読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

サプリメント服用で救急外来受診!?

医療(一般)

3週間ほど前の「New England Journal of Medicine」誌に「Emergency Department Visits for Adverse Events Related to Dietary Supplements(サプリメントの服用差での救急外来受診)」という標題の論文が掲載されていた。一部の病院の調査を元に、サプリメントの摂取が原因で救急外来を訪れた患者が、米国内で年間どの程度いるのかを推測した結果を報告したものである。

 

近くのスーパーマーケットや大型薬局に行くと、溢れんばかりにサプリメントが並べられている。何の制約もなく、いくらでも購入することができる。過剰摂取は「過ぎたるは及ばざるが如し」は当然だ。また、効果の個人差もあるだろうし、製品の品質(安かろう、悪かろう)などを考えると、摂取過剰でなくともアレルギー反応のようなものが起こっても不思議ではない。論文で推測されていた、サプリメントが原因と思われる、米国内での年間の救急外来受診者数は、約23,000であった。目の玉が飛び出るような米国の医療費を考えると、救急外来を訪れた患者さんたちは、軽症とは思いにくい。

 

原因となるサプリメントは、「ハーブや栄養補助食品」と「ビタミンや鉄などの微量栄養素」の二つに大別されていた(日本とは少し分類の仕方が異なるように思う)。「ハーブや栄養補助食品」群には、いわゆる痩せ薬、エネルギー補給、性機能改善などのサプリメントが含まれる。後者には、いろいろなビタミン剤や鉄、カルシウムなどが含まれる。

 

実際の調査対象となった病院を受診した、3667名のうち、400名(約11%)がサプリメントによる副作用、アレルギーで入院する事態になっていた。全体の内、過剰摂取が原因と判定されたのは、わずか10%程度であり、副作用やアレルギーと考えられるものが大半だ。年齢別に見ると、最も多いが4歳以下で、20%強である。おそらく、小さな子供がお菓子などと間違って口に入れ、問題が生じたものと考えられる。米国では薬のボトルは、小さな子供が簡単には空けられないようになっているが、サプリメントのボトルはそうなっていないのかもしれない。

 

機能別で見ると、やせ薬が約25%、ビタミン剤が約17%、エネルギー補給が約10%と続く。鉄、カルシウム、カリウムが合計で10%となっており、睡眠や精神安定に関係するものは約3%だ。やせ薬は3:1の比で女性が多い。症状別で見ると、「ハーブや栄養補助食品」のうち、やせ薬では、動悸や胸部痛などの循環器症状が約43%、頭痛、めまいなどの神経症状が約32%、吐き気や嘔吐などの消化器症状が19%、アレルギー症状(軽度―中等度)が14%、不安が13%となっている(複数の症状があるので、合計は100%を超える)。エネルギー補給では、動悸や胸部痛などの循環器症状が約46%、頭痛、めまいなどの神経症状が約34%、吐き気や嘔吐などの消化器症状が23%、不安が18%で、この二つには大差はない。

「ビタミンや鉄などの微量栄養素」が原因で救急外来を訪れた患者の症状は、アレルギー症状(軽度―中等度)が40%、嚥下障害やのどのつかえが24%、呼吸困難19%と症状がかなり異なる。神経症状が約7%、消化器症状は7%弱、循環器症状は4%弱と比較的少ない。

 

年間23,000人の救急外来受診を多いと思うか、意外に少ないと思うか、受け止め方は異なると思う。しかし、薬で、一定の割合の患者さんに副作用が出現するのと同様に、サプリメントでも思わしくない反応が出ても当然だ。日本では、全く野放しのようだが、しっかりとした調査が必要だと思う。

f:id:ynakamurachicago:20151111115900j:plain