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岡山 夢の会話プロジェクト

岡山大学付属病院で「岡山 夢の会話プロジェクト」外来が開設された。これに積極的に関与したのが、私の孫弟子に当たる、岡山大学医歯薬総合研究科の小崎健一教授だ。舌がんのために切除された舌の機能を補助する「人工舌」によって、会話を取り戻すためのプロジェクトだ。といっても、小崎教授は「人工舌」を作る側ではなく、患者として参加している。広島大学の歯学部を卒業後、がんの研究者となり、東京医科歯科大学を経て1年半ほど前に岡山大学に着任したばかりだ。

 

昨年の5月に舌がんの診断を受け、3度の切除手術によって、会話や食事が困難となった。誠実で責任感が強い彼には、会話がうまくできないことで、大学教授として十分に責任を果たせないことが負担だったに違いない。何とか会話を取り戻したいと、医工連携によって、自分と同じ思いをしている患者さんのために貢献したいと立ち上がったのだ。

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がん治療を続けながらも、人工舌の改良に向けて、懸命に闘っている姿には胸が打たれる。山陽新聞に彼の「(がんの)創薬の夢はかないそうにないが、歯科医師、がん研究者、患者という3つの立場を経験した人はそういないはず。その立場でしかできないことを精いっぱいしたい。すこしでも誰かの役に立てれば幸せ」という言葉が掲載されていた。がん研究者として、がんと言う病気を十分に理解した上で、しかも、自分の病状をわかったこの発言には重みがある。創薬の夢がかなう日まで、頑張って欲しいと心から願っている。

 

私の知るがん患者の大半は、「自分のがん治療には役に立たなくてもいい。他の患者さんの役に立つと考えるだけでも生きる支えになるので、新しい治療を受けたい」と話す。米国と日本を比べると、米国にはたくさんの生きる希望となるロウソクの光が見えるが、日本は数も限られているうえに風前の灯火だ。いったい、政治は何をしているのか!ばか騒ぎをしている時間があれば、もっと国民が求めていることをしっかりと議論できないのだろうか。日本では年間約35万人ががんで命を落とす。希望の光を求めても、それを見出すことが難しい。そんな国でいいのか!

 

「数がすべてなら議論も民意もいらなくなる」と言っていた議員もいたが、「民主主義は、最後は数で決着するルールなのだ」。民意が民主党を見捨てた現実をどう受け止めているのか、理解に苦しむ。民主党に託した民意を、見事に裏切っておいて、何を寝とぼけたことを言っているのだろうか。こんな訳の分からないコメントをしている議員には、是非、小崎教授の爪の垢でも煎じて、病気で苦しんでいる人のために、政治がどんな貢献ができるのか思いを馳せて欲しいと願わざるを得ない。