医療(一般)

シカゴに戻る;民間でがん治療を動かそう

ハノイ・東京(正確には横浜)11日間の出張を終えて、ようやくシカゴに戻ってきた。帰国日も朝から会合、そして、1時間の講演会をこなし、夕方の成田―シカゴ便で午後3時頃にオヘア空港に戻ってきた。 土曜日の夜に、友人であるJun Wang氏(前Beijing Genome …

医療事故を起こす医師は謙虚でないのか?

ネットニュースを見ていると「下手過ぎる医師の恐怖、病室の惨劇はこうして起きた」というタイトルの記事があった。群馬大学付属病院で起きた医療事故に関して、首藤淳哉さんという著者がコメントをしていた(JB Press)。最後のほうに、「医療事故によって…

膵がんのリキッドバイオプシーは難しい?

テキサスを襲った台風の傷が癒える間もなく、強烈な台風がフロリダ半島に迫っている。この台風は、カリブ海の国々に大きな傷跡を残し、米国に迫っている。日本からは遠く離れているが、是非、復旧の支援をして欲しいと願っている。そして、フロリダでは、ト…

子宮頸がんワクチン報道;科学的素養に欠けるメディアの愚

前回に続き、日本のメディアに欠ける科学的素養について、子宮頸がんワクチンをテーマに述べたい。8月26日付けの毎日新聞が「 子宮頸がんワクチン ウイルス感染に9倍の差 再開求める」との日本産科婦人科学会の声明を報道した。一方、NHKは「子宮頸がんワク…

臍帯血輸血で逮捕;日本のメディアは最低だ?

民間クリニックが他人の臍帯血を国に無届けで投与していた問題で逮捕された。面白いことに、メディアによって取り上げる角度が微妙に異なる。「再生医療安全性確保法」違反には間違いないが、無届けで行われたことが問題なのが、白血球の型(HLA)が合わない…

相対する事実(Alternative facts)時代における医学教育への課題

8月21日号の「New England Journal of Medicine」誌に「Medical Education in the Era of Alternative Facts」という論文が掲載されていた。気に入らないニュースを「フェイクニュース」と批判し、捻じ曲げた妄想を「Alternative Fact」として主張する時代が…

リキッドバイオプシーはがん医療変革につながる!

先週号の「Science Translational Medicine」誌に「Direct detection of early-stage cancers using circulating tumor DNA」(早期段階のがんでも、血中を流れているがん細胞由来のDNAを利用して検出できる)というタイトルの論文が掲載された。 このブログ…

某新聞社の無神経記事

私は絶対に某新聞系の記事は読まないが、ネットニュース記事のタイトル「女子マネジャー死亡、『呼吸』誤解? AED使ってれば」に目を取られて、思わず、読んでしまった。そして、腹が立った。 新潟県のある高校の野球部の女子マネジャーがランニング直後…

効果があるのか?ないのか?

先週号のNew England Journal of Medicine誌に「Olaparib for Metastatic Breast Cancer in Patients with a Germline BRCA Mutation」という論文が掲載されていた。PRAPはDNA修復などに重要な分子であり、このPARP阻害剤、オラバリブ(Olaparib)は一部のタ…

いつから医者は大丈夫と言えなくなったのか?

「コードブルー」という番組を見た。ネットに泣かせる話と書いてあったが、子供の心臓移植を待っている医師家族の姿は、確かに胸にジーンときた。しかし、私はこの番組の中に隠された意図を感じた。単なる救急ヘリの物語ではなく、今の医療の抱えている課題…

医療機関はサイバーアッタクに備えを!

昨日は、14度まで温度が下がった。普段と同じようにスーツの上下を着て行ったのだが、北風が吹いていることもあり、アパートを出た途端、「寒ゥ~」という感じだった。もっと暖かくしてとも思ったが、面倒なので、そのまま大学に向かったが、手がかじかんで…

「ゲノム編集で遺伝病を治療する」の愚

Nature誌に「Correction of a pathogenic gene mutation in human embryos」という論文がオンラインで公表された。受精卵に存在する遺伝性疾患の遺伝子異常部分を、ゲノム編集という手法を利用して正常遺伝子に置き換えることに成功したという話だ。私は、科…

早期前立腺がんに手術は必要か?

先週号のNew England Journal of Medicine誌に「Follow-up of Prostatectomy versus Observation for Early Prostate Cancer」というタイトルの論文が報告されていた。著者たちは、以前にも「早期前立腺がんは手術をしてもしなくても生存率に差はない」と報…

日本医療研究開発機構(AMED)に問う(2)

今日、東京医科歯科大学で「がんプレシジョン医療」のシンポジウムがあった。そこで、このブログでのAMEDに対するコメントが話題になっていると聞いた。繰り返すが、審査員の質を確保することなく、競争的資金の健全性・公平性が保てるはずがない。申請書を…

日本医療研究開発機構(AMED)に問う;審査員の質を評価せよ!

