マウイ島の非日常

昨日から、日米癌学会のため、マウイ島に来ている。この学会は3年に一度開催され、今回は第10回の記念大会だ。私は日本側の代表として1時間近い発表をしたところだ。シカゴ大学に在籍している今、日本の代表として発表することは躊躇したが、私は日本を愛しているので、日本側で発表することは名誉なことだと思って引き受けた。日本側の責任者である癌研究所の野田哲生先生は、かけがえのない親友であることも、大きな理由だ。

 

しかし、シカゴからマウイ島に来るのは大変だ。昨日、朝6時に家を出て、マウイ島のホテルには午後5時過ぎに到着した。時差4時間なので、15時間かかったことになる。東京からマウイ島に行く方が、時間が短い。4時間の時差というのも微妙に疲れる。また、温度差も摂氏では30度以上で、体がついていかない。

 

米国側の代表は、抗PD-1抗体の開発に関わってきたジョンス・ホプキンス大の方であった。すでに、多くの論文や発表をこのブログで紹介してきたので、内容は省く。大事なことではあるが、原発する臓器によって、その効果に大きな差があるのは、いまひとつ不明である。また、効果の個人差を見極める指標が、今一つはっきりしない。「最後の可能性を賭けて抗PD-抗体」を自費でも受けたいと考えられる患者さんや家族が多数出てくる(私自身や家族が同じような状況あれば、私も試みると思う)ので、これは、膨大な薬剤費の無駄につながる。

 

とはいえ、この日常的でない世界は気分転換になる。色彩の消えたシカゴの風景とは異なって、緑の木々、きれいな色の花が咲き誇っている風景は心が安らぐ。発表も終わったので、明日からは、のんびりと過ごすことができる。11月からこの学会の前まで、論文に追われていたので、一息つく絶好の機会だ。昼の時間帯(11時30分から16時30分まで)は、自由時間なので、クジラを見学するツアーにも行けるし、プールサイドでゆっくりすることもできる。もちろん、一番楽しいことは、旧友たちと会えることだ。

 

私の研究室に在籍していた人たちも、多数参加している。彼らの元気な姿を見るのも、私自身を奮い立たせる材料になる。振り返れば、自分の部下たちが、私をどう見ているのかを意識して過ごしてきた25年であった。もちろん、発表する際にも、規範となるようなプレゼンテーションに努めねばならない。当たり前だが、自分が自分に甘くしていては、厳しいことを注文しても説得力がない。でも、人に要求する以上に、自分を厳しく律することは簡単ではない。体力的にも、精神的にも、限界に近付いているような気がする。なんだか弱気だが、シカゴからマウイ島への移動が、思いの外、体にこたえているからなのだろうか?

 

気を取り直して、明日からも、頑張ろう!

 

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