AIは方言から人種差別をする?

3月13日号のNature誌に「Chatbot AI makes racist judgements on the basis of dialect」というタイトルの記事が出ている。直訳すると「チャットボットAIが方言(なまり)に基づいて人種差別的な判断をする」となる。 最近、LLM(Large Language Model=大規…

CAR-T細胞を自己免疫性疾患に応用!?

最近は忙しすぎて、論文を読む時間もブログを書く時間が不足している。さらに、花粉症か寒冷アレルギーなのかわからないが、朝出かける際や夜遅く歩いていると、突然呼吸困難に陥っている。胸が苦しくなると、キラキラと眩しく感じ、めまいが襲ってくる。1-2…

「働き方改革」よりも「働きがいのある改革」を

韓国政府、現場離脱した研修医の免許停止手続きに突入という記事が出ていた。 医学部の定員増(約3000人から5000人)を引き金とする研修医の退職騒ぎが収拾せず、韓国政府が約7000人の医師免許停止手続きを進める強硬手段をとるところまで事態が切迫している…

サル不足に鈍感な国;これでいいのか日本は?!

2月23日のScience誌に「Giant monkey facility could ease U.S. shortage」というタイトルの記事が出ている。米国ジョージア州の人口14,000人の街に、30,000頭のサルを飼育する施設を造り、米国のサル不足を解消する計画を紹介している。コロナウイルス感染…

韓国で研修医の4分の1が集団退職?

韓国の聯合ニュースによると「韓国各地の病院で19日、政府が発表した大学医学部の入学定員増に反発する専攻医(研修医)が退職届を提出したり、その一部が実際に医療現場を離脱し始めたりしている。」との報道があった。 韓国全体で専攻医数千人が辞表を提…

生成AI「Sora」が文章から動画を作成!

ChatGPT-4を提供しているOpenAI社がテキストから動画を生成する「Sora」というシステムを生み出したと報告した。 Video generation models as world simulators (openai.com) 簡単なプロンプト(文章での指示)によって驚くべき映像を生み出しているのだ。上…

脳に埋め込まれたチップが心を読み取る!

イーロン・マスク氏のNeuralink社が、Brain-Computer Interface(BCI)(脳の思考をコンピューターに伝える装置)を初めて人の脳に埋め込んだと、マスク氏がツイートしたことに関連するニュース記事が2月2日号のNature誌の掲載されていた。記事のタイトルは「E…

科学を蝕む不正研究者;科学的評価が根底から崩壊する?

Scienceの2月2日号に「Citation manipulation found to be rife in math」と言うタイトルの記事が出ている。科学者の評価の指標の一つとして、論文の引用(citation)回数が用いられることが多くなってきた。その指標の信頼性を根底から揺るがす事象が起きて…

診断ミスをなくすために!;人工知能をうまく使え

1月25日のScience誌Expert Voices(専門家の声)欄に「Toward the eradication of medical diagnostic errors」という論文が報告されている。タイトルを訳すると、「医療現場での診断ミスをなくすために」となる。著者は、私が和訳した「Deep Medicine」…

利益と不利益の狭間で考えること

Nature誌の速報として、「T-cell Lymphoma and Secondary Primary Malignancy Risk After Commercial CAR T-cell Therapy」というタイトルの論文が報告されている。2023年11月23日にFDAが、CAR-T細胞後にCARを導入したT細胞が関連するがんが多いこと…

アメリカの下院委員会で、中国系?バイオ企業を締め出し!

1月26日のGenomewebというウエブサイトに「Congress Introduces Bill to Prevent Medical Providers From Using BGI, MGI, and Affiliates’ Products」というタイトルの記事が掲載されている。 BGIグループは、今は深センに拠点があるが、もとは北京ゲノム研…

AIやデジタルは万能ではない!

1月18日のNature誌のニュース欄に「Fingertip oxygen sensors can fail on dark skin — now a physician is suing」と「Medical AI could be ‘dangerous’ for poorer nations, WHO warns」という記事が掲載されている。 前者はコロナ感染症の流行で一般で…

フェイク論文工場の根絶へ

能登半島の方々は厳しい冬を過ごしておられるのに、この国の政治は何をしているのだろうと思う。派閥の会長を辞めたはずの人が、派閥の解散を声高に主張する。総理大臣を辞職した政治家が、内閣の総辞職を宣言することができないのと同様に違和感がある。こ…

青少年の薬物過剰摂取問題

1月11号のNew England Journal of Medicine誌に「The Overdose Crisis among U.S. Adolescents」という記事が掲載されていた。最近、わが国でもメディアなどで薬剤の過剰摂取(オーバードーズ)が取り上げられているが、米国では青少年のオーバードーズが…

アナウンサーの上から目線「ライフラインの復旧は遅くないのか!」に腹が立った

今日の公共放送のニュースで、記者が馳浩・石川県知事に「ライフラインの復旧は遅くないのか!」と批難口調で言っていた。どこを見て、そんな言葉が出てくるのかと腹が立った。馳知事とは何度かお会いしたことがあるが、何事にも真摯に向き合う非常に誠実な…

細菌叢研究は数百万人の子供の命を救う??

