医療(一般)

再生医療に対するNature誌での批判

1月31日号のNature誌に「Stem-cell therapy raises concerns」というコメントが掲載されていた。「脊髄損傷に対して患者さん自身の間葉性幹細胞を培養して増やし、それを静脈注射で患者さんの身体に戻す」治療法を、日本では有償で実施することが認められた…

化学療法で臨床的に消えた直腸がんはどう治療する?

JAMA Oncologyに「Assessment of a Watch-and-Wait Strategy for Rectal Cancer in Patients With a Complete Response After Neoadjuvant Therapy」というタイトルの論文が発表されていた。直腸がんの化学療法によってがんが消失した患者さんに対して、手術…

医療現場で失われているHumanity

昼過ぎから風もでて、寒くなってきた。ちなみにシカゴはどうなのかと思って、天気予報を見た。調べた時点での気温マイナス19度に体がすくみそうになったが、30日の予想はなんと最低気温マイナス30度、最高気温がマイナス24度だった。こんな所で、6回も冬を過…

人工知能システムによる麻薬オーバードーズや危険な不整脈の診断

1月9日号のScience Translational Medicine誌に「Opioid overdose detection using smartphones」、そしてNature Medicine誌に「Cardiologist-level arrhythmia detection and classification in ambulatory electrocardiograms using a deep neural network…

マグロ1匹と臓器移植の価値

テレビのニュースで、豊洲でのマグロの初セリが3億3360万円と報道されていた。セリ落としたすしチェーン店では通常価格でマグロが販売されているので、採算が合うはずがないが、これだけニュースで取り上げられれば宣伝効果は絶大だろう。このマグロを…

慟哭の詩2018:もし、私が天涯孤独だったら

私に血縁が全くいなければ、20歳で大腸がんと闘っている若者に、自らの手でネオアンチゲンを注射し、MDアンダーソンがんセンターで治験中のMELK阻害剤を投与してあげたい。 進行がんだから、諦めるしかないとは絶対に言わない。 彼に希望を与え、笑顔を取り…

ピンボケ日本のがんゲノム医療:米国治験データベースでのネオアンチゲン療法

米国に「ClinicalTrials.gov」に検索可能な臨床試験データベースがある。「Cancer」で検索すると64,464項目がヒットする。この中には「completed」(終了)したものも「Active, not recruiting 」(試験中であるが、患者さんのリクルートは終わっている)も…

すい臓がん術後補助療法;FOLFIRINOX療法がゲムシタビンより優位

「New England Journal of Medicine」誌に「FOLFIRINOX or Gemcitabine as Adjuvant Therapy for Pancreatic Cancer」というタイトルの論文が掲載された。簡単に言うと「すい臓がんの術後化学療法として、FOLFIRINOX療法とゲムシタビン療法のどちらがいいの…

前立腺がんや大腸がんの手術の意義?

先週、ようやく年金の手続きを終えた。私の年代の医師は、医局の指示もあり、転々と職場を変えた。その影響もあり、私の場合、10カ所の年金記録があった。また、合計11年以上の米国暮らしもあり、書類の準備が大変だった。先週の金曜日に、「これで書類はす…

がん医療革命に向けて:診療情報や生体組織を患者さんの手に

日本に戻って以降、知人や友人からがんの治療に関する相談を受ける機会が多くなった。投薬や注射薬の情報を含め、自分の治療経過を詳細に記録している患者さんや家族がいる一方で、自分のがんの情報をほとんど知らない患者さんもいる。「がんの大きさはどれ…

AI(人工知能)が症状から病気を診断する?!

今から韓国に出張に行くが、体の節々が痛んでいる。日曜日、運動している時に転んで、見事に一回転した。右手のひら、右ひじ、右ひざに見事な擦過傷を負った。頭頂部から真っ逆さまになり、全体重が頭頂部にかかっていた記憶がある。その後、衝撃をうまく受…

日本はもっと国際的な貢献を!

今週の前半に、シカゴの病院で銃の乱射事件があり、3人+犯人が死亡したと報道された。事件が起こった病院の所在地を調べると、シカゴのチャイナタウンの少し東側にあり、いつも通っていた高速道路に隣接する病院だった。南北でいうと、シカゴのダウンタウン…

膀胱がんに対する抗がん剤治療;温故知新

日露関係が一歩進みそうだ。相手の大統領は曲者なので、油断はできないが、ベストより、ベターでいいのでは?四島一括返還が大前提と言うが、大半の日本人は「そんな事が叶うはずがない」と思っている。現状を理解していれば当然だ。言霊主義にも限度がある…

標準化=マニュアル化、機械化、無味乾燥化?日本のがん医療

一昨日、福岡がん総合クリニック主催の講演会が、福岡で開催され、1時間の講演をさせていただいた。会場には500人前後の方が参加され、熱気を帯びていた。講演に参加された講師陣とも話をしたが、多くの進行がんケースでは、標準療法の先には暗黒の断崖絶壁…

PARP阻害剤のBRCA1/BRCA2異常を持つ卵巣がんの顕著な増悪抑制効果

台湾の新幹線に初めて乗車して、台中にやってきた。迎えの車がどこにいるのかわからず、台中駅からタクシーでホテルにやってきたが約20分で1000円とお手頃だった。明日の朝10時から特別講演をする。羽田から台北の松山空港までは約3時間30分と沖縄に行くのと…

がん治療革命

私は「がん治療革命」を起こしたいと考え、日本に帰国した。「革新」でも「改革」でもないことに重要な意味を持っている。フランス革命、ロシア革命に代表されるような革命では、短期間で社会体制がひっくり返った。それ以前の王朝が木っ端みじんに粉砕され…

国内で失われた希望を海外に求めるがん医療でいいのか?

