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大規模データ処理で理研のスパコン「京」が1位????

医療(一般) 雑事

読売新聞に、「スーパーコンピューター(スパコン)が大規模データを処理する性能を競う国際ランキング「グラフ500」で、理研のスパコン「京」(神戸市)が1位になった」と理化学研究所が発表したとあった。これは、複雑な解析を行う能力の指標で応用の幅広さを示すものだとのことだが、だからといって、単純な計算速度の順位が世界4位であることには変わりがない。

自動車の馬力競争をしていて、馬力競争では敗れて4位になったと思ったら、「燃費は1位でした」と負け惜しみを言っているようなものだ。そもそも、蓮舫議員の仕分けで問題になったのは、「単純な計算速度で1位を競う必要があるのか」という点であり、こんな発表をしていては、計算速度を競う必要がないのでは?と疑問を持たれるだけだ。今度は「百京」(1京の百倍)を目指すと言っているようだが、なぜ、それが必要なのかが霞んでくる。何が重要なのか、何が求められるのかを、自ら不鮮明にしているだけだ。勝負するときは、自分の宣言した土俵(目標)で、正々堂々と勝負すべきだ。こんな潔さに欠ける発表は、残念だ。

私は、高速のコンピューター計算能力は「人工知能」開発に不可欠だと思う。私の知人のJun Wang氏が、Beijing Genome Institute(BGI-北京ゲノム研究所)の社長を辞めて、先月、人工知能の会社を立ち上げ、中国のメディアで大きく取り上げられていた。彼の関心のひとつが医療への応用だ。ゲノム情報を含めた、膨大な医療・医学情報を有効活用することは、より効率的で安全な医療の確立と高齢化社会にとって不可欠だ。病気の予防、早期診断、確実な診断、治療薬の選択、副作用の回避、そして、いろいろなハンディキャップを持つ患者さんの補助、介護ロボットなど人工知能は際限のない可能性を持つ分野だ。医療費の有効活用だけではなく、大きな経済活性化効果を生むのは確実だ。

しかし、このような大きなインフラの整備は、日本がもっとも不得手とする所である。病院での電子カルテ化が進んでいないが、これも企業の利権、役所の権限などを整理しないままに進めたために、統一化ができなくて頓挫しているのが大きな要因である。大震災が起こった時に、患者さんが診療情報を失って不利益を被らないためには、どこにいても診療情報にアクセスできるようにすべきだ。そのためには統一化した電子カルテの整備が必要だが、まったく対応できていない。平等、自由な競争という甘い耳障りのいい言葉を優先させるのはいいが、最後はぶつかり合い、譲らず、足を引っ張り合い、座礁するのが常である。

コンピューターの計算速度を競うのはいいが、その成果として、どのような社会を実現し、国民にとってどのような利益が期待されるのか、もっと大きな設計図をもとに議論しなければ、生産的な議論になるはずがない。国家全体の利益に関連する事業は、責任を明確にしてトップダウンで物事を進めていかなければ、絶対に成功しない。人を乗せた人工衛星や人工知能など、トップダウンが求められる分野では、すでに、米国、中国などに大きな後れを取っている。どうするのか、日本は!

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