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I型糖尿病患者の死亡で悪魔払いの男が殺人罪で逮捕??

医療(一般)

前回、私が米国で遠隔診療することが可能かどうかについて触れた。日本の医師法は日本国内での診療行為についてカバーしているので、米国在住の私は、その法律には縛られないが、逆に非常勤の肩書で診療することもできないようだ。米国では医師免許を持っていないので、米国の病院に籍をおいて、診療に関与することはもちろんできない。ただし、最終的な判断を主治医に任せるという形ならば、医療相談の形として対応できるようだ。築地の新聞社は文句をつけるかもしれないが、相談を妨げる権利など、もちろんない。その新聞社を含め、個人的に知己のある多くのメディア関係者からのがん治療に関する相談は、これまでに数え切れないほど受けている。どう実現するか、慎重に考えてみたい。

 

と思いを巡らせている時に、I型糖尿病を患った7歳の男児にインスリン治療を受けさせず、死に至らしめた悪魔払いの男が逮捕されるかも、というニュースが目に飛び込んできた。糖尿病にはI型とII型があり、ほとんどの糖尿病はII型であり、成人になって発症する。I型の糖尿病は、大半が子供に発生するもので、自己免疫反応によって、インスリンを作る膵臓のベータ細胞が破壊されて、インスリンが作れないために血糖があがり、糖尿病となる。すでに、遺伝的な要素が大きく関わることがわかっている。インスリンを作れないために、治療にはインスリンの投与が「絶対的に」不可欠である。成人に利用されるような糖尿病治療薬は無効であり、インスリンが投与されなければ、高血糖によって、糖尿病性昏睡に陥り、放置すれば死に至る。

 

ニュースを読む限り、この子供の患者は医療機関でI型糖尿病と診断され、インスリン治療を受けていたようだ。それならば、両親は、医療機関から、インスリン治療が不可欠であるとの説明を受けていたはずである。それにもかかわらず、逮捕された男が、悪魔に取りつかれているのが原因だと言って、悪魔祓いを勧め、治療を受けさせなかったのが、殺人容疑にあたるとのことだが、私の頭は?????だ。治療を受けさせなかったのは、親の判断ではないのか?この祈祷師(?)の男が金銭を授受していたとはいえ、最終的な判断は両親がしたはずである。子供の年齢を考え、一般常識を当てはめれば、責任は、この訳の分からない男ではなく、インスリン治療を受けさせなかった両親が負うべきだと思うのだが、私の常識がおかしいのか?

 

もし、この男のしたことが殺人罪に相当するならば、抗がん剤治療は毒だと言って、がん患者から治療の機会を奪った医師は、殺人罪に問われないのだろうか?小さな子供が白血病に罹患し、もし、第三者が抗がん剤治療は苦しいのでやめた方がいいとアドバイスした場合、この第三者は治療機会を奪って死亡させたといって殺人罪に問われるのだろうか?

 

現在のように、ネットを通して多くの情報が簡単に入手できる社会では、I型糖尿病にインスリンが不可欠なことは容易にわかるはずである。医療機関でも説明を受けているはずだ。この男のしたことは詐欺行為であっても(信じる方がおかしいと思うが)、殺人と判断するのは、どこから考えても理解に苦しむ。

 

私には、無責任にがん検診や抗がん剤治療を否定する方がよほど罪深く思えてならない。

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