今、羽田空港にいる。シカゴに戻るのは1週間後で、これから台湾に行くためだ。台北医科大学の客員教授をしており、1年に一度は台北を訪問している。今週の始めに夏風邪を引いてしまい、半ばあたりは、体調が最悪だったので、少し厳しいものがあるが、今日の…

Make Our Plant Great Again

トランプ大統領のパリ協定離脱宣言、解雇されたFBI元長官の議会での公聴会など、政治の話題が尽きない米国だ。G7や中国の首脳も、米国のパリ協定からの離脱を非難していたが、その中でも洒落た一言でトランプ大統領を皮肉っていたのが、フランスのマクロン新…

ASCO (米国臨床腫瘍学会)2017

今日は6月1日。亡き母の18回目の命日だ。亡くなる前日に母と交わした会話は今でも鮮明に脳裏に焼きついている。母の厳しかった闘病の姿が、抗がん剤を開発したいという強い想いを持ち続けることができる最大の原動力だ。私は母が19歳の時に生まれたので、来…

高齢進行がん患者、姥捨て山論への伏線か?

時差ボケがひどい。今朝は午前3時に目が覚めた。昼過ぎには目を開けていられず、思わず、眠りに落ちたが、自分のいびきで目が覚めた。短い出張の中、動きすぎたためか、体は鉛のように重くなっている。そんな中、家に帰ってネットニュースを読み、頭に血が上…

抗がん剤の適応できない尿路がんに抗PD-L1抗体薬が第1選択

米国FDAがシスプラチンが適用とならない局所進行、あるいは、再発尿路がんに対する抗PD-L1抗体(atezolizumab)を第1選択薬として使用することを承認した。これはIMvigor210と呼ばれる119名の患者に対する第2相試験の結果である。この試験では、コントロール…

医師の燃え尽き症候群を救うには、書記係が?

ユナイテッド航空にまつわる話が続いている。結婚式に行く予定のカップルが、飛行機に最後に乗り込んだところ、自分たちの座席に横たわっている乗客がいたため、前方の席に座った。普通のエコノミー席より少し広い座席だったので、追加料金を払うと申し出た…

風雲急を告げる朝鮮半島

前回のブログで少しだけ紹介したユナイテッド航空の事件は、世界的なニュースとなり、依然として余波が続いている。引きずりおろされた乗客は、鼻骨と前歯2本を折っていたそうで、訴訟に発展しそうだ。ユナイテッド航空のトップが職員向けに送ったメールで、…

「All of Us Research Program」

「The Precision Medicine Initiative Cohort Program」(プレシジョン医療コホート計画) が「All of Us Research Program」 と名を代えて活動を広げようとしており、シカゴでもようやく機運が高まりつつある。2015年にオバマ前大統領が、プレシジョン医療…

小児がんの医薬品開発のための課題

ようやく時差ぼけが取れてきたが、17日にはシカゴを発ち、再度日本を訪問する。今回は北京で21日から開催される国際胃がん学会のオープニングセッションで免疫療法の話をすることが主目的だが、19日の午後には、立命館大学の草津キャンパスで「がんと闘い続…

性的嗜好と咽頭部がんをつなぐパピローマウイルス

一昨日のワシントンポストが、「性的な嗜好が、咽頭部がんなどのリスクを増す」という特集を組んだ。俳優のマイケル・ダグラスが、4年前に、「自分のがんに性的嗜好が関係する」可能性を告げた際には、ほとんどの人が間違った情報を伝えられたのではないかと…

がんプレシジョン医療;がんの治癒を目指して(3)+シカゴ5周年

今日はシカゴに来て5年目の記念日だ。いろいろな想いがあって日本を飛び出し、矢のように時間が流れた。日本にそのままいれば、定年後の生活を考え始めていたのだろうが、米国の実情を知り、日本を遠くから眺め、日本のがん医療の将来に対する不安がますます…

がんプレシジョン医療;がんの治癒を目指して―(2)

プレシジョン医療には、当然ながら予防や早期発見も含まれる。肝炎ワクチンやパピローマワクチン(現在では、子宮頚がんだけでなく、頭頸部癌の予防につながると考えられている)など有効な手段だ。そして、個人ごとの遺伝的リスクに応じた、がん予防プログ…

リレ―フォーライフ@東京医科歯科大学

今、羽田空港にいる。昨日は久々にリレーフォーライフに参加していただいた。患者さんや家族の方と触れ合うと刺激になる。米国のように、患者さんたちと医師・研究者が一体となった行動を起こすことが必要だと思う。滞在中、プレシジョン医療という言葉も広…

がんプレシジョン医療;かんの治癒を目指して(1)

今、金沢から東京へ向かう新幹線の車中にいる。自宅が羽田空港に近いので、今朝は飛行機で金沢に向かったが、夕方は東京駅近辺で用件があるため、新幹線にした。北陸新幹線に乗るのは初めてだ。この列車は東京まで3時間かかるので、結構体にはきつい。でも、…

革新的技術と規制+トランプ政権NIH予算カット

昨日は先進医療推進フォーラムに参加した。私を含め、3名ががんに関係する話、1名が心臓の再生医療に関わる話だった。最初の演者が、「がんには3大治療があり、外科、化学療法、放射線療法だ」と発言した時には、愕然と、ずっこけてしまった。私も、私の次の…

ムーンショット計画の行方

バイデン前副大統領が久々に公の前でスピーチをして、「私はがんを克服する大統領になりたかった」とコメントをした。そこれ気になるのが、がんの治癒を目指す「ムーンショット計画」の行方だ。計画に携わっている人によると、トランプ大統領も計画の内容自…