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DNA修復遺伝子異常は転移性前立腺がんの危険因子

今年のシカゴの夏は比較的涼しい日が続いて、過ごしやすい。今日のネットニュースの(ちなみに私は産経新聞・読売新聞が中心だ。築地の新聞は絶対に読まない)「宮嶋茂樹の直球&曲球」というコラム、「“自称ジャーナリスト”言うとることがボケボケ 正直ホッとしたで、東京都知事選」という記事を読んで思わず噴出してしまった。内気で、弱気で、小心者で、上品な私には絶対に書けない文章だ。

このコラムは過激で、先月は、「野党のセンセイ方が金科玉条のごとく尊ぶ憲法9条。ノーベル平和賞にと実のない運動やっとるヒマがあるなら、ぜひバングラデシュ、いやイラクやシリア内の イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)の支配地域へ行って、戦争放棄をうたった憲法9条の精神、広めてきたれよ。ISに無残に殺された犠牲者 にも9条の素晴らしさを訴え、魂の救済をしてきたらどないや。」とあった。

日本の排他的経済水域にミサイルが飛んでくる状況で、「どないするんや」と私も言いたい。特に、今朝方、大学のセキュリティーから、近辺で「昨晩3件の強盗事件があった」との連絡があったので、「自分が善良なら、強盗は襲ってこない」は、虚構で、非現実的であることを実感する。現実を直視しないと、「夢見る夢子さん」で世の中は生きていけない。しかし、事件の起こったのが、午後11時ー午前2時の間だったので、どうしてこんな時間に歩くの?とは思うが、これまで3ヶ月に1度程度だったのが、一晩に3回はショックだ。シカゴの殺人事件数も減少傾向から、今年はかなり増加している。日本は明らかに平和ボケだ。

そして、突然話が変わるが、今日の「New England Journal of Medicine」誌に「Inherited DNA-Repair Gene Mutations in Men with Metastatic Prostate Cancer」というタイトルの論文が掲載されていた。692人の転移性前立腺がん患者のDNA(がん細胞の遺伝子ではなく、両親から受け継いだ遺伝子)を調べたところ、DNAが損傷した際、その修復に重要な役割を果たすタンパク質を作る遺伝子の異常が、高頻度に発見されたという内容であった。これら692人の患者中、82人(11.8%)に84の遺伝子異常が見つかったと報告されていた。局在性前立腺がん患者のDNAでは499人中で4.6%だったので、明らかに転移性前立腺がん患者には、遺伝子異常頻度は高い(P<0.001)。また、コントロール53,105名(がんがあるかどうかの情報は不明)のデータの情報と比較しても、明らかに頻度が高かった。

 

これらDNA修復に関係する遺伝子の中でも、

BRCA2(遺伝性乳がん・卵巣がん遺伝子)

ATM (毛細血管拡張性小脳失調症という病気の原因遺伝子で、乳がんのリスクを高める   ことが知られている)

CHEK2 (乳がんリスクを高めることが知られている)

BRCA1 (遺伝性乳がん・卵巣がん遺伝子)

RAD51D (卵巣がんリスクを高めることが知られている)

PALB2(ファンコニー貧血の原因遺伝子。乳がんリスクを高めることが知られている)

において、より高い頻度で遺伝子異常検出された。したがって、DNA修復機能の低い患者では、前立腺がん細胞が、転移しやすい、より悪性度の高いがん細胞に変化しやすいことを示している。特に、BRCA2は局在性の前立腺がんと比べて、転移性前立腺がん患者では20倍以上頻度が高く認められたことから、がんの転移に重要な役割を果たしていると考えられる。

 

上記の遺伝子は、遺伝性乳がん・卵巣がんの遺伝子として広く知られていたが、今回の報告で、女性のホルモン関連性がんだけではなく、男性のホルモン関連性がんでも重要な役割が発見された社会的な意義は大きい。もっと遺伝性のがんに対する社会的な認知度・関心が高まるだろう。さらに強調したい事は、「遺伝性の病気というだけで顔を顰める人は依然として少なくないが、」遺伝性の病気も、われわれの持っている遺伝的多様性のひとつである点だ。「・・体質」「・・家系」などという漠然とした概念や病気のリスクが、DNA解析という科学的なアプローチで姿を明確にしてきたに過ぎない。そして、遺伝子研究・DNA解析が差別を生んでいるのではないことを理解して欲しい。遺伝子差別は、「人の心の中にある差別する心が、遺伝子に乗り移っているだけに過ぎない。遺伝子に責任があるのではなく、差別する心に問題があるのだ」。われわれは、遺伝子という個人個人で異なる種を持ち、それぞれ固有の花を咲かせている。どんな花であっても、「世界で一つだけの花」をみんなが尊重しあう社会を作ることが大切だ。SMAPには、解散することなく、是非、この歌を歌い続けて欲しい。

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