社会保険料の負担軽減より、医療の質の向上を!

Nature誌の11月21日のNews欄に「Cyberattacks' harm to universities is growing — and so are their effects on research」という記事が出ている。サイバー攻撃で米国の大学などに大きな被害が出ている。プリンストン大学、ハーバード大学など、世界の大学ランキング上位大学などでも、ランサムウエア攻撃にさらされて大きな問題が生じている。日本でも、アサヒがランサムウエアに攻撃されて、ビール業界に大きな影響が出ているし、3年ほど前には大阪急性期総合医療センターが数か月間機能不全になるような障害が起きている。

記事の中でさらなる脅威と感じたのは、人工知能がランサムウエアのプログラムを作れるようになって、次々と新たな大きな攻撃を起こす可能性のあることだ。個人情報の流出などは言うに及ばず、経済的な被害、そして、病院で起これば患者さんの命に係わる事態が生ずるのだ。91%の高等教育機関が、過去1年間に何らかの形でサイバー攻撃を受けていたというのだから、明日は我が身の状況であることは間違いない。

このように人工知能という機能を悪用するようになれば、これまでのような備えでは対応は不可能だ。もはや一つの大学、一つの研究機関で、世界的な脅威に対応するのは不可能だし、医療機関でも個々で対応するよりも紙ベースのデータにした方が、安全性が高くなるのではと思える事態となってきた。

それよりも、公的なデータベースで診療情報などを管理し、国が総力を挙げてそのセキュリティーを守るようにした方が安全性が確保されるのではと思う。クラウド上に、個人情報を分散させて管理すれば、一定レベルのプライバシー侵害からの保護はできるし、大災害時にもその情報を基に診療の継続が可能となる。膨大な予算を電子カルテ業者に支払い続けて、病院が赤字になるなどの喜劇的な悲劇もなくなるはずだ。

診断補助人工知能や処方ミス発見のやめの人工知能などをリアルタイムで活用できれば年間数兆円規模の医療費の節約につながる。医療費の削減よりも前に、医療の質の向上があってしかるべきだ。色々な意味で、医療の質が向上すれば、早く正確に診断でき、個人に適切な治療を受けることができ、早く回復して、医療費は効率的に使われるようになり、労働人口の確保にもつながる。

日本では医療費削減論が先行しているが、いつまでこんな本末転倒の話を続けるのだろう。