危機管理は最悪を想定すべきでは?

台風15号の影響が大きく、千葉県の一部では依然として停電・断水が続いている。当初の東電の甘い復旧予測が、結果として、復旧の遅れにつながっているようだ。鉄道の計画運休も安全対策として重要だが、甘い再開予測が、月曜日の朝の大混乱につながってしま…

リキッドバイオプシーで薬剤抵抗性も腫瘍の多様性もわかる

今月号のNature Medicine誌に「Liquid versus tissue biopsy for detecting acquired resistance and tumor heterogeneity in gastrointestinal cancers」というタイトルの論文が公表されている。結果は、以前から紹介している「リキッドバイオプシーの応用…

20歳で旅立った青年、そして医療基本法

蒲田駅に行きつけのマッサージ店があるので、時々出かける。西口にあるドン・キホーテを目にするたびに、20歳の若さで大腸がんで旅立っていった青年の顔が脳裏をよぎる。 1年ほど前に、その青年が、郷里の友人から送ってもらったブドウを私にも食べて欲しい…

リキッドバイオプシーへの期待と最大の課題;血液細胞のクローナル増殖

リキッドバイオプシーを利用したがん診断が実用化されるのは時間の問題である。がん組織が得られない場合でも、安全に薬剤の選択ができるので、患者さんにとっては有用な方法である。また、治療効果の判定・術後のがん細胞の残存や再発の超早期診断へ利用可…

同性をパートナーに選ぶ遺伝子?

いつまでも暑さが続いている。シカゴにはなかった、この纏わりつくような蒸し暑さでかなりへばっている。特に8月後半からの20日間で出張が6回もあったので、背中も、腰も悲鳴を上げている。体重も過去40年で最小になった。そのためか、血糖は正常に戻ってき…

移動中のストレス

海外の学会からの招待が多いが、欧米には往復の時間を含めると4日間が必要だ。しかし、最近は忙しいうえに、定期的な会議があるため、この時間の確保が意外に厳しい。友人からの依頼であった場合、最悪の場合には1泊3日でも、とは思うが、この歳になると健康…

Will China lead the world in AI by 2030?

「Will China lead the world in AI by 2030?」というタイトルのコメントが先週号のNature誌に掲載されていた。AI(Artificial Intelligence)、人工知能は社会変革をもたらす技術であり、ヘルスケア、交通・輸送、コミュニケーションに大きな変化を引き起こ…

自殺から考える。この国は人を大切にしているのか?

今、札幌千歳空港にいる。水曜日から木曜日までは蒸し暑い高知だったので、老体には少し厳しい。特に、昨日の札幌の最高気温は19度と、この温度差に適応するのは容易でない。今日の夕方には東京で講演があり、これが今週4回目の講演となる。まさに、どさ周り…

滑膜肉腫に対する抗体療法

フランスで第1相試験を終え、日本で開始しようと考えていた、滑膜肉腫に対するイットリウム(放射性同位元素でベータ線を放出する)を結合した抗体治療がようやく始まる。8月15日にオンコセラピーサイエンス社がプレスリリースしたものだ。 研究を開始したの…

頭に来てもアホとは戦うな(2);アオリ運転犯人―高校の後輩とは?(;´д`)トホホ

アオリ運転がメディアを賑わせている。2-3回、画面を見たが、どうしようもない人間だと思うしかない。事情はよく分からないが、何処から見ても異常行動だ。私も40年前に、自宅に戻る途中で、蛇行運転していたトラックにクラクションを鳴らしたところ、幅寄せ…

74回目の終戦記念日

8月15日74回目の終戦記念日と呼んでいる敗戦記念日を迎える。11日の夜、NHKで「ガダルカナル」という番組を見た。ガダルカナル島で全滅した一木大佐率いる支隊に焦点を当てた番組であった。多くの兵士が戦闘ではなく、飢餓で亡くなったという事実は胸に突き…

人工知能による病理組織学的診断は実用化レベルに進化

今月号のNature Medicine誌に「Clinical-grade computational pathology using weakly supervised deep learning on whole slide images」という論文が掲載されていた。簡単に言うと「人がわずかに指導するだけで、臨床応用可能な病理診断ができるようになっ…

乳がん術前化学療法とリキッドバイオプシー;結果を盲目的に信じていいのか?

今週号のScience Translational Medicine誌に「Personalized circulating tumor DNA analysis to detect residual disease after neoadjuvant therapy in breast cancer」というタイトルの論文が掲載されていた。乳がんの術前化学療法の効果とリキッドバイオ…

がん医療の実態を理解しないNHK

フコダインが「がんに効く」と称して販売していた健康食品会社の幹部が逮捕されたというニュースがあった。原価3000円を50000円で販売していたようだ。とんでもない話だと思う。NHKのニュースキャスターが最後に、こんなペテンに騙されないために、「主治医…

日韓問題:日本が一線を超えたのか?

