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ブログアクセス数150万回のお礼

雑事

 

昨日の午後11時頃に、このブログのアクセス数が150万回を越えた。7月の始めには、イチロー選手の3000本安打到達の方が早いと思っていたが、最近の足踏みで、ブログの方が早くなってしまった。今、イチロー選手はカブスとの対戦のためにシカゴにいるので、是非、記念すべき1本をシカゴで打ってほしいと願っている(速報を見ると今日もヒットがなかった)。このブログは、2年前の6月21日に開始し、2年と1ヶ月と少しで、総数約330の文章を掲載した。振り返ってみると自分でもよく続けたものだと思う。

シカゴに移って2年が経過した頃、われわれが開発したMELK阻害剤の治験を受けるために、乳がん患者とその娘さんがシカゴに来られた。病院側とのコミュニケーションがうまく取れていなかったため、結局は治験を受けることなく、日本に戻ることになった。

http://blog.hatena.ne.jp/ynakamurachicago/yusukenakamura.hatenablog.com/edit?entry=12921228815729227924

その時の体験が私の気持ちを揺るがせ、変化させた。それが、日本に向けて情報を発信させようとしたきっかけだ。日本の現状を嘆いたり、(メディアに対して)激しい怒りをぶつけたり、新しい動きを伝えたりしてきた。それにしても、ブログを始めてから2年間で、がん治療を取り巻く環境は激変を遂げた。免疫療法は、第4の治療法どころか、がん治療のど真ん中に鎮座するような勢いだ。T細胞を遺伝子操作した治療法も血液がんを中心に、治療のあり方を大きく変化させつつある。また、新しいタイプの分子標的治療薬の治験もさらに拡大しつつある。日本のがん治療薬の輸入超過はさらに大きくなるだろう。

日本では新政権が発足したが、話題は経済刺激策だけで、将来の医療・福祉に対する国家のビジョンは相変わらず、見えてこない。医療の仕組みを根幹から見直すところから考えなければ、医療保険制度は確実に破綻する。破綻させない方法は、利用する治療法や薬剤(たとえば、ジェネリック医薬品に限る)に制限をかけ、それに対してのみ保険適応する方法だ。制限を越えた治療を受ける場合に、自費診療として患者さんに負担してもらうことになる。現在でも、歯科や美容整形などでは自己負担による治療が行われているが、高額な薬剤の利用に制限をかけて、国庫負担を減らすしか、今の医療保険制度は継続できないと思う。もちろん、民間の保険に入っていれば、大きな負担は回避できるが、この方法では確実に医療に貧富の差が生ずる。経済が発展し、最新の薬剤に国民が等しくアクセスできる、現在の医療システムが維持できればいいと願っているが、医療費の伸びが経済の伸びを大きく上回っている状況下では、難しいだろう。

米国の医療費の関してだが、シカゴ大学に留学している日本人研究者の奥さんが、虫垂炎が破れて腹膜炎になった。そして、大学病院で入院加療を受けた。請求書にあった医療費の総額は約130,000ドル(円ではありません)だったそうだ。当時は1ドル約110円程度だったので、1400万円を超える金額だ!!!日本では考えられないような金額である。彼の入っていた医療保険は50%自己負担だったが、大学側がカバーして本人負担は10万円程度で済んだそうだ。保険を持っていても、保険の種類によっては十分なカバーがされず。自己負担額が膨大となる。この場合でも、大学がカバーしなければ、本人負担は約700万円となり、ポスドクの年収をはるかに上回る。もちろん、医療費総額は、東京大学にいたときの私の年俸をも上回る。医療費による破産が、個人破産の50%を超えるはずだ。

こんな話を耳にすると、日本の皆保険制度は、本当に素晴らしいものだと実感する。この制度を維持するために、日本から画期的な医薬品・治療法が生まれて外貨を稼ぐような国家戦略を、経済活性化対策に盛り込んでくれることを願わずに入られない。無い袖は振れないのだから、国を豊かにするしかない。

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