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失われつつある日本の存在感

雑事

今、ゴードン・カンファレンスで講演するために、香港科技大学のロッジに来ている。ロッジと言っても、洒落たビジネスホテル並みの立派な施設である。ゴードン・カンファレンスは1931年から始まった歴史ある会議であるが、これまでは米国内で開催されてきた。それが香港でも開催されるようになったのである。DNA二重鎖でノーベル賞を受賞したワトソン博士が設立したコールドスプリングハーバー(ニューヨークのロングアイランド)で開催される学術会議も有名だが、これも2010年には上海の近くでコールドスプリングハーバー・アジアが設置され(中国ではなく、アジアと命名したのが、私には刺激的だ)、ここでも会議が定期的に開催されるようになっている。この施設につながる形で、本格的なホテルも作られている。

 

この二つの会議の特徴は、非常に辺鄙な(失礼な言い方かもしれないが)場所で開催される点にある。もともと、研究者同士の交流を活発にすることを目的として始められた会議であるので、その趣旨にはかなっている。香港の会場も、香港の中心からかなり離れたところにあり(タクシーで40-50分かかる)、中心街まで簡単に出かけることはできない。したがって、みんなで一緒に会場で食事をするしか術はない。大きな町の中心で開催されれば、発表者はすぐ会場を後にするが、ここでは昼食・夕食の場を中心に交流が深まるように設計されている。

 

この会場に来て感ずるのは、日本の存在感の無さである。日本人は私ひとりであり、日本からの参加者はいない。ヨーロッパからの参加者もいるが、基本的には米中の交流の場となっている。上海近郊で開催されるコールドスプリングハーバー・アジア・カンファレンスも米中の交流の場と言えるので、日本は、科学の場では米中という太平洋の両岸のG2に完全に置いて行かれつつあることになる。そして、中国から米国への留学者の急増を反映して、中国人の話す英語も、日本人の英語よりもうまくなっている。15年前くらいには、日中の逆転ははるか先の話だと思っていたが、残念ながら、もはや逆転しつつある。

 

こんなことを考えていると気持ちが重くなりそうだが、一昨日よりお腹の具合が悪く、それに追い打ちをかけている。思い当たることは、シカゴ空港でメロンを口にした時に、酸っぱくておかしな感じがしたことだ。すぐに吐き出したのだが、口を濯ぐことまではしなかった。まさか、と思って油断したのが悪かったのかもしれない。しかし、証拠がないので、濡れ衣だと文句を言われそうだ。機内も寒かったので、冷え込んだだけかもしれないので、間違っていたらごめんなさいだ。明後日の発表で「日の丸」を示そうと気合を入れなければならないが、心も体も絶不調だ。

 

しかし、200人もいる国際会議の会場に、日本語を話す人がいないことは寂しいものだ。

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