医療(一般)

がん医療の実態を理解しないNHK

フコダインが「がんに効く」と称して販売していた健康食品会社の幹部が逮捕されたというニュースがあった。原価3000円を50000円で販売していたようだ。とんでもない話だと思う。NHKのニュースキャスターが最後に、こんなペテンに騙されないために、「主治医…

「私にしたがって延命治療を受けなさい」の信条を押し付けるのが医療か?!

日本に戻って1年と少し。気持ちは梅雨空のようにどんよりしている。1年前は酷暑だったが、この国を変えたいとチャレンジする気持ちに満ち溢れていた。しかし、今は平均日照時間2時間で、立ち枯れのような状態だ。特に、辛いのは、ワクチン療法に否定的な医師…

アブスコパル効果(abscopal effect)は免疫効果だ

今月号のNature Medicine誌に「Programmable bacteria induce durable tumor regression and systemic antitumor immunity」という論文が報告されている。遺伝子操作をした無毒の細菌を利用して患者さんの体内で免疫反応を誘導する治療法が生k際されている。…

患者さんに悪い知らせを告げる術を身につけよ

「Deep Medicine」という本をようやく読み終えた。集中して読む時間が確保できず、長時間かかってしまったが、最後の「Deep Empathy」の章が印象に残った。人工知能(AI)を利用した医療が進むであろうことを紹介した本だが、最後の部分は私が今の日本に医療…

多様性を考えた健康指導体制の確立が重要

昨夜は、札幌医科大学で特別セミナーを行った。科学の内容だけでなく、がん研究に臨む姿勢が少しでも伝わったのであればと願っている。そして、夕食後、中村研究室OBの北海道同窓会が開催された。北大・札幌医大出身・在籍中の12人が集まってくれた。今でも…

猫も杓子もマイクロバイオーム研究

腸内には多くの種類の細菌が存在しており、それが種々の疾患に関係していることがわかってきている。その腸内細菌を調べて、病気などとの関りを調べる研究がブームとなっている。 治療と関係するものでは、炎症性腸疾患(クローン病や潰瘍性大腸炎)患者に、…

自分に従わないと診療拒否する医師!

私が医者になったころ、がんの手術は拡大手術が流行だった。化学療法が進歩し、放射線療法もがん組織だけ狙い撃ちする技術が格段に向上し、今や、拡大手術は過去の遺物となった。乳がんなど、術後に肋骨の形が皮膚の下に浮き上がってくるような姿が普通だっ…

令和の目標に「がん患者に希望と笑顔を!」

平成から令和と移り変わる瞬間を私は静かに迎えた。 New England Journal of Medicine誌に「Anti-BCMA CAR T-Cell Therapy bb2121 in Relapsed or Refractory Multiple Myeloma」というタイトルの論文が掲載された。新しい種類のCAR-T細胞療法の多発性骨髄腫…

医学・医療分野にも波及した米中摩擦

Science誌に「Exclusive: Major U.S. cancer center ousts ‘Asian’ researchers after NIH flags their foreign ties」(NIHが外国との関係に関して注意勧告したあと、米国の有名がんセンターがアジア人研究者を追い出した)という表題の記事が掲載されてい…

外科医が行うべき研究とは?

今日は大阪で開催されている日本外科学会に招かれ、特別企画「外科医が行うべき研究とは」の中で、「患者さんから学び、患者さんに還元する研究を!」というタイトルで講演を行った。私は、腫瘍外科医として勤務した時に感じた疑問を出発点として、研究を始…

基本を知らないがん研究者

若いがん研究者と話をする機会があったが、驚くほど基本的な事項が理解できていなかった。胚細胞変異と体細胞変異の区別ができない。「遺伝性がんの原因遺伝子は遺伝性のがんに特別なものではなく、それらの遺伝子が体細胞で変異をするとがんにつながる」な…

5G時代に生き残れるのか?

久々に成田空港にいる。シカゴー羽田直行便がスタートしてからは、もっぱら羽田空港を利用していたし、東アジアも羽田から多くの都市へのアクセスがいいので、成田を利用する機会がなくなっていたので、新鮮な感じがする。今年は5月に台湾、9月に韓国、10月…

膵臓がん治療に光明か!?

Nature Medicine誌に「Protective autophagy elicited by RAF-MEK-ERK inhibition suggests a treatment strategy for RAS-driven cancers」というタイトルの論文が報告されている。RASというのは代表的ながん遺伝子であり、人のがんでこの遺伝子の異常が見…

人工知能の可能性

病院に人工知能を導入する必要があると言うと、多くの人が無機質で冷たい診療現場になることを危惧する。しかし、私は医療現場に人間らしさを維持するためには、人工知能の補助が不可欠だと考えている。 患者さんの観点で医療現場を見た場合、ストレスと感ず…

再生医療に対するNature誌での批判

1月31日号のNature誌に「Stem-cell therapy raises concerns」というコメントが掲載されていた。「脊髄損傷に対して患者さん自身の間葉性幹細胞を培養して増やし、それを静脈注射で患者さんの身体に戻す」治療法を、日本では有償で実施することが認められた…

化学療法で臨床的に消えた直腸がんはどう治療する?

