日本語が出てこない?!

今、成田空港へ向かう列車の中にいる。いくつかの案件が飛び飛びにあり、6泊になってしまった。私にとっては結構長い日本滞在だ。おかげで、一昨日は、久しぶりに孫と食事をする時間が取れた。顔を合わせた時に、髪の毛がかなり伸びでいたので、長女に「男の子らしく、すっきりさせたら?」(こんな発言でも差別と責められそうと頭に浮かぶ、窮屈な世の中になったと思う)と小言を言おうとした。

 

その直前に、孫から「がん患者さんのかつらに提供するために、30センチまで伸ばす」と説明された。この一言には、ギャフンだ。心の中で、涙が零れ落ちそうになる。もちろん、うれし涙だ。何か言うべきだったのだろうが、あまりにも痛いところを突かれて、言葉が思い浮かばなかった。髪が薄くなってきた私には絶対できないことなので、30センチまで頑張って、かつらを提供してほしいと願うばかりだ。

 

話は遡るが、先週の木曜日には、江崎玲於奈先生に招かれて、横浜薬科大学で講演会をさせていただいた。知人が、大船駅に迎えに来てくれ、大学まで送ってくれたのだが、段々と人家の少ない風景が流れ、講演を聞きに来てくれる人がいるのかどうか不安が募ってきた。横浜ドリームランドがあったところだと聞いていたが、私には縁が無いところなので、土地勘が全くない。奈良のドリームランドなら、50年以上前に両親に連れて行ったもらった記憶があるが、もちろんどんな所だったかは覚えていない。

 

会場に入るまでは空っぽの講演会場ではないかとドキドキしていたが、足を踏み入れてほぼ席が埋まっていたのを見て、胸を撫で下ろす。75分の講演と15分の質疑応答を無事終えたところで、時差で頭がフラフラした。日本語で長時間話す機会など非常にまれとなった今では、かなり体力が必要だ。4年までは、年に50-60回の講演をしていたが、それも、遠い遠い昔のような気がする。

 

しかし、言語というのは日常的に使っていないと、たんすの引き出しにしまったままで忘れてしまうようなもので、単語が出てこず、日本語の講演は結構不自由だ。最近は、専門用語など、日本語で話をすることなど全くないので、思い浮かばないのだ。単に、ボケが始まっているだけかもしれないが、使わないとこんなに簡単に忘れてしまうのかと、今更ながら、痛感させられる。

 

同級生の退官パーティー、墓参りと多様な要件をこなし、今は、ホッとしている。しかし、日本の医療・医学研究は難問山積だ。私の知人や弟子の多くが、がん研究者・がんの診療医だが、明るい話題は全く聞かない。特に、消費税が増加した際に、診療報酬が据え置かれたために、支出が3%増・収入増はなし、という状況が生まれた。これは企業であれば一大事だ。利益率が売り上げの3%であれば、利益が完全に無くなるような状況が生ずるのである。この不合理は、是非、何とか対応して欲しい。

 

桜を見ないままにシカゴに戻るのは残念だが、次期国立がん研究センターの理事長が中釜斉先生に決まって一安心だ。

 

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