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がん抗体治療薬自由診療:これでいいのか、日本のメディアは?

今、久しぶりの墓参をすませ、帰りの新幹線に乗っている。品川から米原まで新幹線に乗り、在来線を乗り継いで、片道で3時間弱かかるのは、少し体にこたえるが、お彼岸だし、タイミングはぴったしだ。数年間の親不孝な反省して、墓前に手を合わせてきたところだ。

 

今回は、大学時代の同級生の退官記念のパーティーに招かれたために、日本に来た(「帰国した」と言うべきかもしれないが、もはや、「日本を訪問した」の方が日本語として心の中でしっくりとくる)。大学入学以来の付き合いなので、すでに半世紀近いつきあいだ。3名の同級生も参加しており、大学時代の思い出が蘇る。

 

私が受験する直前に、大阪大学医学部の入学試験問題が漏えいした事件がメディアを騒がした。刑務所内で印刷された入試問題が巧妙な手口で持ち出され、数千万円で売買されていた。医療の世界を目指す純粋な気持ちが穢されたようで不快だったが、入学した同級生たちはみんな純粋な人たちで救われたと感じたのが、今は妙に懐かしい。

 

しかし、日本の医療はやはりおかしい。美容形成クリニックが、自由診療で免疫チェックポイント抗体治療薬をがん患者に提供しているという話を耳にした。確かに、これまでの成績は素晴らしいが、それでも有効率は20-30%に過ぎない。大腸がんではDNA修復遺伝子に異常がなければ、有効率は数パーセントに過ぎない。人の弱みに付け込んで、このような形で1回の注射で数百万円の治療費をぼったくることが許されていいのかと思う。

 

そういえば、私は見たことがないが、美容形成医のタレントが保険金詐欺で逮捕されている。一晩何百万円もホストクラブで遊んで浪費するような本人にも問題ありだが、そんな輩をテレビに出演させるメディアにも問題ありだ。視聴率が取れれば何でもありなのか!

 

話を戻すが、やはり医療の制度設計を根源から見直さなければ、詐欺のような医療行為は尽きない。免疫チェックポイント抗体のような副作用頻度の高い薬剤を安易に投与しているようだが、患者さんの安全管理を十分に行っているのか、疑問が残る。がんの専門医でない医師が、金儲けのために何の制限も受けずに利用していいはずがない。その行為は医師法に反しているわけではないが、医の倫理からは大きく逸脱しているように思えてならない。国立がん研究センターも学会も、こんな状況には目を逸らすだけで何もしない。

 

臨床試験の数が限られている日本では、藁にもすがる思いの患者さんや家族がたくさんいる。希望をつなぐ体制が十分でない日本の状況では、このような事態を回避するのは難しい。しかし、現行の並行輸入による薬剤の投与を可とするならば、それらの治療行為を十分にモニタリングするシステムの構築は絶対的に不可欠だ。現状を放置すれば、近い将来、大変な事態が発生するだろう。日本のメディアは広告主には甘いが、これでいいのか日本のメディアは???

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