日本の科学技術分野での存在感低下が止まらない!

科学技術・学術政策研究所が「科学技術指標2022」を公表した。コロナ感染症に対する非科学的対策から見て取れるように、この国の科学分野での国際的地位はどんどん低下していっている。

 

日本から発表された全論文数は1998-2000年71,401、2008-2010年75,415、2018-2020年86,317と数は増え、順位は2位、5位、5位と健闘しているように見えるのだが、全体に占めるシェアは9.8%、7.0%、5.0%と20年間で半減近い状況である。一方、中国は1998-2000年のシェア3.5%、第9位から2018-2020年にはシェア26.8%、第1位と大躍進している。

 

これが引用数の多いトップ10%で見ると

1998-2000年

1位 米国 (シェア48.5%)

2位 英国 (シェア11.3%)

4位 日本 (シェア7.3%)

2018-2020年

1位 中国 (シェア33.4%)

2位 米国 (シェア31.8%)

12位 日本 (シェア4.0%)

 

トップ1%では

1998-2000年

1位 米国 (シェア58.0%)

2位 英国 (シェア12.5%)

5位 日本 (シェア5.9%)

2018-2020年

1位 米国 (シェア40.0%)

2位 中国 (シェア37.0%)

12位 日本 (シェア5.1%)

となり、この間、中国だけでなく、韓国も22位から14位に急上昇している。

 

日本はアジアの科学研究をけん引する国から、アジアで第3位となる日も近い。

シェアの合計は100%を大きく超えているが、これは国際共同研究が盛んになってきて、一つの論文に複数の国が参加していることが多くなった結果だ。日本の研究者が参加した国際共同研究が少ないため、日本は順位を大きく下げている。

 

科学技術力の低下についても、危機が叫ばれて久しい。しかし、何も改善されていない。当然だと思う。世界と競争するには世界の動きを知ることが必要だ。若い研究者が留学しなくなり、世界とのパイプがどんどん細くなってきているのだから、情報が入ってこないのだ。

 

コロナウイルスに対するmRNA ワクチンの議論など、滑稽なほど世界の動向に対する無知がさらけ出された。いろいろな分野で画期的な技術の開発が行われている。新しい技術は、今日は見えていない世界を、明日には見ることを可能にし、世の中を変えるような革新を引き起こすことにつながるのだ。