1月11日号のNature誌のコメント欄に「Boosting microbiome science worldwide could save millions of children’s lives」という記事が掲載されている。 われわれの体表や体内には多くの細菌が存在している。環境や食事内容によって腸内細菌叢(細菌の種類や…

なぜ、能登半島地震の被害全貌把握は遅いのか?

地震の被害、津波の被害が日々伝えられているが、なぜ、全貌把握がこれほどまでに遅いのか疑問だ。能登半島西の輪島市中心部から、東の珠洲市までわずか40-50キロメートルだ。元旦の夜に衛星から見れば停電の状況はすぐに把握できたはずだし、2日朝からヘリ…

神戸の医師過労死問題は救急医療崩壊の引き金となるか?

あけましておめでとうございます。 と新年を祝う間もなく、元旦に令和6年能登半島地震が起こった。そして、2日は羽田空港で日航機と海上保安庁機の事故が起こり、飛行機が炎上している衝撃的な画面を目にした。まさに、波乱の幕開けとなった2024年だ。羽田空…

やさしくて、卑屈な、かよわき者の国に;高島屋とダイハツ問題

高島屋がクリスマスケーキ問題で「原因の特定は不可能」とコメントした。「ケーキを作って、凍らせて、配送する」といった至って単純なプロセスにもかかわらず、「原因がわからない???」はいかにも日本的だ。誰かに非難が集中するのを回避したかったのだ…

妊婦のつわりは胎児が産生するホルモンに関係する?

Nature誌に「GDF15 linked to maternal risk of nausea and vomiting during pregnancy」というタイトルの論文が掲載されている。また、News&vews欄で「Pregnancy sickness linked to hormone from fetus」と紹介されている。GDF15(growth differentiation…

腫瘍浸潤性リンパ球療法が承認間近か?

Nature Reviews Drug Discovery誌のnews欄に「Tumour-infiltrating lymphocyte cancer therapy nears FDA finish line」という記事が出ている。表題の通り、腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)が米国FDAに承認される日が近づいてきたのだ。 米国癌研究所のローゼンバ…

希少疾患の治療薬開発;台湾での感動!

12月8日から2泊3日で台湾に行ってきた。今年、3回目の台湾出張だ。誕生日の夜を一人寂しく過ごす結果となったが、台湾出身で米国在住の二人の研究者の発表は聞いていて有意義だった。特にスタンフォード大学のJean Tang教授の発表には感動さえ覚えた。 Gorli…

今ごろ、派閥会長を辞める大悪手

今ごろ、岸田総理が派閥会長を辞めると告げた。2週間少し前には、内閣総理大臣が派閥会長を続けるのはおかしくないって言ってたのに? 私は、岸田総理が米国のギングリッチ下院議長(当時)と一緒に元統一教会幹部と会ったことは馬鹿メディアのやりすぎだと…

原子爆弾から学ぶこと

12月3日号のNew England Journal of Medicine誌に「Learning from the Bomb」と言う記事が掲載されている。ハーバード大学の公衆衛生学の名誉教授のBarry Bloomさんが書かれたものだ。毎年8月になると、彼の気持ちが落ち込むという文章から始まる。理由は広…

日本の人間教育の闇

日本大学の混乱が収まらない。アメフト部を廃部すると決めたと報道があったが、その決定を継続審議としたそうだ。一部の部員が起こした大麻問題のために、残りの人たちが犠牲になるのは望ましくはないと考えていたが、裁判で「副学長がもみ消してくれるかと…

サル不足に付け込んだ野生猿のロンダリング

日本は相も変わらず、国際的な情勢に無関心である。おおよそ80年前に焦土と化した過去を忘れ、ウクライナ問題などもはや忘れ去られている。国民や領土を守るための基本事項、たとえば、実験動物、とくにサルの確保には何ら手を打っていない。 11月16日のNatu…

「海軍兵学校・五省」

SNSでの誹謗中傷が止まらない。 おかしな世の中になってきたものだが、政治家が恥さらしの行為をしているのだから誹謗中傷は仕方がない。それにしても、こんな人を国会議員にしていいのかと思っても、選ぶ人がいるのだからそれも仕方がない。 人として、して…

徳洲会グループ50周年;離島医療に果たした貢献は多大

昨夜開催された「徳洲会グループ50周年記念パーティー」に出席した。700名が参加された盛大なものであった。残念ながら、そこにはALSという病気で闘病中の徳田虎雄先生の姿はなかった。私が東京大学医科学研究所で始める予定だったバイオバンクジャパンに協…

見事なまでの政務三役の不祥事内容と担当省庁との関係

ようやく財務副大臣が辞任に追い込まれた(罷免された)。しかし、不祥事の内容と彼らの担当する省庁との関係は、お見事と言うしかない。大喜利であれば、座布団5枚という声が出そうなまでの絶妙な関連性だ。 文部科学政務官―男女の不適切関係 法務副大臣―選…

フェイク論文は科学分野での大きな問題だ!

Nature誌11月5日のNews欄に「How big is science‘s fake-paper problem?」という記事が掲載されている。Paper millsと呼ばれる論文製造工場によって生み出された論文数が過去20年で40万を超えるという。昨年だけで約7万と推測されており、2022年に公表され…