国内で失われた希望を海外に求めるがん医療でいいのか?

K1の山本KID選手が胃がんによって、天に召された。私はある事情から、山本選手がグアム島で療養を受けていることを知っていた。死後、ネットに書かれた心ない言葉が議論になっていたが、彼は最後までK1選手としての復活を願っていた。そして、家族、特に幼い…

膵臓がん3年生存率15%

国立がん研究センターが「がんの3年生存率」を公表した。すい臓がんは依然として低く、15%という数字だ。これは現在の標準療法の限界を示す数字である。 国立がん研究センターのウエブページには ---------------------------------------------------------…

手術で摘出したがん組織は病院の所有物?

最近、ネオアンチゲン療法関係で多くの質問を受ける。フライデーの連載はインパクトは大きいようだが、裸の写真に挟まれていることで、多くの医療関係者の受けはよくないというか、悪い。しかし、草の根運動的に、がん医療の動きを伝えることは必要だ。フラ…

免疫チェックポイント抗体の効果予測をリキッドバイオプシーでする!?

「Nature Medicine」誌に「Blood-based tumor mutational burden as a predictor of clinical benefit in non-small-cell lung cancer patients treated with atezolizumab」というタイトルの論文が掲載されていた。Atezolizumabは免疫チェックポイント抗体…

がん患者や家族の声を聴く

フライデー効果のためか、以前より患者さんの声がたくさん届く。再発への不安もあるが、最も多いのは、標準療法が終わると同時に、医師から見捨てられたと感ずる理不尽さとそれに対する怒りだ。繰り返し述べているが、標準化は必要なことだったが、その先が…

メラノーマ脳転移症例に対する二つの免疫チェックポイント抗体併用療法

今週の「The New England Journal of Medicine」誌に「Combined Nivolumab and Ipilimumab in Melanoma Metastatic to the Brain」というタイトルの論文が発表された。最初に断っておくが、コントロール群のない臨床試験結果である。何もしなければ短期間で…

抗がん剤は役に立っている!+日本で見捨てられたがん患者が中国に向かう日も遠くない???

フライデーに3号連続で取り上げられた。内容を見ていない友人からは、どんなスキャンダルを取り上げられたのかと心配するメールが届いた。表紙や本文のキャプションの誇大さには恥ずかしいものがあったが、週刊誌だから仕方がない側面もあると自分を納得させ…

数百万人に実施された母体血を利用した胎児の染色体異常診断

「New England Journal of Medicine」誌の8月2日号に「Sequencing of Circulating Cell-free DNA during Pregnancy」というタイトルの論文が掲載されていた。妊娠中の血液(血漿)中に含まれるDNAのシークエンス解析についての総説だ。妊婦の血液(血漿)に…

暑い日本の夏をもっと熱くしたい

日本の夏は本当に暑い。7年ぶりの東京の夏は、「とにかく暑い」の一言しかない。昨日、シカゴ大学の友人から、東京はドイツと同じでエアコンがないから(???)、今年の熱波は大変だろうとメールが送られてきた。思わず吹き出しそうになったが、日本の認知…

希望が奇跡に変わる日を信じて

がん医療の標準化が進んだ。標準化、均霑化は全体としてみればいいことだが、標準化療法が終わった後の希望が限定的だ。マニュアルに書かれていることにしたがって治療するのが標準医療であり、分子標的治療薬以外は、患者さん自身の多様性やがん細胞で起こ…

人工知能を賢くするにはデータというエサが必要だ?!

内閣府の「AIホスピタル」プロジェクトのディレクターに指名されて3か月が経過した。「AI=人工知能」で思い描く「人工知能」があまりにも多様で日々驚くばかりだ。私は、周辺の医師や弟子たちとの会話から、医療現場での補助機能や最先端医療・医学の教育シ…

日本に戻って1か月;これでいいのか、日本のがん医療

6月13日に日本に戻って、1か月が過ぎた。目が回るような忙しさに加え、この蒸し暑さは大変だ。1か月間、いろいろな方にお会いしたが、期待と厳しい目が背後から突き刺さる。 昨日は、「がんプレシジョン医療プロジェクト」の発足会を開催した(開催していた…

頭に来てもアホとは戦うな!

今週の月曜日から、がん研究会・がんプレシジョン医療研究センター所長として勤務している。内閣府のプロジェクトもあり、自宅・内閣府・がん研究会のトライアングルの通勤はかなり体に堪える。シカゴと比較すると気温は少ししか変わらないが、この纏わりつ…

緊急のお願い

7月1日以降も利用できるはずであったシカゴ大学のメールアドレスが、本日午後突然使えなくなりました。 これまでご相談を受けておりました患者さんやご家族の皆様、申し訳ありません。このような事態も恐れておりましたが、油断しておりました。何かありまし…

「死のロード」から垣間見た「日本の死の谷」

ようやく、死のロードが終わった。土曜日の朝6時に家を出て札幌へ、日曜日は、朝7時前にホテルを出て東京へ、月曜日は朝6時前に家を出て羽田からソウル、火曜日はシンポジウム、水曜日は朝5時にホテルを出て、東京へ。到着後、ビッグサイトへ向かい(電車で…

