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これでいいのか、年間医薬品貿易赤字額2.46兆円

3ケ月ぶりに日本に戻ってきた(訪ねてきたという表現が正確かもしれないが)。1週間の滞在なので、桜を見るのはむつかしいかもしれない。2012年3月末に日本を去った時には、きれいな桜が咲いていた。それから、あと2週間で4年になる。わずか4年でもあり、長い4年でもあった。

 

この間、がん治療は大きく変わった。もはや、患者さんの持つがんに対する免疫反応を疑う人はいない。外科療法・放射線療法・分子標的治療薬を含む抗がん剤療法・免疫療法と、患者さんに対する手立ては増えてきた。米国のデータだと、1975年には乳がんの5年生存率は75%程度であったが、2007年には90%を超えた。前立腺がんでは、60%強がほぼ100%、大腸がんでは45%が70%弱となっている。しかし、肺がんの5年生存率は、依然として20%程度だ。免疫療法で、この20%という数字は少しは改善されるだろう。

 

もちろん今でも、早期がんに対する外科療法は極めて有効だし、治癒に直結する。したがって、早期に発見するためのスクリーニング法は、絶対に欠かせない。特に、肺がん、すい臓がん、卵巣がんなどに対する早期がんスクリーニング法の開発は最優先だ。

 

そして、がん治療の質を高めるために不可欠なのが、各診療科の縦割りを取り払うことだ。私が医師免許を取得したあと、段々と専門制度が進んできた。医学関連情報は70日程度で2倍になる。この割合だと、約1年間で情報量が32倍になることになる。専門分野の情報をアップデートするだけでも、アップアップするような状況だ。膨大ながんゲノム情報解析は、いろいろな臓器に発生するがんに、遺伝子レベルでは多くの共通点が存在することを明確に示した。しかし、われわれ個人がすべてにおいて最新情報を自分の脳内に記憶しておくことは無理なのだ。人工知能を駆使して、縦割りを排除した医療の再構築が求められている。

 

特に、人工知能機能を最大限に生かして、ベストな治療法の提供をしていく制度の構築が不可欠だ。政治家の仕事は、未来を見据えて、国にとって最大限の利益につながる政策を断行していくことだ。高齢化社会を生き抜くためには、ゲノム医療・Precision Medicine・人工知能・国を挙げての創薬戦略・有効な疾患や感染症などの予防策を包括した取り組みが必要だ。

 

我が国の行政・研究者集団には最も苦手とする作業にチャレンジしない限り、今の、綻びに応急措置をするだけでは間に合わない。