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立ち上がれ、日本の医学・医療

医療(一般)

4泊6日という短い旅からシカゴに戻ってきた。今日のシカゴは最高気温が16度と予測されている。過去最高気温記録は11度なので、大幅な更新だ。空港を出てリムジンを待っている間も、外は暖かかった。そのためか。霧が深く立ち込めていた。

 

短い旅だったが、多くの方と話をする機会があった。メディアの方、研究者仲間、私の研究室で働いていた医師・研究者たち、官僚の人たち、そして会社関係者。皆、日本の現状に危機意識を持っているが、その危機を乗り切る術が見つからないで混乱しているようだ。最大の問題は、危機を共有している割合が低いことだ。私に何かができるわけでもないが、舵取り役を失った漂流船のように映った日本の姿は悲しい。特に、私の世代より下の世代に元気がないのが気にかかる。

 

日本に戻る前日、シカゴ大学の内科教室は、外部評価委員会の評価を受けた。元スタンフォード大学医学部長、元ペンシルバニア大学医学部長、元エモリー大学医学部長という錚々たるメンバーが評価委員だ。内科といっても13部門もあり、教授数も100人程度だ。私は、当初、面接を受けるメンバーには入っていなかったが、大学が調べたところ、h-index(詳細は省くが、論文引用数の高さをはかる指数)が158と内科職員で最も高い研究者だったようで、最近になって面接のメンバーに加えられた。

 

評価委員のメンバーに、東京大学や理化学研究所内のセンターのリーダーシップポジションにいた人間として、シカゴ大学をどう見るのかと鋭く、微妙な質問が、飛んできた。横にはオンコロジーの責任者がいたが、気にせず、何点か指摘した、最大のポイントは、「若い医師や研究者には聡明で優秀な人がたくさんいるが、総じて、穏やかな日のミシガン湖で泳ぐことに慣れているように安閑としており、波の高い太平洋で泳ごうというチャレンジ精神に欠けること。また、太平洋で泳ぐ気持ちになっても、それを教え、支援する体制が欠如している」に尽きる、と話をしながら、日本の若者のことを考えた。

 

最近の若者は留学を嫌う人が多い。私はすでに米国で9年近く過ごしている。人生の約15%だ。米国には多くの外国人が集まっているので、単に米国に滞在するだけでなく、多くの異なる文化に接することができる。これは、極めて重要だと思う。異文化の人たちは、当然ながら、物事に対する視点が異なっていることが少なくない。違った角度から考える、頭の柔軟性を見につけることは大切だ。Bしか知らないのでBを選択する場合と比べ、A・B・C・・・・・と多様な選択肢が頭の中にあり、その中からBという選択をする場合、複数の選択肢の中から選択するのだから、Bという結論がもっとも合理的である可能性は高い。

 

知識・経験が限られた人間が増えてくることは、最終的には、国全体の活力が失われるに決まっている。日本で話をすると、「仕方がない」という諦めの言葉をよく耳にする。諦める前にすることはたくさんあると思うのだが、どうも、多くの選択肢を考えつかない人が多い。私が提言しても、「そんなことは、今の日本では無理ですよ」と返ってくる。根性がないのだ。

 

日本の医療は多くの課題を抱えている。これらの課題を乗り越えなければ、医療の質は低下し、医療崩壊の引き金となる。私には、医療崩壊を回避し、欧米と競争するための方策も頭の中でできている。来年には、日本が世界に医療をリードするために、私ができることをやってみたい。

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