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2015年度医療費41.5兆円;的外れな日本での議論

医療(一般)

日本の医療費がついに40兆円を越えた。しかし、高齢化率が進んでいる状況では、40兆円を越えることは予測済みのはずだ。高齢者の割合はますます増えてくるので、2020年には50兆円を越えるかもしれない。GDPに対する割合が増えていることを憂慮する声もあるようだが、高齢化が進めば、医療費の割合がGDPに対して相対的に増えてくるのは当然の話だ。こんなことは、とっくの昔にわかっていたことなのだが、医療費の増加が税金の浪費のような話にすりかえられているような気がする。医療の現状を十分に把握せず、医療費を無理に削減する方向に進み、医療の質が低下するのは真っ平ごめんだ。

医療費の増加の割合を抑制する方法を、私が思いつくままに列記すると

(1)病気の予防・病気の進行の抑制

(2)意味のない検査・投薬の回避

(3)病気の早期発見・早期治療

(4)人工知能などの導入による効率的な治療選択

(5)人工知能を利用した人件費の削減

(6)新規画期的な医薬品・医療機器の開発(医薬品・医療機器の安価での提供。間接的には、これらの輸出による税収の増加)

などがあげられる。6項目には、互いに関連するものもあるので、そんなに単純ではないが、これらを考慮して医療体系を抜本的に見直す必要がある。

高額な医薬品が医療費を押し上げていると報道されていたが、高額な医薬品の大半が輸入品であることも大きな問題である。上半期の貿易データから、今年も、医薬品の貿易赤字2兆円越えは確実だ。薬価の抑制が必要だと述べていたメディアもあったが、おいしい果物を高すぎるといって値切っても、それなら売りたくないと言われれば成立しない。新薬の自給自足ができていない現状を理解する必要がある。いい製品は高いのが世の中の常識だ。日本製の自動車が、他国で格安で売られていれば、日本の消費者は納得しないだろう。それと同じで、日本での一方的な薬価切り下げは、国際的な観点から難しい。「日の丸」印の画期的医薬品は、絶対的に必要だ。

(5)に関して言えば、まさに「ドクターX」の世界だ。医療現場では、医師免許・看護師免許・薬剤師免許がなくともできる仕事に追われ、医療関係者は青息吐息の状態だ。病気の説明・治療法の説明・薬剤服用の際の注意事項など、ビデオやパソコンを利用すれば、かなりの省力化が図れる。現時点の技術では、一方向の説明に過ぎないだろうが、人工知能が実力をつければ、双方向の質疑応答まで可能となり、それでも納得できない事項を患者さんや家族が、医師などの説明を求めればいい。

また、医療関係者もこれらの内容を十分に理解していなければ、患者さんに十分な説明ができなくなるため、常に最新の情報を入手しておく必要に迫られ、医療の質を確保することにつながると考えられる。時々刻々改善される標準療法や最新の情報を医療関係者に周知させることも重要だ。しかし、時間的に余裕がなく、日々の仕事に追われているような状況では、勉強する時間を作るのも大変なのが実情だ。これを確保するためのアクションが不可欠だ。そして、その時点での最善の治療を提供する事は、早期の回復、早期の職場復帰につながるので、医療費の削減だけでなく、労働力確保の観点からも重要であるとの認識が必要だ。

そして、日本では、まだ、重要視されていないが、病気の予防に対して国民の意識を高めることも必要だ。がんも早期発見すれば、治癒率は非常に高い。ただし、いい加減で、無責任な医師の甘い言葉に惑わされて、適切な治療を受けない場合は別であるが。多くの事柄が、後手後手に回っており、取るべき手段を取る前に一気に問題が炸裂してしまうような危機感を覚える。しかし、ミサイルが目に前に落とされても平和ボケ状態であるように、医療に対する危機意識も低い。医療保険制度破綻か、医療へのアクセス制限(医療の質の低下)か、私にはそれらが近づいている足音が聞こえているのだが!

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