ポストパラリンピック番外:コロナ陽性患者急減少は謎か?

コロナ陽性患者数が急速に減少してきた。その理由として

  • ワクチン接種
  • 行動制限
  • 夏休み期間による人流減少

などが挙げられているが、これだけでは説明は難しい。

ワクチン接種は一定の効果をあげていることは確実だが、人流抑制は疑わしい。銀座や渋谷でも人がいっぱいだし、通勤電車の混雑も少しは緩和されているが、期待値には遠く及ばない。お酒を提供する店も増えてきた。

 

それではどうして急激に減少したのか?
考えられる理由の一つが、8月ごろの検査抑制による、無症状感染者の野放し状況だ。濃厚接触者の追跡もほぼ行われていなかったので、若年者には発表されている数字の数倍-十倍もの無症状感染者が存在していたのではないだろうか?無症状感染者は、気づかないうちに自然にワクチンを投与されたのと同じような意味を持つ。

 

検査の陽性率が20%を超えているというのは異常な状況であり、感染している人を十分に捕捉できていないことが明白だ。感染力が高いにもかかわらず、濃厚接触者の定義もかなり緩くなってきているようなので、相当数の無症状感染者がおり、ワクチン接種者をはるかに上回る割合で抗体を持っている人が増えてきたことで、急速に感染陽性者が減ってきたものと考えると腑に落ちる。この国では、当初から「検査と隔離」の原則を放棄し、真の感染者数を捉える検査の拡大を怠ってきた。1年6か月の間に無症状のまま見過ごされてきた人の数は全国で少なくとも数百万人はいると推測される。ひょっとするともっと多いかもしれない。そうすると、ワクチン接種を受けたことに相当する人が5%―10%は上積みされる。集団免疫が成立する数値にもっと近づいている可能性がある。

 

この謎とも思われる現象を説明するにも科学が必要だ。コロナ感染症と確定されていない人たちの間にどの程度、抗体を持っている人がいるのか調べればいい。

 

われわれの研究では、一般風邪のコロナウイルスに感染したために、細胞免疫が活性化され、今回のCOVID-19感染を逃れた人(交差免疫がある人)がいる可能性が示唆されている。この人たちは、COVID-19に感染しても、ウイルス感染細胞(ウイルス自身も)を殺すことができ、また、それによって細胞免疫能にブースターをかけているものと推測される。これも科学力さえあれば、簡単に答えが求められる。従来の風邪コロナに対する細胞免疫を持っている人が多いことは、昨年度の感染者が少なかった要因の一つとしてあげられるのではないか?

 

自民党総裁候補者の話を聞いても、コロナ対策の科学的根拠の脆弱さを指摘する声はない。科学なき、ウイルス対策は終わりにして欲しいものだ。

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