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がん医療を患者さん主導で動かす時だ!

医療(一般)

昨日は、突然、晴れ上がって気持ちがよかったが、今朝は乳濁色の霧に包まれている。窓の外の景色からは完全に遮断されている。昨日は、最高気温が16度まで上昇した。もちろん、華氏ではなく、摂氏でだ。平均最高気温がマイナス2度、過去最高気温が5度の状況で、最高記録を一気に11度の更新する異常な高温だ。南に面している我が家は、暖房を切っても、夏のような暑さだ。

 

しかし、米国の政治の世界はブリザード状態だ。まさに、予測不能の世界に突入した。報道官は、最初のプレスカンファレンスで、メディアの不正直さを罵るように批判していた。気に入らなければ10倍返しの様相だ。式典参加者数など、真実は一つのはずだが、何がフィクションで、何がノンフィクションなのか頭の中が混乱してしまいそうだ。私はメディアの不正直さを体験してきたので、自分の都合のいいように情報操作する輩がいるのは知っているが、新政権の既成メディアとの全面対決は社会に大きな錯覚と困惑をもたらすであろう。

 

さて、がん医療の話だが、先週は3人の患者さんやその知人から、がん医療に対する切実な問い合わせがあった。(1)日本の保険医療でできる標準医療のこと、(2)日本で追加的にできること、(3)米国で追加的にできること、(4)新たに試みられるであろうことなどの情報を提供した。(2)は自費診療として、多額の自己資金が必要だ。(3)(4)は説明可能だが、日本の患者さんにはアクセスは難しい。

 

がん細胞の遺伝子異常を調べれば、保険適応の有無にかかわらず、その患者さんに会った分子標的薬剤は見つけられるだろう。しかし、それでカバーできる患者さんは非常に限定的だ。米国のように臨床試験が多数実施されていれば、対象患者さんの割合は、少しは広がるだろうが、日本ではそうもいかない。ましてや、遺伝子を調べてもらうこと自体が容易ではない。ゲノム・遺伝子に限らず、調べれば新しい道が開けるにもかかわらず、国も研究者のコミュニティーも、患者さんを向いていないのだ。

 

永田町・霞が関の怠慢もある。この世界に住む人たちは、国家における医療の重要性をかなり過小評価してきたように見える。今は前職となったが、バイデン副大統領のがんの分野における専門的な知識に並ぶことのできる政治家は皆無だ。一般社会から隔絶された、学会という名の閉ざされた空間でふんぞり返っている人たちの責任もある。そして、必要であるにも関わらず、その声をしっかりと届ききれなかった患者団体の組織の在り方にも問題があると思う。米国の患者団体や学会は、大きな圧力団体となって、政治に対して、がん医療の推進に圧力をかけている。日本では3人に一人ががんで亡くなっているのだ。今のようなレベルのがん対策でいいはずがない。

 

日本では、米国に比して官僚組織の力が強いが、今の霞が関に、国のために体を張って「がん対策は大切だ」と政治家にものを言える人がどれだけいるのか疑問だ。安定した政治環境にある今が、がんの研究開発・治療体系を大きく変え、そして、それを医療全体の変革に変えていく最初で最後のチャンスだと思う。私も日本という国のために最後のご奉公ができるように努力するが、是非、患者団体の方々が力を結集して、国を大きく動かすことを願っている。

 

トランプ大統領への評価は別にして、彼は「we are transferring power from Washington, D.C. and giving it back to you」と言った。がん医療をがん患者さん主導で動かす時だと強く思う。

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