標準療法と個別化療法-2

土曜日は、午前5時30に家を出て札幌に行き、日曜日は午前6時30分にホテルを出て羽田に戻った。今朝は午前6時前に家を出て、羽田空港の国際線まで電車を乗り継ぎ、今、ソウルにいる。シカゴに行く前の生活に戻ったようだ。体はきついが、土曜日の夜は中村研究…

最悪の行政サービス:運転免許試験場

今日は心底から、怒りが込み上げてきた。今頃、こんな公的サービス機関があるとは信じがたい。日本の免許証が失効していたので、米国の免許証から日本の免許証に切り替えるために、鮫洲の運転免許試験場に行った。なぜか分からないが、米国の免許をJAFで日本…

シカゴから戻って1週間:標準療法と個別化医療

目が回るほど忙しい日が続いている。「シカゴ便り」でなくなることを契機にブログをどうしたものかと悩んでいたが、昨夜、食事をした友人から、「中村先生は、人が言いたいことを、よくあれだけズケズケと言えますね。他の人は怖くて言いたいことが言えない…

シカゴ便り最終回:NHK報道「免疫療法はエセか、患者の希望か!」

NHKニュースが、米国臨床腫瘍学会では免疫療法が中心的話題だと新しい流れを大々的に報道する一方で、クローズアップ現代では、免疫療法の大半をエビデンスがないと否定するような報道をした。クローズアップ現代冒頭で「詐欺師まがいの遺伝子治療」の例を紹…

シカゴ生活あと3日弱

一昨日の夜、研究室に残っている人たちとシカゴに在住しているOBをステーキハウスに招待をし、お別れの会をした。シカゴ大学で研修医をしている人、ノースウエスタン大学の助教授となったシンガポール人、来年医学部を卒業予定のケニア人、来年医学部入学を…

恥ずかしくて、心温まるエピソード

米国臨床腫瘍学会(ASCO)で5日間連続外食の昨日、とんでもない事態が生じた。引っ越しの準備、学会、毎夜の外食で、集中力が落ちていたのか、いろいろな事を考えすぎていたのかわからないが、事の顛末は、下記のようだ。 会食のため、電車(Metra)でダウ…

遺伝子検査で70%の乳がん患者が化学療法が不要とわかった??!

ネットニュースで「Gene Test Shows About 70% of Breast Cancer Patients Can Skip Chemo」という標題の記事が目についた。これを訳すと「遺伝子検査で70%の乳がん患者が化学療法が不要とわかった」となる。読んでみると情報源が、New England Journal of M…

声紋認証で個人を識別する人工知能

6月1日は母の19回目の命日である。私は母が19歳の時に生まれたので、母が亡くなった年齢に達したことになる。親が亡くなった年齢に達するのは、人生の節目のような気がする。心筋梗塞や脳卒中でも起こらない限り、そして、交通事故・事件に巻き込まれない限…

若年世代のがん対策は?

今日は、午前6時に家を出て、空港近くにあるロヨラ大学医学部で、7時30分から30分間、11時30分から1時間の講演をして、昼食後、午後3時頃にシカゴ大学に戻ってきた。一昔前ならこの程度は簡単にこなせたのだが、今、かなり疲労感は強い。歳を取ったものだと…

これでいいのか日本の医療:日本に存在しない国立ゲノム医科学研究所

今日の最高気温は33度、明日の予報では32度と真夏の暑さに包まれている。週末のアメリカ臨床腫瘍学会(ASCO)期間中は最高気温が20度前後となるが、この3-4日は本当に暑い。日本からメキシコへの旅の後の弱ったからだには余計に堪える。シカゴ生活もあと…

免疫チェックポイント抗体療法の効果に男女差?!

シカゴー東京―シカゴーメキシコシティーーシカゴの長旅が一昨日ようやく終わった。先週の土曜日午後にシカゴに戻り、日曜日の朝にシカゴ発でメキシコに向かった。東京―メキシコシティー間には直行便がある。シカゴー東京―メキシコシティーーシカゴにすると、…

人との出会いに感謝

今、シカゴに戻る機内にいる。食事後、アルコールを飲んだ後、一気に睡魔に襲われ、熟睡してしまった。仕事は山積みなので、少し焦っている。今回の帰国は、内閣府の「AIホスピタル」プロジェクトのヒアリングと、ガバニングボードとの会議、「日本分子標…

がんセンターや大病院だけで国民の健康を守っているわけでは無い

時差と闘いながら、到着翌日の今日、3件の会議をこなした。シカゴで飛行機に搭乗する直前にブログを更新したが、そのブログを読んだ、私のかつての部下から下記のメールが届いた。本人の承諾を得て、それを掲載することにした。(自分がどの病院に属している…

公募研究、事前に「内定」応募仕込む?!

標記の記事が、7日の毎日新聞に掲載された。内容は「内閣府が今年度から5カ年で行う「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」第2期事業で、研究開発課題の責任者を公募したにもかかわらず、実際は事前に候補者を決め、各課題の詳しい内容を伝えて…

実用可能なネオアンチゲン特異的T細胞樹立法の開発

今日のClinical Cancer Research誌のオンライン版で、「Induction of Neoantigen-specific Cytotoxic T Cells and Construction of T-cell Receptor-engineered T cells for Ovarian Cancer」という論文を公表した。これは他の研究者の話ではなく、われわれ…