COVID-19関連小児多系統炎症性症候群・先天性の免疫異常との関連性;免疫ゲノム研究を推進せよ!

昨日、運動のために、京都に行ってきた。京阪七条(今は単に七条と呼ぶようだ)から三十三間堂・京都国立博物館を見学した後、清水寺まで登り、祇園四条(確か、昔は京阪四条と呼んでいた気がするが?)と歩くコースだ。清水寺に向かう坂道は結構急で途中のわらび餅屋さんで休憩をはさんだ。三十三間堂の壮大な数の仏像は圧巻だったし、国立京都博物館も静かでゆっくりと楽しむことができた。しかし、清水寺に向かうにしたって人で溢れかえり、騒がしい外国の言葉が飛び交い、産寧坂や清水寺周辺はまるで原宿のようだった。コロナ3年間の自粛があったので、周辺の商店の方々にとっては喜ばしいとは思うが、騒がしさのために精神的に疲れた。京都の観光地はしばらくは行かない。

表題の内容に戻ろう。小児はCOVID-19感染症に対して重症化する割合が、基礎疾患を持つ高齢者よりも非常に低い。しかし、コロナ感染症流行の初期から、川崎病に類似した全身炎症症状を示す重症小児患者が報告されていた。また、COVID-19肺炎患者の少なくとも15%で、インターフェロンに関連する免疫に先天的に異常があったり、インターフェロンに対する抗体を持つことが報告されていた。

昨年末のScience誌に「Inborn errors of OAS-RNase L in SARS-CoV-2-related multisystem inflammatory syndrome in children」というタイトルの論文が掲載されていた。COVID-19関連小児多系統炎症性症候群(multisystem inflammatory syndrome in children=MIS-C)は、典型的には感染後4週間前後に起こる、全身性炎症性疾患である。多くの場合、SARS-CoV-2の抗原検査・PCR検査は陰性だが、抗体には陽性とのことだ。ほとんどのMIS-C患者はコロナウイルスに暴露されたことがあるようだ。

川崎病との類似点は多いものの相違点も多く、MAS-Cの定義ははっきりしていない。今回の論文では、MIS-Cと診断された5人の血縁関係のない患者で、OAS1、OAS2、RNASEL遺伝子のいずれかにおいて常染色体劣性遺伝と考えられる異常が見つかったことを報告している。

OAS1とOAS2は細胞質内に存在する二本鎖RNAに反応して、2‘-5’オリゴアデニレートを産生し、さらにそれらが、RNA分解酵素であるRNase Lを誘導しウイルスRNAの分解を起こして、RNAウイルス感染症を抑え込んでいるとのことだ。RNAが分解できないとMitochondrial antiviral-signaling protein (MAVS)(ミトコンドリアにあるウイする感染を感知するタンパク質)を通して全身で激しい炎症反応を引き起こすようだ。これを書いていても私自身が複雑だと感じているので、読者にはわかりにくいと思う。

一言でまとめると免疫反応は、「適度」が大切だが、多様性に非常に富んでおり、理解できないことが多い。これからは人間の免疫システムの多様性を調べることが、とってもとっても重要だということだ。私が重要性を強調してから10年も20年もしないと日本は動き出さないが(オーダーメード医療・遺伝子多型・ゲノム医療・がんゲノムのように)、免疫ゲノムは今ならチャンスはある。日本の医学も医療も医療経済も革命が必要だ。学問が理解できない人たちが政策を決めているから、今のように日本は没落しているのだ。