医療(一般)

人間愛のないがん医療

今、日本にいて、明日朝、羽田からシカゴに戻る予定だ。1週間の滞在の間、火曜日から水曜日にかけて、いわき市に行き、木曜日と金曜日は徳島にいた。月曜日には国際医療福祉大学三田病院で、肉腫センター主催の講演をしたので、1週間に3回の講演会をした。昔…

稀少がん免疫療法+日本の医薬品輸入超過額、3年連続で2兆円越え

2017年度の貿易統計の速報値が公表された。昨年度に引き続いて、輸出が増え、輸入が減少したものの、依然として、赤字額は2兆円を超えている。これで3年連続、医薬品貿易赤字額は2兆円を超えている。小野薬品が抗PD-1抗体の国内特許を抑えていたからいいが、…

京大研究不正-3;抜本的な教育・研究体制の見直しが必要だ

京大研究不正問題で、山中先生を支援する声は大きい。是非、踏みとどまって、患者さんの期待に応えて欲しい。 しかし、この種の問題が起きるたびに、研究者や大学の管理体制が問われ、管理の厳格化が求められるが、私は、これは間違いだと思う。大学の教官は…

京大論文不正-2

山中伸弥先生の記者会見の様子をビデオで見た。「不正を防げず、無念」とのコメントだったが、私は不正など、組織がとてつもない努力をしても、防げるはずがないと思っている。性善説に経てば、努力によって防げるはずだが、世の中から犯罪がなくならないの…

京大論文不正;これでいいのか、日本メディア

ネットニュースで「京大iPS研で論文不正 山中伸弥所長が謝罪」という標題の記事を目にして、急いで記事を読み、論文を調べた。 産経新聞には「所長を辞職するか報道陣に聞かれ、『その可能性も含め、どういう形が一番良いのか、しっかり検討したい』と話…

がん予防は可能か?ガラパゴス的「日本の禁煙・ワクチン」施策

「CA Cancer Journal for Clinicians」誌のオンライン版で「Proportion and Number of Cancer Cases and Deaths Attributable to Potentially Modifiable Risk Factors in the United States」というタイトルの論文が公表された。日本語で意訳すると「人為的…

エイズに罹るサル・罹らないサル;どこが違うのか?

今朝は気温が久々にマイナス一桁台となり、歩いて通勤した。先週は完全防備していても2-3分歩くだけで体の芯まで冷え込む気候だったが、10度上昇すると体感的には全く違う世界だ。日中も、零度を超えて4度まで上昇した。この気温で暖かく感ずるのだから、人…

リアルタイム遺伝子解析時代はすぐそこまで!

IBMのワトソン(人工知能)のコマーシャルで、開業医が遺伝子解析結果を扱っている場面が紹介されている。人工知能は、専門的な知識を持たなくても、最先端の結果をユーザーが利用することを可能にする。日々更新されていく新しい技術や情報を入手する事は、…

厳寒のシカゴで迎える6度目の元旦

新年まであと2時間と少し。今現在、外気温はマイナス16度、明日の朝はマイナス20度まで下がる極寒の中で、新年を迎えつつある。「寒い」の一言しかない。予報によると、1月5日まで最高気温がマイナス10度を下回る。連日、過去最低気温を更新しそうで、6年…

T細胞系悪性腫瘍治療に光明?!

今月号のNature Medicine誌に「Targeting the T cell receptor β-chain constant region for immunotherapy of T cell malignancies」というタイトルの論文が掲載されていた。T細胞受容体を標的としたT細胞系の悪性腫瘍に対する新しい可能性を示した論文であ…

大石内蔵助になれ!

今年最後になる(はずの)羽田空港にいる。今回も忙しかったが、雑誌の取材、テレビの収録、役所の知人や医師との会合の中で、多くの心の波長の合う方々に出会った。本当に心と心が感じあった人たちの集合が世の中を動かせるのだと信じている。そして、そん…

大腸がん診断後でも遅くない;繊維性食品を食べよう

1ヶ月少し前のJAMA Oncology誌に「Fiber Intake and Survival After Colorectal Cancer Diagnosis」というタイトルの論文が発表された。ステージ1-3期の1575名の大腸がん患者を追跡調査し、食物繊維摂取量と大腸がんによる死亡率やすべての要因での死亡率(…

経口ホルモン避妊薬は乳がんリスクを高める?!

今週の「New England Journal of Medicine」誌に、経口ホルモン避妊薬と乳がんのリスクを解析したデータが報告されていた。デンマークの15-49歳の全女性を追跡した結果である。デンマークの2016年度の人口は約570万人であり、この論文の対象とな…

教育と知識ギャップ

今、羽田空港にいる。土曜日に羽田空港で飛行機を降りて、まだ、60時間しかたっていない。9月の後半からの2か月間で4往復は考えていたより、体に負担がかかる。しかし、今回は「がん患者さんや家族のために何かができれば」と思って東京にやってきた。最後の…

がん患者さん・家族・団体への恩返しのために

今年の日本の勤労感謝の日と米国のThanksgiving Dayは同じ日となった。勤労感謝のも日が11月23日に固定されているのに対し、米国のThanksgiving Dayは11月の第4木曜日となっているので、5-6年に一度しか同じ日にちにはならない。この頃から、正月明けまで、…

リキッドバイプシーで免疫治療の効果予測?

