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睡眠時間と肥満・糖尿病・高血圧

医療(一般)

今、ニューハンプシャー州の予備選結果が出だ。予想通り、民主党はバーニー・サンダース氏、共和党はドナルド・トランプ氏が勝利した。負けたヒラリー・クリントン氏と勝者のサンダース氏の演説を聞いたが、米国の政治家は、内容の是非はともかく、一部の政治家を除いて、とにかく演説がうまい。米国の将来をどのようにしたいのか、明確だ。日本のように、「XX内閣」を倒すと叫んでいるだけの政治家とは異なる。与党を罵倒するだけで、どんな国にするのかをはっきりと言えない政党に、二度と日本の将来を託さないだろう。少なくとも私はそのように思う。

さて、今日の内科のセミナーで「睡眠障害が肥満・糖尿病に及ぼす影響」の講義があった。最近のセミナーは、このブログで取り上げるには専門的な内容が多かったが、今日の内容は、病気を予防する観点で重要だと考え、紹介する。

セミナーは、米国内の睡眠障害を訴える頻度、肥満の頻度、糖尿病の罹患率の分布図を紹介するところから始まった。濃い色から、薄い色で示されたこの3種類の分布図は見事に重なっている。そして、50年前と現在の睡眠時間の比較に移った。50年前は平均睡眠時間が約8.5時間であったが、最近は約7時間になったそうだ。シカゴのデータでは6時間強だったそうだ。

そして、人種別に見ると、睡眠時間の短縮傾向は、白人よりも、ヒスパニック系、そして、アフリカ系米国人と、強くなっている。肥満、糖尿病の罹患率上昇が顕著に認められる傾向と一致する。種々のホルモン分泌量も睡眠時に増える。特に、ステロイドは寝ている間に多く分泌される。睡眠不足になるとステロイド値が低くなり、疲れを強く感じるのだろう。そして、「寝る子は育つ」という日本のことわざが、睡眠と成長ホルモンの分泌の関係から論じられた。徹夜で過ごすと、成長ホルモンが全く分泌されないようだ。やはり、子供には十分な睡眠が重要だ。

そして、ボランティアの協力によって得られたデータが紹介された。1日4時間の睡眠に制限した場合、糖を摂取した際のインスリンの分泌反応がかなり減弱する。人間は寝ている間に英気を養っているのだ。そして、睡眠不足になると、空腹を強く感じること、甘いものを欲するようになるとのことだ。そして、甘いものよりも、目が向くのが塩辛いものだようだ。ポテトチップが食べたくなるようだ。睡眠が不足していると、甘いものや塩辛いものの過食となり、肥満、糖尿病、そして、高血圧のリスクが高まるのだ。

自分の経験を振り返ると、糖尿病と診断されたころには、家族性大腸腺腫症の原因遺伝子探索研究で、かなり無理をしていた。まだ、40歳になっていなかった。しばらくは、食事制限だけでコントロールできていたが、それがうまくいかず、薬を飲み始めたのは、ミレニアムプロジェクトでストレスがかかり、睡眠が十分に取れなかったときだ。そして、決定的に悪化したのは、築地の新聞社にいじめられた時で、薬剤の量が一気に増えた。健康というのは、それをなくした時にしか、有り難さがわからないのが厄介だ。

午後10時前後に就寝する糖尿病患者と、1時過ぎに寝る糖尿病患者では、病気のコントロールの指標となっているHb1A値が6%台(うまくコントロールされている)、8%台(コントロールされておらず、合併症を起こしやすい)と大きく異なってくる。そして、もうひとつ気になったのは、勤務時間のシフトがある場合だ。上記の睡眠時間4時間に制限に加えて、睡眠の時間帯をずれさせると、インシュリン反応性がさらに悪化していた。夜勤などが定期的にある職業、海外を行き来している職業に従事している人は、睡眠不足にならないような配慮が特に重要だ。

もちろん、海外出張時の時差ぼけ対策も大切だ。睡眠不足時に、どうしようもない体のだるさを感じるのは、ステロイドホルモンを含めて、ホルモンのバランスが崩れているに違いない。高齢化社会の健康医療対策として、健康寿命を延ばすために、十分な睡眠時間を取るように啓蒙活動していくことは、最も安上がりにできることではないのか。タバコと違って、反対する人はいないだろう。

来週は、日本癌学会―アメリカ癌学会合同会議のため、マウイ島に出張だ。4時間という時差は結構微妙だ。講演を開始する午後6時は、シカゴでは午後10時で、頭の回転が急激に遅くなる時間帯だ。私は朝型なので、午前6-7時に回転をトップスピードに持っていくのは難しくないが、この時間帯は苦手だ。ステロイドや成長ホルモン(もう分泌は止まっている?)などをピークに持っていけるように注意しなければ!

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