JAMA Oncologyに「Assessment of a Watch-and-Wait Strategy for Rectal Cancer in Patients With a Complete Response After Neoadjuvant Therapy」というタイトルの論文が発表されていた。直腸がんの化学療法によってがんが消失した患者さんに対して、手術…

医療現場で失われているHumanity

昼過ぎから風もでて、寒くなってきた。ちなみにシカゴはどうなのかと思って、天気予報を見た。調べた時点での気温マイナス19度に体がすくみそうになったが、30日の予想はなんと最低気温マイナス30度、最高気温がマイナス24度だった。こんな所で、6回も冬を過…

人工知能システムによる麻薬オーバードーズや危険な不整脈の診断

1月9日号のScience Translational Medicine誌に「Opioid overdose detection using smartphones」、そしてNature Medicine誌に「Cardiologist-level arrhythmia detection and classification in ambulatory electrocardiograms using a deep neural network…

マグロ1匹と臓器移植の価値

テレビのニュースで、豊洲でのマグロの初セリが3億3360万円と報道されていた。セリ落としたすしチェーン店では通常価格でマグロが販売されているので、採算が合うはずがないが、これだけニュースで取り上げられれば宣伝効果は絶大だろう。このマグロを…

慟哭の詩2018:もし、私が天涯孤独だったら

私に血縁が全くいなければ、20歳で大腸がんと闘っている若者に、自らの手でネオアンチゲンを注射し、MDアンダーソンがんセンターで治験中のMELK阻害剤を投与してあげたい。 進行がんだから、諦めるしかないとは絶対に言わない。 彼に希望を与え、笑顔を取り…

ピンボケ日本のがんゲノム医療:米国治験データベースでのネオアンチゲン療法

米国に「ClinicalTrials.gov」に検索可能な臨床試験データベースがある。「Cancer」で検索すると64,464項目がヒットする。この中には「completed」(終了)したものも「Active, not recruiting 」(試験中であるが、患者さんのリクルートは終わっている)も…

すい臓がん術後補助療法;FOLFIRINOX療法がゲムシタビンより優位

「New England Journal of Medicine」誌に「FOLFIRINOX or Gemcitabine as Adjuvant Therapy for Pancreatic Cancer」というタイトルの論文が掲載された。簡単に言うと「すい臓がんの術後化学療法として、FOLFIRINOX療法とゲムシタビン療法のどちらがいいの…

前立腺がんや大腸がんの手術の意義?

先週、ようやく年金の手続きを終えた。私の年代の医師は、医局の指示もあり、転々と職場を変えた。その影響もあり、私の場合、10カ所の年金記録があった。また、合計11年以上の米国暮らしもあり、書類の準備が大変だった。先週の金曜日に、「これで書類はす…

がん医療革命に向けて:診療情報や生体組織を患者さんの手に

日本に戻って以降、知人や友人からがんの治療に関する相談を受ける機会が多くなった。投薬や注射薬の情報を含め、自分の治療経過を詳細に記録している患者さんや家族がいる一方で、自分のがんの情報をほとんど知らない患者さんもいる。「がんの大きさはどれ…

AI(人工知能)が症状から病気を診断する?!

今から韓国に出張に行くが、体の節々が痛んでいる。日曜日、運動している時に転んで、見事に一回転した。右手のひら、右ひじ、右ひざに見事な擦過傷を負った。頭頂部から真っ逆さまになり、全体重が頭頂部にかかっていた記憶がある。その後、衝撃をうまく受…

日本はもっと国際的な貢献を!

今週の前半に、シカゴの病院で銃の乱射事件があり、3人+犯人が死亡したと報道された。事件が起こった病院の所在地を調べると、シカゴのチャイナタウンの少し東側にあり、いつも通っていた高速道路に隣接する病院だった。南北でいうと、シカゴのダウンタウン…

膀胱がんに対する抗がん剤治療;温故知新

日露関係が一歩進みそうだ。相手の大統領は曲者なので、油断はできないが、ベストより、ベターでいいのでは?四島一括返還が大前提と言うが、大半の日本人は「そんな事が叶うはずがない」と思っている。現状を理解していれば当然だ。言霊主義にも限度がある…

標準化=マニュアル化、機械化、無味乾燥化?日本のがん医療

一昨日、福岡がん総合クリニック主催の講演会が、福岡で開催され、1時間の講演をさせていただいた。会場には500人前後の方が参加され、熱気を帯びていた。講演に参加された講師陣とも話をしたが、多くの進行がんケースでは、標準療法の先には暗黒の断崖絶壁…

PARP阻害剤のBRCA1/BRCA2異常を持つ卵巣がんの顕著な増悪抑制効果

台湾の新幹線に初めて乗車して、台中にやってきた。迎えの車がどこにいるのかわからず、台中駅からタクシーでホテルにやってきたが約20分で1000円とお手頃だった。明日の朝10時から特別講演をする。羽田から台北の松山空港までは約3時間30分と沖縄に行くのと…

がん治療革命

私は「がん治療革命」を起こしたいと考え、日本に帰国した。「革新」でも「改革」でもないことに重要な意味を持っている。フランス革命、ロシア革命に代表されるような革命では、短期間で社会体制がひっくり返った。それ以前の王朝が木っ端みじんに粉砕され…