが、一カ月以上過ぎた5月に区役所からワクチン接種券が送られてきた。保険証を通して個人情報が紐づけされているはずだが、接種券配布前に情報が共有されていないことが明らかだ。市町村のワクチン接種予約と国によるワクチン接種予約の二重予約も報道されていた。一方の予約取り消しをしてほしいというのはその通りだが、なかなか繋がらない電話をかける気にならないだろう。制度が整備されていないのだから、取り消しに何時間も電話をかけ続けて欲しいという方が間違っている。システムができていないのだから、役所も個々の照合は面倒だ。心配なのは、今後、ワクチン接種証明書が必要となった時にその確認が問題なくできるかどうか心配だ。

マイナンバーカードと保険証、そして、保険証と健診・診療情報がつながれば、ワクチン接種はもっとスムースにできたはずである。台湾では、台中の病院で受けた検査情報を、台北の病院で共有することが可能なので、重複検査は不要である。国民の健康と命を守るためには、大震災があっても、大水害があっても、旅先や出張先で体調に異変が生じても、個人個人の診療情報を即座に知ることが必要だ。そうすれば、救える命を救える可能性が高まる。東日本大震災時の体験をまったく生かそうとしない国の姿勢は大いに疑問である。ただし、これは自民党だけの責任ではなく、旧民主党政権の罪も大きい。

そして、救急搬送先を探すために、救急隊員が病院に電話をかけ続けるなど、昭和のシステムから進歩がない。私が救急医をしていた40年以上前と何ら変わりがない。救急処置中に電話がかかってくるのも煩わしかった。一刻を争う処置をしている時に無神経にかかってきた新聞社やテレビ局も面倒だった。今なら、広報室が対応してくれるだろうが、処置室に電話がかかってきたものだ。

この救急時の連携については、救急車は総務省、 病院は厚生労働省という縦割りの弊害が、一本化したシステム構築を阻んでいる。救急車内で得られる種々の情報が、患者さんが病院に到着する前にリアルタイムで病院で待っている救急医に届けられれば、治療がわずかでも円滑に進められるはずだ。今の体制では助けられない患者さんを助けることができる可能性も高まる。

大病院では、病室や手術室は診療科単位ごとに割り振られているので、なかなか柔軟な運用ができない。また、共通に利用できる診断機器類も、診療科単位になっていると効率的な利用ができない。診察室も、午後遅くになっても多くの患者さんが待っている診療科がある一方、他の診療科ではすでに診療が終わっていることも少なくない。このような課題は、AIといった高度なものではなく、簡単な交通管理システムのようなを応用すれば解決できそうな課題である。日本の課題は、縦割りとそれに付随する大小の利権・権益といっても過言ではない。

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