K1の山本KID選手が胃がんによって、天に召された。私はある事情から、山本選手がグアム島で療養を受けていることを知っていた。死後、ネットに書かれた心ない言葉が議論になっていたが、彼は最後までK1選手としての復活を願っていた。そして、家族、特に幼い…

膵臓がん3年生存率15%

国立がん研究センターが「がんの3年生存率」を公表した。すい臓がんは依然として低く、15%という数字だ。これは現在の標準療法の限界を示す数字である。 国立がん研究センターのウエブページには ---------------------------------------------------------…

手術で摘出したがん組織は病院の所有物?

最近、ネオアンチゲン療法関係で多くの質問を受ける。フライデーの連載はインパクトは大きいようだが、裸の写真に挟まれていることで、多くの医療関係者の受けはよくないというか、悪い。しかし、草の根運動的に、がん医療の動きを伝えることは必要だ。フラ…

がん患者や家族の声を聴く

フライデー効果のためか、以前より患者さんの声がたくさん届く。再発への不安もあるが、最も多いのは、標準療法が終わると同時に、医師から見捨てられたと感ずる理不尽さとそれに対する怒りだ。繰り返し述べているが、標準化は必要なことだったが、その先が…

抗がん剤は役に立っている!+日本で見捨てられたがん患者が中国に向かう日も遠くない???

フライデーに3号連続で取り上げられた。内容を見ていない友人からは、どんなスキャンダルを取り上げられたのかと心配するメールが届いた。表紙や本文のキャプションの誇大さには恥ずかしいものがあったが、週刊誌だから仕方がない側面もあると自分を納得させ…

数百万人に実施された母体血を利用した胎児の染色体異常診断

「New England Journal of Medicine」誌の8月2日号に「Sequencing of Circulating Cell-free DNA during Pregnancy」というタイトルの論文が掲載されていた。妊娠中の血液(血漿)中に含まれるDNAのシークエンス解析についての総説だ。妊婦の血液(血漿)に…

日本に戻って1か月;これでいいのか、日本のがん医療

6月13日に日本に戻って、1か月が過ぎた。目が回るような忙しさに加え、この蒸し暑さは大変だ。1か月間、いろいろな方にお会いしたが、期待と厳しい目が背後から突き刺さる。 昨日は、「がんプレシジョン医療プロジェクト」の発足会を開催した(開催していた…

標準療法と個別化療法-2

土曜日は、午前5時30に家を出て札幌に行き、日曜日は午前6時30分にホテルを出て羽田に戻った。今朝は午前6時前に家を出て、羽田空港の国際線まで電車を乗り継ぎ、今、ソウルにいる。シカゴに行く前の生活に戻ったようだ。体はきついが、土曜日の夜は中村研究…

シカゴから戻って1週間:標準療法と個別化医療

目が回るほど忙しい日が続いている。「シカゴ便り」でなくなることを契機にブログをどうしたものかと悩んでいたが、昨夜、食事をした友人から、「中村先生は、人が言いたいことを、よくあれだけズケズケと言えますね。他の人は怖くて言いたいことが言えない…

遺伝子検査で70%の乳がん患者が化学療法が不要とわかった??!

ネットニュースで「Gene Test Shows About 70% of Breast Cancer Patients Can Skip Chemo」という標題の記事が目についた。これを訳すと「遺伝子検査で70%の乳がん患者が化学療法が不要とわかった」となる。読んでみると情報源が、New England Journal of M…

声紋認証で個人を識別する人工知能

6月1日は母の19回目の命日である。私は母が19歳の時に生まれたので、母が亡くなった年齢に達したことになる。親が亡くなった年齢に達するのは、人生の節目のような気がする。心筋梗塞や脳卒中でも起こらない限り、そして、交通事故・事件に巻き込まれない限…

若年世代のがん対策は?

今日は、午前6時に家を出て、空港近くにあるロヨラ大学医学部で、7時30分から30分間、11時30分から1時間の講演をして、昼食後、午後3時頃にシカゴ大学に戻ってきた。一昔前ならこの程度は簡単にこなせたのだが、今、かなり疲労感は強い。歳を取ったものだと…

これでいいのか日本の医療:日本に存在しない国立ゲノム医科学研究所

今日の最高気温は33度、明日の予報では32度と真夏の暑さに包まれている。週末のアメリカ臨床腫瘍学会(ASCO)期間中は最高気温が20度前後となるが、この3-4日は本当に暑い。日本からメキシコへの旅の後の弱ったからだには余計に堪える。シカゴ生活もあと…

免疫チェックポイント抗体療法の効果に男女差?!

シカゴー東京―シカゴーメキシコシティーーシカゴの長旅が一昨日ようやく終わった。先週の土曜日午後にシカゴに戻り、日曜日の朝にシカゴ発でメキシコに向かった。東京―メキシコシティー間には直行便がある。シカゴー東京―メキシコシティーーシカゴにすると、…