AI(人工知能)が症状から病気を診断する?!

今から韓国に出張に行くが、体の節々が痛んでいる。日曜日、運動している時に転んで、見事に一回転した。右手のひら、右ひじ、右ひざに見事な擦過傷を負った。頭頂部から真っ逆さまになり、全体重が頭頂部にかかっていた記憶がある。その後、衝撃をうまく受け止めたのでこの程度で済んだが、あわや大惨事だった。近くにいた人たちが心配顔で覗き込んで「大丈夫ですか?」と確認してくれたので、周りからはかなりのダメージに見えたのだろう。驚くほどのことはないのに・・・・と思っていたが、しばらくして、ダウンジャケットの背中側が10センチくらい裂けて、白い羽毛が飛び散っているのに気付いた。今年買ったジャケットが、無残な姿に変り果てていたのがショックで、しばし痛さを忘れていた(まだ、2回しか着ていないのに!)が、日を追うにつれて、膝や首の痛みが強くなってきた。大腿部に内出血もあった。歳は取りたくないものだ。

 

そして、話は標題に移るが、東京大学医科学研究所の湯地晃一郎先生と宮野悟教授から、イギリスのBabylon HealthというAIによる診断会社の情報を得た。患者さんが自分の症状を打ち込むと、可能性の高い病気をリストアップしたり、必要のある場合にはネットを通して相談に応じるシステムだ。イギリスのBBC放送が1時間の特集番組で紹介している。簡単にGPGeneral Practitioners;家庭医)にアクセス可能で、医療機関にかかる必要があるかどうかも含めたトリアージに利用可能と期待されている。

 

何か症状があり、医療機関に行く必要があるかどうかの判断材料に利用できるメリットがBBCでは強調されていた。しかし、最新のLancet誌に「Safety of patient-facing digital symptom checkers」というタイトルで批判的なコメントが掲載されていた。好意的な部分もあったが、「Babylon's study does not offer convincing evidence that its Babylon Diagnostic and Triage System can perform better than doctors in any realistic situation」(バイロン社の結果はバイロンシステムが、現実的な条件で、医師の診断よりパーフォーマンスが優れている証拠を示していない)とのコメントなどかなり手厳しい。

 

このLancet誌の冒頭に、誤診率が5%であるので・・・・・・という下りがあったが、イギリスでは95%のケースで正確に診断ができるのかと感じた。今後改良され、もっともっと正しく診断することができるようになるのは確実だが、間違いは患者さんの命に関わる事態につながるので注意が必要だ。そして、もし、間違いがあった時に、誰がどのように責任を取るのか、社会的なコンセンサスが必要となってくる。特に、最初の段階では患者さんからの訴えを元に判断が下されるので、医師が患者さんを目の前にして聞き取るのとは観点が異なるだろうし、不十分な情報で不適切な判断をする可能性は少なくないと思う。

 

ちなみに、このAIGPとして働くための国家資格試験で81点と、人間の試験の平均点数72点を上回ったとそうだ。しかし、経験を通して獲得できる医師の脳内のアルゴリズムを過小評価しているのではないかと思う。知識と知恵は別物ではないのか?患者さんの表情、顔色、様々なしぐさから得られる情報、触診、聴診などの六感を通した情報は極めて重要だ。

 

と言いつつも、触診や聴診などをする医師が減ってきたように思う。目を見て話をしないので、患者さんの表情も無視だ。こんな医師に、「治ると思うな」、「今やっているのは延命のためだけだ」と告げられて、患者さんの心が救われるはずもない。しかし、人の表情から患者さんの感情を読み取ることができる人工知能の開発も遠くないと聞く。医療には人間の心を持った医師の存在が大きいと私は信じているが、患者さんから伝え聞く診療現場の様子を耳にすると、このような心無い診療体制なら、意外に早く人工知能が置き換わる日が来るのではとさえ思ってしまう。医療にとって不可欠なもの、患者さんと医師の心のふれあいを取り戻すために、内閣府の人工知能病院プロジェクトを進めたいものだ。

 

PS; 画面を通した診療が一部で行われつつあるようだが、この制度は、医師免許を持ちながら、家庭に入ってしまった潜在的医療従事者を活用することにつながるかもしれない。

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