どうしようもない日本!?

今、オヘア空港で羽田に向かう飛行機の出発を待っている。10月下旬からシカゴ‐羽田便が運行されているが、これに初めて搭乗する。午後3時の時点での気温はマイナス7度、明朝の予想気温はマイナス18度、月曜日の朝はマイナス26度となっている。今冬一番の厳しい寒さは回避できそうだ。しかし、最高気温がマイナス10度を下回ると気が重くなる。今朝は、マイナス12度の中、歩いて出勤したが、鼻の穴が痛くなり、胸に圧迫感を感じた。かなり危険だ。無謀なチャレンジはやめた方が良い。

以前に触れた「21世紀ケア法案」が、上下院とも90%以上の賛成という圧倒的な多数で可決された。おそらく、これで、バイデン副大統領が推進している「Moonshot」計画が頓挫ということにはならないだろう。しかし、医薬品開発競争で、競争力を身につける可能性がほとんど望み薄となった日本はどうすればいいのか?このブログを通して、たくさん注文をつけてきたが、正直なところ、何と言ってわからない、絶望的な状況だ。ウルトラマンなら、胸のシグナルが赤の点滅状態だ。

これをするという明確な戦略がないままに、単なる研究費配分機構と化したAMEDに多くを期待できない。民間主導でといっても、医学・医療分野に命を懸ける大企業があるとも思えない。このような状況で、日本企業が米国に5兆円を越える投資をするというニュースが流れたが、正直、唖然・愕然だ。ニュースを聞いた時には、頭の中で、疑問符が飛び跳ね、頭がくらくらしてきた。隣国はどうか?昨年、中国で立ち上がったiCarbonXという会社はすでに百億円単位で資金を集め、医療と人工知能を結びつけた分野を開拓しようとしている。社長のJun Wang氏は弱冠40歳で、この会社を動かそうとしている仲間は、20-30歳代の若者だ。この会社の核となる数人と話をしたことがあるが、日本の若者に欠けている「自分が社会を動かす、新しい世界を生み出すという大志」を持っている。

プレシジョン医療、特に、がんに特化したそれを国レベルで動かすには、数百億円という投資としっかりとした戦略が必要だ。これがうまくいけば、かなりの経済活性化につながるだけでなく、医療費の増加抑制にもつながるのだ。と言っても、これを理解できる人がほとんどいない。効かない薬剤を使って、数百億円から数千億円単位の無駄を垂れ流している現状を考えれば、少し目が利けば、この方向に大きく舵を切っていいはずだが、その目利きがいないのだ。

今から20年以上前にゲノム情報を利用した「オーダーメイド医療」を提唱したが、まるで、詐欺師を見るような目で私を見た人たちがたくさんいた。確かに、ゲノム情報を簡単に調べることのできるような環境ではなかったが、「ゲノム」を理解していれば、今日の状況が生ずることを予測するのは難しくなかったはずだ。現実には、私の予測を大きく上回る状況で技術の進歩が進み、米国では、この分野に関連する企業が大きく育ち、1兆円を超える価値を有する企業もある。目先の綻びにばかり目が向いいていて、国策としての医療政策がないのだ。

この20年間、日本のこの分野への投資は、常に「too late, too little」であった。小渕―森政権で立ち上がったミレニアムプロジェクトによる支援は、「もしや」の期待を抱かせ、私たちは必死で努力したが、大規模プロジェクトに反対する研究者たちによって、せっかく芽生えた蕾が物の見事に摘み取られた。まさに、水泡と化した。内閣がコロコロと変わる状況では絶対にきれいな花を咲かせ、果実がたわわに実るまでは育てきれない。その観点では、今しかないと思うが、医学・医療にはなかなか関心が向かないように見える。あるのかもしれないが、シカゴに来て5年、日本の仲間たちからは暗い話しか届かない。

私も、冬の寒い暗い気候のためか、これでいいのか日本の医療は?と叫ぶ元気がなくなってきた。もうお終いか、日本の医療は?という気持ちだ。

いったい、元気のある若者は、どこに消えてしまったのだろうか!そんな若者に出会いたいものだ。

そして、私も、東京の晴れやかな気候で、鬱から脱出だ!

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