パラリンピック番外編ー1;政治に救世主が必要だ!

横浜市長選挙では、野党候補が大勝し、総理の側近だった候補は完敗した。勝利した候補がコロナ対策の専門家とは思えないが、その点を強調しての選挙戦の結果だ。選挙結果をそのまま衆議院選挙に当てはめれば、政権交代も起こりうるような状況となってきているが、自民党内政治では総理が再選されるとの声も強い。十数年前の政権交代は自民党政権に対する不満が爆発したものだが、今も同じような不満のマグマが煮えたぎっている。コロナ対策は相変わらず人流抑制をお願いするだけだし、根本的な部分は非科学的なままなので、この不満は当然だ。そして、政府からのメッセージの欠如は覆うべくもない。

 

日本がズタズタボロボロな状況であっても、コロナに関する科学的知見は世界各国から報告されている。先週のScienceとScience Immunologyに興味ある3つの論文が掲載されていたので紹介する。

Science: 「Masitinib is a broad coronavirus 3CL inhibitor that blocks replication of SARS-CoV-2」というタイトルの論文は、Masitinibという化合物(チロシンキナーゼ阻害剤)が、SARS-CoV-2(新型コロナウイルスのこと)の3CLというプロテアーゼを阻害することを介して、コロナウイルスの増殖を抑制していることを報告している。私の経験からすると、もう少し活性を高めなければ利用できないと思うが?ただし、この薬剤は別の病気で第3相試験が行われている。

日本でもすでに一般診療で利用されている安全性が確保された薬剤をスクリーニングすることが行われてきたが、このような形でコロナウイルス増殖を抑える薬剤を洗い出せば、治験も速やかに行うことができるはずだ。日本の企業から市販されている薬剤を集め、一気に調べてみる指導力さえあればいい。

 

Science Immunology:「X-linked recessive TLR7 deficiency in ~1% of men under 60 years old with life-threatening COVID-19」というタイトルの論文は、X染色体にあるTLR7遺伝子に遺伝的に異常があると、コロナ感染症が重症化することを見つけた論文だ。X染色体にあるので、男性には一つしかないX染色体で起こるとTLR7欠損症に直結する。この論文を通して、形質細胞様樹状細胞とTLR7系の免疫反応がコロナウイルス感染症重症化に非常に密接に関係することを明らかにした。

 

Science Immunology:「Autoantibodies neutralizing type I IFNs are present in ~4% of uninfected individuals over 70 years old and account for ~20% of COVID-19 deaths」というタイトルの論文は、70歳以上でタイプIのインターフェロンに対する抗体を有している人は4%に過ぎないが、コロナ感染症によって死亡した人には、これらの抗体を有していた人が20%を占めていたことを報告している。インターフェロンがウイルスとの戦いに重要であることを示したものだ。

 

世界は科学的なアプローチを進めているにもかかわらず、日本は自粛とワクチン接種だけだ。しかも、ワクチン供給は、100%海外依存の状況だ。政治家の科学リテラシーの低さが、日本の非科学的なコロナ対策の病根である。国のトップには科学的素養が必要だと痛感する。少なくとも信頼できるアドバイザーが不可欠だ。

誰が重症化しやすいのかを科学的に解明することや国内でのワクチン開発・治療薬開発を進めることは、戦略的に行うことが必要だ。希望的観測に基づく直感的な施策は国を滅ぼす。

今日、韓国では6G通信の検証に入ったと報道されていた。日本発の論文のランクは10位にまで落ちた。やはり、日本には根源的変革・革命的変化が絶対的に必要だ。負のマグマで政権が代わるのではなく、将来を見据えたビジョンを持つ政治家の出現が待たれる。

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