おにぎりで窒息にAED(除細動器)???

今日は、休日でない金曜日だが、研究室には私以外に誰もいない。他の研究室にも人影が少ないというより、ほとんど人がおらず、まさに、ブラックフライデーだ。11月の第4木曜日はサンクスギビングデーで祭日だ。祭日は公式には1日だけだが、前日の水曜日の午後から人影が少なくなり、休日でないはずの翌日の金曜日も、どういうわけか、まるで人がいない。水曜日の午後から、勝手に4.5日間の休日となってしまう。日本も元旦だけが祝日なのに、年末の29日くらいから長い休日となってしまうのだから似たようなものだが。

こんな中、ポスドクが水曜日の夜遅くに論文を送ってきた。最近は、祭日前日や週末の金曜日の深夜に、論文を送り付け、自分は悠然と休日を楽しむ連中が増えてきた。しかも、内容は非常にお粗末だ。このポスドクは、あと2週間余りで母国に帰るので、私は、いい加減さに腹を立てて上昇している血圧を意識しつつ、論文を手直するために週末も働き続ける。責任感を持てと言っても、大人になってから、責任感を身に着けさせるのはほぼ不可能だ。楽しむことを犠牲にしなくとも、最大限の努力をしていると信じているようだ。

それにしても、今年のシカゴは依然として暖かい。10月に瞬間的に雪の散らつくのを見たが、東京のような本格的な雪はまだない。天気予報を見ても、11月中の雪はなさそうだ。今後1週間、氷点下にはならないようで、5年間で最も暖かい秋だ。例年なら、完全に落葉している木々にも、まだ、葉が残っている。

話は全く変わるが、数日前にネットニュースを見ていたら、おにぎりの早食い競争中に、おにぎりが喉に詰まって窒息死したという痛ましい事故が流れていた。亡くなった方は、まだ、20歳代であったように記憶しているが、ご家族の悲痛な気持ちは察するに余りある。是非、このような事故を繰り返さないように努めて欲しいものだ。

しかし、私はニュースを聞いていて、非常に気になったことがある。それは、「AED(除細動器)を利用した」と流れていた一言である。詳細はわからないので軽々に批判すべきではないことは十分承知しているが、このような事故の場合、おにぎりであれ、モチであれ、ゼリーであれ、最重要で不可欠なことは喉に詰まった異物を吐き出させることだ。窒息のために、結果として心室細動を起こせば、それを止める必要はあるが、「呼吸ができない」という最大の問題を解決しない限り、命は救えない。

掃除機を利用して、喉の異物を吸い取る方法なども紹介されているが、屋外で起こった今回の事故のような場合、近くに掃除機はない。どうするのか?最も簡便な方法は、胸を一気に圧迫することである。肺活量の検査でもない限り、われわれは空気を全部出し切ることなどないので、リットル単位の空気が肺の中には残っている。これを利用して異物を押し出せばいいのだ。顔を下や横に向け、胸部を強くたたくと、肺の中の空気が一気に吐き出され、空気鉄砲のように気管内の異物を押し出すことになる。力を加えすぎるとろっ骨を折る危険性もあるが、静かに押しても効果はなく、一気に強く圧力をかける必要がある。

話を元に戻すと、AEDは普及したものの、多くの人はどんな場合に利用すべきなのかを知らない。心室細動がある状態ならともかく、今回のような事例は、空気が往来できる道筋を回復するのが何よりも優先される。ニュースでは、食べ物をのどに詰まらせて窒息死する事例があとを絶たないが、その対処法を伝えるのは稀だ。もちろん、このような緊急事態では、ネットを調べる時間的余裕などないので、一般の方々に知識として記憶してもらうように努める必要がある。窒息死という事実を伝えるだけでなく、このような状況にどのように対応すべきなのかを伝えるのも、メディアの責任ではないのか??

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