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がんを治癒させるために一緒に行動を!

医療(一般)

先週の寒波はどこかに消え去り、雪ではなく、雨が続いている。来週後半の予想気温は、東京と全く差がない。昨晩は雪がほんの少し降ったが、明日には消えるだろう。今週末から、来週にかけて重要な会議が続くので、今週は資料作りで忙しい。人生最後の勝負に挑むための準備で、精神的には充実している。周りをねじ伏せてでも、前に進むしかない。

そんな中、消化管神経内分泌腫瘍に、またひとつ、新しい治療法が加わった。今日の「New England Journal of Medicine」誌に、「Phase 3 Trial of 177Lu-Dotatate for Midgut Neuroendocrine Tumors」という第3相試験の論文が掲載されていた。Dotatate(ドータテート)とはホルモンの一種であるソマトスタチンの類似物質であり、ソマトスタチン受容体に結合する。今回の対象は、このソマトスタチン受容体を産生している神経内分泌腫瘍である。177Luとはルテチウム(Lutetium)の放射線同位体であり、半減期が約60日で、安定体(原子量175)になる際に、ベータ線とガンマ線を放出する。もちろん、私の記憶にはない原子番号だ。イッヒ、リーベ・・・・・・と原子記号を覚えたが、その時には、こんな大きな原子番号があったのか????

 

今回の治療法は、ソマトスタチン類似物質を運び屋にして、そこにルテチウム177を結合し、がん細胞のソマトスタチン受容体を介して、この放射性同位体をがん細胞内に届け、がん細胞内で放射線治療をするという原理である。われわれは滑膜腫瘍に特異的な分子であるFZD10の抗体を作成し、これを運び屋として、ベータ線を出す90Y(イットリウム90)という放射性同位体を結合させ、90Yをがん細胞内に届けるのと同じような仕組みだ。抗体やホルモンなどを利用して、がん組織内に放射線同位体を蓄積させ、これから放射線を放出させて、効率的に放射線治療を行うのである。

 

合計229名の患者をランダムに2群に分けた結果、20ヶ月での無増悪患者(腫瘍が大きくなっていない患者)の割合は、コントロール群で10.8%であるのに対して、177Lu-Dotatate群では65.2%であった。腫瘍縮小率は、コントロール群3%に対して、177Lu-Dotatate群では18%であった。中間解析時点での死亡していた患者数は、コントロール群26名に対して、177Lu-Dotatate群では14名であった。グレード3・4の好中球減少症、血小板減少症、白血球減少症は、177Lu-Dotatate群でそれぞれ、1%、2%、9%の頻度で認められたが、コントロール群ではゼロだった。

 

その臨床的有効性については疑問の余地はないと私は考えるが、日本のメディアなら、「副作用が問題だ」と騒ぐかもしれない。彼らの座右の銘は、「副作用は危険だ。座して死を待て」なのだろう。患者さんや家族の気持ちに寄り添っているつもりなのだろうが、がんを克服するには、何が必要かを全く理解していない。

 

日本でがん医療を変革する大きな流れを作るためには、患者さんたちとの連携が不可欠だ。今年の目標の一つはこれだ。「がん患者に生きるための希望を」などというコメントは封印して、もう一段上の目標、「がんを治癒させる」ために一緒に闘って行きたい。心ある患者団体の方は、是非、連絡してきていただきたい!

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