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多様性と国家安全保障の狭間で

トランプ大統領の大統領令と連邦地裁・控訴裁の違憲判断で、米国の入国管理体制は混迷を極めている。私の米国入国に際しては全く問題なかったが、しばらく混乱は続くだろう。しかし、大統領の権限が、ここまで強いとは知らなかった。まさに、大統領令で、何でもありといった感がある。表面的には米国の多様性と国家の安全保障の対立のように見えているが、これまでオブラートに包まれていた複雑な要因が一気に顕在化してきたのかもしれない。

 

大学という環境は、最も多様性に富んだ環境である。それに関連して、先日、フォーブスが最も国際性に富む大学ランキングを公表した。第1位と第2位はスイス工科大学のチューリッヒ校、ローザンヌ校、第3位香港大学、第4位シンガポール国立大学、第5位インペリアルカレッジ・ロンドン校と続く。このランキングは、学生に占める留学生の比率、外国人職員の比率、国外研究者との共同研究などを評価したものであるので、ヨーロッパ各国、特にスイス、イギリスなど、そして、人口は少なくて国外からの留学生を多く受け入れている香港・シンガポールは有利だ。

 

それにしても、国際性に関する日本の大学のランキングは、悲しくなるほど低い。150位までに4校入っているが、最高位が東京大学の136位で、以下、筑波大学141位、東京工業大学143位、東北大学149位と続く。日本の大学は留学生の割合も外国人職員の割合も極めて低いので、当然と言えば当然だが、国際化の掛け声はどこにかき消されたのだろうか?東南アジアの学生にすれば、教育の大半が日本語で行われるので、将来的なことを考えれば、どうしても英語圏で教育を受けたくなる。東南アジアの学生にとって、香港・シンガポールといった場所は、英語で教育を受けることができるので、教育内容に差がなければ、東京大学よりははるかに魅力的だ。そして、それに伴って優秀な学生が集まるため、総合的な大学ランキングにも反映されるようになったため、香港大学やシンガポール国立大学が、日本よりも上位にランキングされる結果につながっている。

 

「国際化」と称しながら、「国際化」が遅れている原因を特定し、問題点を解決するための具体案を立てない限り、「国際化を目指す」といったおまじないのような掛け声だけでは、現状は改善されないだろう。国際化には、複数の省庁が関係するが、このようなケースでは必ずといっていいほど、各省庁の利害が絡み、文言の細かい部分での凌ぎあいが続く。私が読んで「どこが違うねん??」と思っても、「て・に・を・は」の使い方ひとつで、行間の意味が違ってくるようだ。役所言葉は難しい。しかし、たとえば、大学などでは、具体的な目標として、授業を英語で実施するようにすればいい。英語で講義ができる職員にはインセンティブをつければいい。もちろん、国際的なランキングなど全く無視して、日本が現在のように鎖国化したような教育政策を取り続ける選択肢もありうる。

 

私は、色々な意味で国際性を高めることは大切だと思う。日本の分化や歴史をしっかりと語れる人が増えてくれば、その人たちを通して日本への理解がもっと広まり、日本に対する誤解も少なくなるだろう。日本の良さを知ってもらうのは、日本人自身の役割だ。そして、アジアやアフリカからの留学生や労働者にもっと魅力的な環境を作り、日本滞在を満足で有意義なものにすれば、長期的には必ず、日本にとって大きな財産となるはずだ。

 

メキシコとの壁、入国管理、貿易協定など、不確実性が高まってきたが、今週開催される日米首脳会談から目が離せない。

 

PS:フェニックスオープンのプレーオフをドキドキしながら見ていたが、4ホール目でバーディーを取り、松山英樹選手が勝利した。やはり、日本人が勝つと誇りに思う。それにしても、松山の強さは本物だ。

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