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「岡山 夢の会話プロジェクト」小崎教授、天に召される

雑事

昨年の9月にこのブログで紹介した、岡山大学の小崎健一教授が天に召された。小崎教授は、自分が舌がんに罹患した経験から、「人工舌」を推進する「岡山 夢の会話プロジェクト」に奔走されていた。がん研究者が、がんとの闘いに破れた。50歳を過ぎたばかりで、これからという時に残念だし、ご本人やご家族は無念に違いない。自分より10歳近く若い弟子の悲報を受けた、師匠である東京医科歯科大学の稲澤譲治教授の悲しみの深さも、想像に難くない。がん研究者が家族や親しい人たちに対して、何のすべもなく、見守るしかないのは苦痛である。

 

小崎教授のご冥福をお祈り申し上げると共に、彼のプロジェクトが、止まらないことをお願いしたい。

 

私の知人にも、がんと闘っている人たちがたくさんいる。もちろん、家族をがんで亡くされた人もいる。特に、自分の子供の苦しみを無力で眺め、そして、死を看取らねばならない親の悲痛さは、漆黒の闇の中に突き落とされるようなものだろう。手が届きそうで、手が届かない、がんという強かな相手と戦うためには、真の意味で研究者や医師の総力戦が必要だ。個人の力、一つの組織の力ではなく、国を挙げた取り組み、国際的な取り組みが絶対的に不可欠だ。サミットを迎えるたびに、高齢者社会の直面する医療問題を取り上げてほしいと願っているが、各国の医療保険制度の違いなどを含め、コンセンサスを得にくいテーマなのだろう。

 

そして、ジカ熱に対しても、リオデジャネイロオリンピックを契機に、爆発的な流行をするリスクを抱えていることについて、サミットの場で踏み込んだメッセージがあっても良かったのではないかと思う。不参加を表明しているオリンピック候補選手もいるようだし、世界中の医師や研究者が、リオ五輪の開催地変更・延期などを求めたという報道もあった。エボラ出血熱と比較すれば致死率は、はるかに低いが、小頭症の発症率は当初考えていたよりも高そうだし、ギランバレー症候群のリスクも高まる。やっかいなのは、蚊が媒介することである。日本では、少し油断すると蚊に刺されるので、要注意だ。

 

開発途上国と先進国の医療分野での課題もかなり異なっている。前者では、感染症が依然として大きな問題だし、餓死も決して少なくない。後者では、社会の高齢化とともに、生活習慣病・がん・認知症などが、大きな社会負担につながり、その対応に迫られている。したがって、病気で亡くなる人たちを減らしていく不断の努力をしていくことが大切だ。

 

戦争という悲劇もなくしたい。そして、オバマ大統領の広島でのスピーチを改めて読んでみた。米国内にも、日本にも、そして、韓国にも配慮した絶妙の文章である。数分間と予測されていたスピーチが17分間に及んだことも、彼のこの問題に関する熱意を物語っている。米国内メディアが、間の取り方、話すスピード、抑揚の付け方など、計算しつくされたものだと解説していた。日本国内でも、英語がわからなくても、感動するようなスピーチだと言っていた人がいたが、心から心に伝わるようなスピーチはなかなかできない。日本国内の世論調査では、97-98%がオバマ大統領の広島訪問を評価しているとでていたが、それも頷ける。核兵器廃絶は、現在の国際状況を考えれば、何十年かかっても実現しないかもしれない。しかし、誰かがそれを言い続けない限り、何も起こらない。がんとの闘いも、戦い続けなければ勝利はない。

 

それに比して日本の政治家の振る舞いはどうなっているのか?都知事の言い訳は聞くに堪えないし、支持率が過半数を超えている内閣に、単に選挙目的で(私には副作用の方が大きいように見えるが)、不信任案を提出する野党にも日本人としての矜持が見えない。小崎先生の生き様に武士道を見ただけに、この政治家たちの無様さが余計にみっともなく映る。

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