(続)瀋陽訪問

帰国後、疲れがどっと出て、2-3日頭がほとんど機能しなかった。東京までならそれほどでもないが、その先、5-6時間足を延ばすのは、体に堪える。そのような中、昨日の昼食時には、またまた、PD-1抗体に関するセミナーがあった。内容には、ほどんど目新しいことがなく、セミナールームの凍えるような寒さに、身体の芯まで冷え込んで頭が痛くなってしまった。セミナー後、演者を含めた昼食会があったが、それは遠慮して、オフィスに戻って暖房を入れ、体を温めて一息ついた。外の気温は11-12度しかなかったにもかかわらず、冷房が入っているのは身体に悪いし、エネルギーの無駄使いだ。

そして、私の中国医科大学訪問の様子が

http://mp.weixin.qq.com/s?__biz=MjM5NjY1MjU1Ng==&mid=2650166357&idx=1&sn=5440ac6a7f86e30dc0d820ecb3e0564b&scene=5&srcid=0510YqEEwEINQ00wouavLgGO#rd

 

にアップされている。何が書かれているのかわからないが、薬学部のウエブに掲載されているようだ。今回の訪問で、私の心にひっかっかっていることは「私の講演を聞いて、日本人に対する印象が変わった」という一言だ。昨年、北京を訪問した際には、「今の総理大臣は危険だ」という友人の一言が、魚の骨のように喉もとに引っかかった。

教育の問題なのか、情報操作なのかわからないが、日本を知らない人には、日本人に対する印象はよくないようだ。やはり、もっと若い人たちを日本に招いて、日本の良さを知ってもらうことが大切だと思う。日本の中にも、日本を貶めるようなメディアが存在するので要注意だが、日本に一定期間以上住めば、日本の良さがわかってもらえるはずだ。大震災の際の日本人の行動など、他の国では考えられてない秩序と規律が保たれているのだから、それだけでも日本人に対する印象が変わるはずだ。

しかし、研究者の世界を眺めると、学閥などを含め、ギルドのような仕組みになっており、日本人に対する誇りなど吹き飛んでしまいそうだ。ギルドの一員でなければ、明日の研究費に不安を覚えるためか、必然的に仲良しクラブができてしまう。そして、研究予算が削減されると、餌に群がるハイエナのような姿に変貌してしまう。新しい組織は、国の将来に対する青写真に基づいて公平・公正に運営されることを期待されたはずだが、どうも特定の大学に偏っているようで、評判が悪い。総論では立派なことを言っても、各論で我田引水になれば、信を失ってしまう。どんな組織でもそうだが、信なくば、立たずだ。

と考えながら、瀋陽で会った若者のことを考えている。私が中国を訪問することを聞いて、瀋陽まで会いに来た。地方公共団体に所属している人だが、町の活性化のために、私に中国で研究室を持たないかと依頼するために来たのだ。すでに私の実績を評価して(?)、予算額まで提示してきた。かなりの規模の研究ができる予算で、日本ではありえない率直なプロポーザルだ。もちろん、非常勤で1年間に一定の期間中国に滞在するだけでいいのだが、私の子供のような年齢の若者から、突然、このような提案をされて面食らってしまった。しかし、将来に対する投資として、人材育成を視野に入れての申し入れであることが明白だ。例えとしてふさわしくないかもしれないが、明治維新の後、多くの外国人教員を受け入れた日本のような感覚なのだろうか?そのように評価されているなら喜ばしいことだが、なぜか、複雑な心境だ。

もう少し若ければ真剣に考えるかもしれないが、今は、体力的に自信がなく、米中を往復することを考えただけで、気が遠くなりそうだ。日中の架け橋として貢献できれば、そして、若手医学研究者の育成に役立ちたいという気持ちはあるものの、体がついていかない自分が情けなくもある。

こんな時、オバマ大統領が広島を訪問するというニュースを目にした。誰が何と言おうと核廃絶に向けた動きにつなげて欲しいと思う。ノーベル平和賞にふさわしい素晴らしい決断だ。そして、日米で(中国も加わるならもっといいが)「Precision Medicine」「Moonshot」を推進するような話になれば最高だ。

f:id:ynakamurachicago:20160511052428j:plain