責任ある立場に就くには、覚悟が必要だ!

今、ソウルの金浦空港にいる。午前中の講演が終わったあと、ソウル大学内の韓国レストランで友人と食事をした。2日間、西洋式の料理が続いていたので、豆腐チゲを食べた。彼と二人で食事をするのは2回目だが、彼がポツリポツリと自分の生い立ちを話し始めた。私がモチベーションを保ち続ける理由として、外科医をしていた頃に体験した若いがん患者さんの話や希望のない患者さんに光を当てたいと語ったことが引き金になったようだ。

 

彼の話は、家が貧しいので、15歳の時にソウルに出た(出された)ことから始まった。ソウルには一人の知り合いもない中で、朝4時に起きて新聞配達と牛乳配達をしてから高校に通い、10平米のアパートに戻ってから、別の仕事をして学費と生活費を自分で稼いだそうだ。高校を出て、いったん就職したが、大学卒の人との待遇の違いを肌で感じ、学費を稼ぎつつ、エンジニアの専門学校に通い、そして27歳で4年制の大学を卒業した。この間、一人で自分を支えたそうだ。そして、必死で働き続けた結果、米国の企業からヘッドハンティングされて米国に渡り、10年前にソウルに戻ったとのことだ。

 

韓国に戻ってからは、ボランティアで貧しい子供のために早朝講義をしているそうだ。この彼の活動は、彼の友人たちが給料の一部を寄付して支えている。毎日15-20時間働き続けていることを、彼の友人から耳にした。これまでも、メールや会議の場で、何事にも誠実で真摯で、正直な人だと感じていたが、こんな人生の軌跡をたどっていた故なのかと、豆腐チゲが目にしみてしまった。

 

また、彼は医学・医療の知識に乏しいので、毎週土曜日には、バイオメディカル分野の講義に参加していると言っていた。自分の得意分野以外の仕事に携わる場合には当然だと思うが、私の周りには、そんな人はほとんど見つからない。私は免疫療法に関心を持った時に、免疫学の教科書を2冊読んで勉強をした。米国の研究者は、医師でなくとも、自分の研究している領域の疾患に関してはかなり詳しい。専門でないのでわからないと何年経っても言い続けているのは、プロフェショナルとしていかがなものなのか?責任ある立場に就くには、それなりの覚悟が必要だと思うが、甘い人が多すぎる。

 

話は変わるが、参加した学会は、韓国がん予防学会だった。韓国の若い人たちの話を聞いていると、やはり日本の英語教育は遅れていると思わざるを得ない。中国を訪問しても、同じようなことを感じた。国は国際競争力を重要視するが、技術的な差が縮まりつつある中では、プレゼン力が大きな武器となる。1を10に見せるような詐欺的行為は不要だが、1010に伝える能力は重要だ。

 

そして、英語力よりも気になったのが、日本の存在感の無さである。疫学研究の国際共同研究が発表されていたが、米国・ヨーロッパに加え、中国やインドの名前があげられるが、日本は出てこない。政治的な問題はあるが、研究者間での交流は続けられていたので、意外だった。これでいいのか、日本の将来は!

f:id:ynakamurachicago:20181201193003j:plain