あっという間の1年だった。しかし、若い時なら血管が切れそうな案件でも、怒る気力さえ起らなかったのはいいのか、悪いのか?
世の中には理不尽なことがたくさんある。ロシアのウクライナ侵攻を引き金とした戦争はいまだに続いている。NATOや米国は支援をしているものの、犠牲者の大半はウクライナの人々だ。ロシアには北朝鮮が応援に回り、兵を派遣している。トランプ次期大統領はすぐに戦争を終わらせると予告しているが、現状ではウクライナの譲歩による戦争終結しかない。そして、これで北朝鮮はロシアに貸しを作り、東アジア情勢は、韓国政情の混乱も重なって一気に流動的となる。韓国では、大統領代行までもが弾劾され、混迷が深まっている。中東もイスラエルとガザのハマスの紛争が長引く中で、シリアに影響を及ぼして、ますます先が見えない展開になってきた。血で血を洗うような悲しい状況がいつまで続くのか?
日本でも、能登半島の復興は、悲しくなるほど遅れている。阪神淡路大震災からもうすぐ30年になるが、あの時と比べて、能登半島の被災者への復興支援は明らかに遅い。支援が遅れれば遅れるほど、被災地の人々の気持ちはだんだんと精神的にも厳しくなってくる。「103万円の壁」問題も大事だが、高齢者が多い被災地を優先して欲しいものだ。こんな日本に誰がしたのかと問いたくなる。
2025年の日本はどうなるのか?少数与党であるがゆえに、小さな野党の「103万円の壁」「教育無償化」という一つのテーマに振り回されて、国をどうするのかという根幹が霞んでしまっている。医療においては、診療報酬の改定と働き方改革によって多くの病院が悲鳴を上げている。収入は診療報酬という公定価格によって決められているが、材料費や人件費は増えているのだから、経営は逼迫し、赤字化して当然なのだ。仕事量が減らないのに働く時間を減らすことなどできるはずもないのだが、大変な時に、非常識な制度をよくも導入したものだ。江戸時代に「農民を生かさず、殺さず」政策がとられたことに匹敵するような愚策が進んでいる。楽で収入のいい美容整形に若い医師が流れていく傾向が強まれば、医療の崩壊は必至だ。
医療のデジタル化というが、日本は電子カルテの統一化に失敗し、二十数年間を失ったために。医療産業が活力を失っている大きな要因の一つがここにある。また、説明や同意、紹介状や診断書など書類作成に大きな時間が費やされている。これを人工知能などを用いて軽減化する作業も遅々として進んでいない。いまさら、電子カルテの統一化ではなく、統一された電子カルテを強制する方が効率的だと思う。年齢にかかわらず、ゆりかごから墓場まで医療は不可欠だ。医療分野にこそ、国家的資源を投入すべきだ。医療が機能しなくなると、最大の不安要因になる。2025年こそ、もっとまともな議論をしてほしいと願っている。