韓国の首相が「日本は一線を越えた」と発言したとの報道があったが、徴用工問題、自衛隊機へのレーザー照射問題、慰安婦像問題など、日本の報道を聞く限りにおいては、韓国は一線どころか、二線、三線を超えたように思えてならない。最初に、国と国との約束…

免疫チェックポイント抗体治療で起こるがんの急性増悪

免疫チェックポイント抗体治療によって起こる急性増悪の話を2日連続で耳にしたので、少し情報を調べてみた。何らかの治療によって、がんが増大し、急激に全身状態が悪化するような例を「Hyperprogressive Disease」と呼んでいるようだが、「急性増悪」の定義…

TCR導入T細胞療法+医薬品輸入超過5年連続2兆円超か?

今年の上半期の貿易統計値が公表された。上半期の医薬品輸入額は約1兆4916億円に対して、輸出額は3642億円であるので、1兆1274億円の赤字となる。下半期の赤字も同程度とすると年間で約2兆2500億円の赤字になる。このままでは、5年連続の医薬品貿易赤字2兆…

「私にしたがって延命治療を受けなさい」の信条を押し付けるのが医療か?!

日本に戻って1年と少し。気持ちは梅雨空のようにどんよりしている。1年前は酷暑だったが、この国を変えたいとチャレンジする気持ちに満ち溢れていた。しかし、今は平均日照時間2時間で、立ち枯れのような状態だ。特に、辛いのは、ワクチン療法に否定的な医師…

日本の変な仕組み:学術研究会と製薬企業の事前検閲

日本に戻り、講演をする機会が増えた。がん診断・治療開発、プレシジョン医療、個別化医療、人工知能ホスピタルなど、多岐にわたって取り組んでいるので講演依頼が多いのかもしれない。自分たちの取り組んでいる研究、内閣府でリーダーとして行っているプロ…

ワクチンで免疫刺激すると、CAT-T細胞の働きが増強される

今週のScience誌に「Enhanced CAR-T cell activity against solid tumors by vaccine boosting through the chimeric receptor」という論文が掲載されている。固形がんではCTR-T細胞の治療はこれまでの成果では有効でない。そこで、ワクチンを利用してCAR-T…

病理学的画像解析でがんの遺伝子不安定性がピタリとわかる?

今月号のNature Medicine誌に「Deep learning can predict microsatellite instability directly from histology in gastrointestinal cancer」という論文が掲載されている。このmicrosatellite instability(MSI=マイクロサテライト不安定性)は免疫チェッ…

アブスコパル効果(abscopal effect)は免疫効果だ

今月号のNature Medicine誌に「Programmable bacteria induce durable tumor regression and systemic antitumor immunity」という論文が報告されている。遺伝子操作をした無毒の細菌を利用して患者さんの体内で免疫反応を誘導する治療法が生k際されている。…

患者さんに悪い知らせを告げる術を身につけよ

「Deep Medicine」という本をようやく読み終えた。集中して読む時間が確保できず、長時間かかってしまったが、最後の「Deep Empathy」の章が印象に残った。人工知能(AI)を利用した医療が進むであろうことを紹介した本だが、最後の部分は私が今の日本に医療…

北京滞在20時間の出張

2年ぶりに北京に行ってきた。日中医療協力のシンポジウムでの特別講演のためだ。日本での仕事に追われているので、金曜日の夕方の便で行き、土曜日の夕方便で戻ってきた。 搭乗時刻の20分前に北京空港のラウンジに行ったところ、到着便が遅れているので出発…

多様性を考えた健康指導体制の確立が重要

昨夜は、札幌医科大学で特別セミナーを行った。科学の内容だけでなく、がん研究に臨む姿勢が少しでも伝わったのであればと願っている。そして、夕食後、中村研究室OBの北海道同窓会が開催された。北大・札幌医大出身・在籍中の12人が集まってくれた。今でも…

猫も杓子もマイクロバイオーム研究

腸内には多くの種類の細菌が存在しており、それが種々の疾患に関係していることがわかってきている。その腸内細菌を調べて、病気などとの関りを調べる研究がブームとなっている。 治療と関係するものでは、炎症性腸疾患(クローン病や潰瘍性大腸炎)患者に、…

熱意と誠意のある医師を探す

今日の昭和大学での市民講演会が無事に終わった。元北海道がんセンターの西尾正道先生の講演は、相も変わらず、日本の現状をビシバシと叩く痛快な話だった。放射線診断と放射線治療が一つの診療科で行われている大学が多い現状を紹介されたが、確かにこれは…

明日(6月22日)、昭和大学でがん講演会

明日、昭和大学上條記念館(東急旗の台駅すぐ)で「最先端のがん治療はここまできた」というタイトルの一般講演会に参加する。 座長は木内 祐二先生(昭和大学医学部)と深尾立先生(HAB研究機構)で、演者は、 私「がんゲノム治療:あなたに合わせた個別化…

個人情報保護法と遺伝子差別禁止法

今日は、彦根まで往復してきた。内閣府「AIホスピタルプロジェクト」での倫理的法的社会的問題を検討する委員会の委員長に就任していただいた滋賀大学の位田学長に、現状の倫理的な課題を報告することと今後のプロジェクトに関連する倫理課題などについてご…

誰のための、何のための遺伝子パネル検査?

昨年の6月13日に日本に帰国した。あっという間に過ぎた1年間であった。そして、これほどまで忙しくなるとは思っていなかった。昨日から日本がん分子標的治療学会のために大阪に来ている。昨日の朝、家を出て大阪に向かい、13時から会議と私自身の基調講演、…