成長期の放射線画像診断による被ばくと血液がんリスク

10月2日号のNew England Journal of Medicine誌に「Medical Imaging and Pediatric and Adolescent Hematologic Cancer Risk」というタイトルの論文が公表されている。子供や青少年の間に受けた放射線画像検査による被ばくと血液がん発生リスクを評価した結果だ。

米国6つの医療システム(米国の場合、公的な医療保険だけでなく、民間の医療保険もあり、それぞれが大きな医療システムを有している)およびカナダ・オンタリオ州に登録されている、1996年から2016年の間に生まれた3,724,623人の子供を対象とした研究結果である。

最終評価は2017年12月31日であった。したがって、1年少々しか追跡されていない子供もいる。期日に達する前に、がん・良性腫瘍と診断された場合や亡くなった場合、医療保険が終了した場合はその時点で調査は終了している。検査による骨髄への放射線線量を数値化して、それらと血液がんの発症リスクを比較検討したものだ。一人当たりの追跡期間は平均10.1年であるので、35,715,325人・年の追跡期間という膨大なデータである。この期間に、2,961人が血液がんと診断された(リンパ系腫瘍が2,349件・骨髄系腫瘍あるいは急性白血病が460件・その他の血液腫瘍が129件)。

検査を受けて被ばくした小児における平均被ばく量は14.0±23.1 ミリグレイであった。ちなみに、頭部CT検査1回あたりの被ばく量は約13.7 ミリグレイと推測されている。血液がんを発症した子供では24.5±36.4 ミリグレイと少し高かった。当然ながら、がんリスクは、放射線量の増加とともに高くなり、被ばくしていない群と比較した場合、1~5 ミリグレイでは1.41倍、15~20 ミリグレイで1.82倍、50~100 ミリグレイで3.59倍と増加する。著者らは、血液がんの約10.1%(95% 信頼区間は 5.8–14.2%)が、医療用画像検査による放射線被ばくに起因すると推定していた。

これまでは、放射線を利用した検査はがんなどのリスクは限定的と言われてきた。

 

Google Geminiによると

しきい値がない(どの程度の線量でも影響が生じる可能性がある)と考えられており、線量が増加するにつれて影響が発生する確率が上がります。これに発がんや遺伝的影響が含まれます。

ただし、CT検査などの一般的な医療被ばく線量(1回あたり数〜数十ミリシーベルト程度)では、この発がんリスクの増加は100ミリシーベルト以下では実証されていません。(*シーベルトとグレイは単位が異なる。シーベルトは放射線の種類や放射線を受けた臓器などを考慮した単位)

日常生活における他の発がんリスク要因(喫煙、過度の飲酒、肥満など)と比較すると、医療被ばくによるリスクは非常に小さいと考えられています。

小児は大人に比べて放射線に対する感受性が高く、発がんリスクが2〜3倍高いと推定されています。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――とある。

 

ChatGPTだと

高線量の被ばくではがんリスクが上昇することは確立しています(広島・長崎の原爆被ばく者研究など)。
一方で、CT検査レベルの低〜中線量でのリスクは「理論的にはある」と推定されていますが、実際に観察するのは難しいのが現状です。

大規模コホート研究(米国・カナダ・欧州)で、小児・思春期のCT被ばくと白血病や脳腫瘍リスクの上昇が報告されています。
成人においては、がんリスク上昇は理論的には推定されるものの、疫学的に明確に証明するのは困難です。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――とある。

今回の論文は、子供に対するCT検査などは少なからず、がん、特に血液がんのリスクを高めることを示したものだが、「検査によって患者さんが受ける利益と被ばくリスク」を考えた判断が求められることを改めて示したことになる。ただし、放射線に被ばくした後のDNAの修復能などは個人間で大きな差がある。近い将来は、このような個人間のゲノムの多様性を考えたリスクアセスメントが必要となる。