日本の医療費がGDP比で増加!

今秋のシカゴは、一過性に寒かったが、平均すると暖かい。この時期はすでに東京の真冬並みの気温のはずだが、今週の前半は、過去の最高気温に匹敵する暖かさで、昨日は24度に達した。私のアパートでは、1か月前に冷房から暖房に切り替わっているし、南から傾いた陽が射しこむので、部屋は夏のような温度だ。しかし、日曜日の朝の予想最低気温は1度なので、週末には平年並みの気温に戻る。寒さが恋しい。

 

今日の読売新聞に、経済協力開発機構(OECD)が医療費報告書を公表したとあった。「日本は、国内総生産(GDP)に占める医療費の割合が伸びているので、効果的に医療費を使う施策が重要」と、指摘されているそうだ。2005年には、OECD平均並みだったが、2013年にはOECD加盟34か国(平均は8.9%)の中では8番目で、その割合は10.2%だった。

 

このような記事を何も考えずに読むと、日本の医療費が急激に膨らんでいるかのような印象となり、医療費削減の口実に利用されそうだ。しかし、単にGDP比で議論をするのはおかしい。そもそも、高齢化率を考えれば、2005年の時点でOECD諸国の平均値であることから、その時点での医療費が低すぎると解釈すべきではないのか。しかも、2005年には20.2%であった高齢化率が、2013年には25.1%まで急上昇しているのであるから、OECD平均よりも1.3%程度しか上回っていないことを考えれば、上出来である。2015年には高齢化率は約27%なので、医療費は間違いなく増える。

 

また、記事には、保険でカバーされる医薬品の費用が、2009年以降、毎年約5%程度上昇しているとあったが、抗がん剤や抗体医薬品など高額な医薬品が続々と承認されているのだから、当然だ。しかも、増加し続ける医薬品が日本製であれば、日本企業の利益として税金の形で国家に還元されるが、そうなっていないことが大きな問題なのだ。今年度の医薬品輸入超過額は2兆円を上回ると予想される。2005年以降、輸入超過は急増しているおり、私はこの問題を指摘し続けてきた。しかし、今日においても、これに対する有効な手立ては、ほとんど打たれていないと言っていい。

 

そして、記事には医療費を有効に使う施策が必要とあったが、日本でそのような施策を考えている部署があるのだろうか。医療費を絞ることと、医療費を有効に使うことは、おのずから異なる。研究費をどのように有効利用するか、そんなことにだけ、頭をひねっていては、日本の状況は救えない。医療制度を含めて、大胆にメスを入れない限り、患部からの出血を止めることができずに失血死する、日本の現状は待ったなしを通りすぎ、次の一手を間違えばご臨終という切羽詰まった状況だ。

 

とシカゴから警鐘を鳴らしていても、日本には届きそうにない。もっと、行動を起こさなければならないと気が逸る。小春日和を楽しんでいる場合ではない。

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