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化学療法無治療の進行性非小細胞肺がんに抗PD-1抗体を投与すると?

9月1日発刊の米国臨床腫瘍学会雑誌に「Nivolumab Monotherapy for First-Line Treatment of Advanced Non–Small-Cell Lung Cancer」という論文が公表された。ニボルマブ(抗PD-1抗体)は、他の治療を受けた肺がんに対して、第2選択薬以降の治療法としてすでに承認されている。今回は、第1選択薬として利用した場合の安全性・治療効果を調べたものである。第1相臨床試験として実施されたので、比較対照群(別の治療法を受けたグループ)は設定されていない。

 

52人の患者に対して、体重1kgあたり3mgのニボルマブが2週間ごとに投与された。治療は、がんが進行するか、副作用によって投与の継続が困難になるまで、2週間毎の投与が継続され、中止後の治療法も定められている。治験の主目的は安全性、副目的は腫瘍縮小効果と24週目での無増悪率であった。生存率は参考データのような形となっている。

 

治療に関係すると考えられる副作用は71%の患者で認められ、主なものとしては倦怠感(29%)、薬疹(19%)、吐き気 (14%)、下痢 (12%)、かゆみ症(12%)、 関節痛(10%)と続く。そのうち、10名が入院加療を要する薬疹を生じた。6名が治療に関連する重い副作用によって、治療を中断した。

 

腫瘍縮小は52名の患者の内、12名(23%)で認められ(扁平上皮がんでは13名中2名、腺がん39名中10名)、このうち9名は治療開始後11週の検査で、腫瘍の縮小が確認されている。腫瘍で何らかのレベルでPD-L1の発現が確認された32名の患者のうち、9名(28%)が腫瘍縮小効果を示した一方、腫瘍でPD-L1の発現が確認されなかった14名の患者でも2名(14%)で腫瘍縮小が認められた。原理的には、ニボルマブは、リンパ球のPD-1とがん細胞のPD-L1が結びつくことによって生ずる、がん細胞に対する免疫抑制のシステムを解除して免疫を活性化し、それが治療効果につながると考えられているので、PD-L1がないがんでは効果がないはずだ。

 

しかし、必ずしも関連しないことが治療効果の予測を難しくして、効果の期待できる患者を選別できないままでいる。大きながんの塊では、上、下、右、左の部分部分によってがんの性質が多少なりとも違っているので、調べた部分が全体を反映していないのだと思う。以前にも述べたが、理論的には、HLAを作らないがん細胞には効果がない。漫然と、この治療薬の投与するのは、70-80%が効果がないという現実を考えると、膨大な医療費の無駄だ。しかし、薬剤を販売する製薬企業にとっては、現状のように患者さんを選択できないほうが好都合だ。

 

比較群がないので、どこまで意味があるのかわからないが、無増悪期間中央値は3.6ヶ月(半数以上の患者は4ヵ月後には、がんが大きくなっているという意味)、24週後の無増悪率は 41%、生存期間の中央値は19.4ヶ月となっていた。1年後の生存率は73%、18ヵ月生存率は57%とやはり厳しい。更なる改善が絶対的に必要だ。

 

そして、今日米国FDAからニボルマブ投与量に関して推奨があった。

腎臓がん・メラノーマ・非小細胞肺がんに対して、一律1回240mg

ホジキンリンパ腫に対しては、3mg/kg

抗CTLA-4抗体と一緒に利用する場合には1mg/kg、抗CTLA-4抗体治療後は240mg

となっている。

 

自費診療として、白衣を着た詐欺師たちが、「患者さんたちが支払いやすくする額にするために」勝手に量を減らして投与している。日本の現状は、国の恥であり、患者さんたちにとっては救いようのない悲劇である。

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