10月号の「Clinical Cancer Research」誌に「Hypermutated Circulating Tumor DNA: Correlation with Response to Checkpoint Inhibitor–Based Immunotherapy」(免疫チェックポイント抗体治療法の効果が、血漿中DNAに遺伝子異常が高頻度に検出されることと関…

5年間のホルモン療法後の長期間乳がん再発率;厳しい現実を前にして

先週号の「New England Journal of Medicine」誌に「20-Year Risks of Breast-Cancer Recurrence after Stopping Endocrine Therapy at 5 Years」(5年間でホルモン療法を止めた後の、20年間にわたる乳がん再発リスク)というタイトルの論文が報告されていた…

基礎も臨床も「木を見て森を見ずに」ならないように

今、羽田空港にいる。高松宮妃がんシンポジウムに3日間参加したが、3日間座り続けるのは結構きつかった。しかし、腫瘍微細環境について、かなり色々なことを勉強できた。私は腫瘍環境の中におけるT細胞やB細胞の話に絞って話題を提供したので、他人のことは…

第13回がん患者大集会(11月26日)

今、オヘア空港にいて、東京に向かうところである。9月の終わりから、日本癌学会、日本癌治療学会と続いたが、今回は高松宮妃癌シンポジウムに参加するためだ。シンポジウム終了後すぐにシカゴに戻るが、今月末には、再度「がん患者大集会」(11月26日午後1…

プレジョン医療導入の壁

一昨日に続き、昨夜も近辺で路上強盗があった。しかも、午後8時から10時30分の間に4件もだ。犯行グループは二つのようだが、二件は私の通勤路のすぐそばで起こった。シカゴに来て6年目だが、年間5件程度であったものが、2日間で6件も起こったので、なんとな…

腸内細菌と免疫システム

シカゴもようやく平年並みの気温になり、朝の出勤には真冬のコートが必要となってきた。明日の最低気温予想は0度であり、氷点下になる可能性もある。寒さは苦手だが、6度目の冬を迎えるので、体の備えも、心も準備もできている。しかし、懸念されるのは治安…

オピオイドの社会問題化と米国路線、保安検査の厳格化

疲労困憊で羽田から飛行機に乗り込み、機内で熟睡したためか、全く時差ぼけがない。風邪薬の影響もあるのだろうが、食事後に一気に眠りに落ち、目覚めた時には到着まで2時間を切っていた。約束していた論文の見直しが機内ではできなかったが、時差ぼけがない…

嵐の前の静けさ

前回の日本癌学会の際には、直前のベトナム訪問の食中毒を引きずり、今回の日本癌治療学会時には風邪で咳と熱に苦しみ、散々な日本出張が続いている。今、羽田空港で、これからシカゴに戻るところだが、階段を上がると息切れがする。少し回復はしてきたが、…

がん治療を変革する「ネオアンチゲン」と「リキッドバイプシー」

Google Scholarで「ネオアンチゲン」「リキッドバイオプシー」を検索すると、前者は2013-2015年間で約1670件ヒットしたのに対し、2016年1390件、2017年は今日の時点で1430件であった。「リッキドバイプシー」は2013-2015年で1200件のヒットが、2016年13,800…

ゲノム研究を過小評価した罪は大きい!

今週号のNature誌に、まれな遺伝子多型(非常に少数の人で見られる遺伝暗号の違い)が、遺伝子の発現レベルに影響しているという論文”The impact of rare variation on gene expression across tissues”が報告された。Genotype-Tissue Expression (GTEx)(遺…

シカゴに戻る;民間でがん治療を動かそう

ハノイ・東京(正確には横浜)11日間の出張を終えて、ようやくシカゴに戻ってきた。帰国日も朝から会合、そして、1時間の講演会をこなし、夕方の成田―シカゴ便で午後3時頃にオヘア空港に戻ってきた。 土曜日の夜に、友人であるJun Wang氏(前Beijing Genome …

医療事故を起こす医師は謙虚でないのか?

ネットニュースを見ていると「下手過ぎる医師の恐怖、病室の惨劇はこうして起きた」というタイトルの記事があった。群馬大学付属病院で起きた医療事故に関して、首藤淳哉さんという著者がコメントをしていた(JB Press)。最後のほうに、「医療事故によって…

膵がんのリキッドバイオプシーは難しい?

テキサスを襲った台風の傷が癒える間もなく、強烈な台風がフロリダ半島に迫っている。この台風は、カリブ海の国々に大きな傷跡を残し、米国に迫っている。日本からは遠く離れているが、是非、復旧の支援をして欲しいと願っている。そして、フロリダでは、ト…

子宮頸がんワクチン報道;科学的素養に欠けるメディアの愚

前回に続き、日本のメディアに欠ける科学的素養について、子宮頸がんワクチンをテーマに述べたい。8月26日付けの毎日新聞が「 子宮頸がんワクチン ウイルス感染に9倍の差 再開求める」との日本産科婦人科学会の声明を報道した。一方、NHKは「子宮頸がんワク…

臍帯血輸血で逮捕;日本のメディアは最低だ?

民間クリニックが他人の臍帯血を国に無届けで投与していた問題で逮捕された。面白いことに、メディアによって取り上げる角度が微妙に異なる。「再生医療安全性確保法」違反には間違いないが、無届けで行われたことが問題なのが、白血球の型(HLA)が合わない…