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米FDA、腎臓がんに対する抗PD-1抗体(ニボルマブ)を承認

米国時間11月23日付けで、米国FDAは抗PD-1抗体(ニボルマブ)を進行腎臓がんへの適応を承認した。mTORという分子の働きを阻害するエベロリムスとの比較対象試験の結果、優位性が示されたことを受けたものである。

 

この試験は、ニボルマブを2週間ごと、体重1kgあたりについて3mgの静脈注射を受けた群と、エベロリムスを毎日1回経口で10mgを服用した群との生存率を比較したものである。生存期間の中央値は、抗PD-1抗体群が25.0ヶ月に対して、エベロリムス群は 19.6ヶ月(p値は0.0018)であった。腫瘍縮小率は、21.5% 対3.9%、効果継続期間の中央値は、23.0ヶ月対13.7ヶ月と 明らかな差が認められた。

 

抗PD-1抗体治療を受ける前に、少なくとも1種類の抗血管新生治療薬を受けた406人の患者における有害事象情報も報告されている。20%以上の頻度で認められた有害事象としては、脱力感、咳、吐き気、皮疹、呼吸困難、下痢、便秘、食欲不振、背部痛、関節痛があげられている。30%以上の頻度で認められた、治療前と比べて悪化が認められた血液・生化学的検査異常としては、クレアチニンの増加、リンパ球減少症などがある。某新聞社が誤解すると困るので、念のために付け加えておくが、腎臓がんそのものの悪化に伴うものが多く含まれるので、「有害事象=薬の副作用」ではない。

 

重篤な有害事象は47%の患者で認められた(繰り返すが、副作用と同義語ではない)。決して低い数字ではないが、この治験に登録された患者さんの条件で、20%の腫瘍縮小率、半年近い生存期間の延長は大きい。2%以上の頻度で認められた重篤有害事象は、急性腎障害、胸水、肺炎、下痢、高カルシウム血症であった。19人が治療開始から30日以内に死亡しているが、15人は病気の進行によるものと判定されている。残りの4人は肺炎、自殺、心不全、心筋梗塞によるものだった。免疫異常が関連する有害事象としては、肺炎、下痢・腸炎、肝炎、腎炎などがあげられていた。

 

いずれにせよ、この免疫チェックポイント抗体の勢いは止まりそうにない。しかし、この高額な薬剤をうまく使い分ける方法を考えないと、医療保険制度の破綻は不可避である。

 

このような中で、米国に本社を置いている製薬企業のファイザーとアイルランドのアラガンが合併に合意したとの報道があった。形式的には、アラガンが、ファイザーを合併するようである。なぜ、小が大を飲み込むのか。答えは簡単で、本社をアイルランドに移し、税金を安くすることを目論でいるようである。米政府などがこれを批判しているようだが、この成り行きが見ものだ。特に、トランプ氏がどのような発言をするのか注目だ。

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