新規抗がん剤開発の停滞?;2015年米国FDA承認を受けたがん治療薬

2015年新規抗がん剤開発は、免疫チェック阻害剤に大きな注目が集まった反面、独創的新薬という観点からみると全体的には足踏み状態であった。ちなみに、下記は2015年度に米国FDAが承認した抗がん剤を月別にしたリストだ。

 

2月

panobinostat(ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤)ノバルティス;多発性骨髄腫

palbociclib (CDK4/CDK6阻害剤)ファイザー;ER陽性・HER2陰性乳がん

lenvatinib(キナーゼ阻害剤―VEGFR2/VEGFR3)エーザイ;甲状腺がん

 

3月

nivolumab(抗PD-1抗体)BMS 転移性扁平上皮肺がん

dinutuximab(抗GD2抗体)ユナイテッド・テラピュテクス;再発リスクの高い神経細胞芽腫

 

7月

sonidegib (ヘッジホック経路阻害剤)ノバルティス;基底細胞がん

 

10月

talimogene laherparepvec (腫瘍溶解性ウイルスーHSV1)アムジェン;切除不能再発メラノーマ

trabectedin(元は、ホヤの一種が作る抗腫瘍物質)ヤンセン;脂肪肉腫、平滑筋肉腫

 

11月

daratumumab(抗CD38抗体)ヤンセンバイオテック;多発性骨髄腫

cobimetinib(BRAF阻害剤)ジェネンテック;BRAFのV600EまたはV600K変異を持つメラノーマ

rifluridine and tipiracil (DNA合成阻害剤)大鵬薬品 転移性大腸がん

elotuzumab(抗SLAMF7抗体)BMS;多発性骨髄腫

ixazomib(プロテアソーム阻害剤)武田薬品;多発性骨髄腫

necitumumab(抗EGFR抗体)イライ・リリィ;転移性扁平上皮肺がん

osimertinib(EGFR阻害剤)アストラゼネカ;EGFRのT790M変異を持つ非小細胞肺がん

 

12月

alectinib (ALK阻害剤) ロッシュ;ALK陽性転移性非小細胞肺がん

 

一部はピカ新(ピカピカの新薬、全く新しい標的を狙った、画期的な独創的新薬)の医薬品があるものの、多くはゾロ新(改造型医薬品)である。ゾロ新は耳慣れない言葉かもしれないが、特許が切れたジェネリック医薬品(ゾロ薬)とは区別される。また、対象となるがん腫にも偏りがあり、がんの画期的新薬開発が少し足踏み状態であるようにも見える。しかし、実際は多くの画期的新薬が臨床試験途上にあり、今年、来年には、ピカ新の大きな波が押し寄せる可能性が高い。日本の企業(あるいは、その子会社)からの医薬品開発はあるものの、ピカ新ではないし、数十年同じような手法を繰り返しているものもあり、パッとしない。パラダイムシフトについて行っていない現状は変わらない。日本の基礎研究の成果に見向きもしなかった影響だ。

 

2015年の貿易統計指標(速報)が、10日後くらいに財務省から公表されるが、医薬品貿易赤字額が2兆円を突破する可能性が高い。我々の成果だけでなく、文部科学省の「革新がん」研究の成果が、日本発のピカ新医薬品につながり、この膨大な赤い数字を黒い数字に塗り替える時代につなげたいものだ。

 

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