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医療庁??!!

ようやく、香港から日本にたどり着いた。お腹の調子は戻ったが、まだ、体に力が入らない。無事に発表は終えたが、45分の発表、15分の質疑応答は少々きつかった。5年前までは、年間に60回前後講演をこなしていたが、やはり歳には勝てない。長旅は控えなければならないとしみじみと思う。しかし、国際学会への参加は楽しいことも多い。いろいろと学ぶことがあるし、旧知の人たちに会える。今回もベイラー大学のトム・キャスキー博士に20数年ぶりに出会った。相も変わらず、話は上手だった。

 

今回の香港出張でもいろいろなことがあった。レストランで北京出身者の中国語が香港では全く通用しないことも驚きだったが、最も印象的であったのが、香港空港の荷物検査場での係員の対応だった。中国本土の空港での荷物検査場では、非人間的とも言える扱いに、いつも腹立たしく感ずるのだが、香港の係員の態度はとてもにこやかで非常に丁寧だった。香港には2010年に来たことがあるのだが、その時の印象はほとんど残っていない。この2-3年に訪れた中国本土での不愉快さが残っていたので、違いが際立ったのかもしれない。1国2制度というか、空港での対応があまりにも違いすぎて言葉を失いそうになる。気持ちよく離れることができれば、また、来たいと思うのは自然の理だ。国に対する印象をよくするためには、入国・出国の対応が重要だと改めて思った。

 

昨日は、iCarbonX社長のJun Wang氏と夕食を共にした。以前にも紹介したが、彼は北京ゲノム研究所の社長を長年務めた後、昨年の夏に、社長の座を降り、人工知能の会社を立ち上げた。人工知能の今後の医療における重要性は何度も取り上げたので、ここでは触れないが、彼のビジョンを聞くのは楽しい。最近は、俯瞰的なビジョンを語る人が少なくなってきたが、彼はそれができる数少ない研究者の一人だ。明日の研究費をどうするのかと汲々としている人たちと話をすると、私自身が暗くなってくる。話は大きくて壮大な方が、元気が出てくる。日本と中国には目に見えない政治的な壁はあるが、医学・医療にはボーダーがないはずだ。彼と一緒に何かできればと思う。

 

そして、学会に参加したり、外国を訪問するたびに、世界が大きく動きつつあるのを実感する。細かいことは省くが、日本の「時の流れ」だけがゆっくりしている。医療、特にがん医療は、急激な変化を遂げつつあるのだが、その変化を漫然と受け入れているだけのような気がしてならない。国として今後の医療に対する設計図がみえてこない。今のままでは、保険制度を含め大変なことになると、皆が思っているにもかかわらず、抜本的な対策が立てられていない。世界的に誇るべき医療保険制度を維持するためには、限られた財源を有効に活用する制度設計が不可欠だ。小泉ジュニアが提唱していたようだが、厚生労働省を分割して、医療に特化した役所、医療庁、を立ち上げるのがいいかもしれない。

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