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別離の寂しさ

真夏のフロリダからシカゴに帰ると、シカゴは日本の10月下旬のような寒さだった。今朝の気温は16度しかなく、長袖の肌着とスーツを着ていても、肌寒く感じた。昨日は、オヘア空港に予定時刻より30分も早くランディングしてラッキーと思ったのも束の間、ゲートが空いていないというアナウンスがあり、結局、30分以上も待たされ、飛行機を降りたのは、予定時刻より15分遅れていた。日本と比べると、飛行機のキャンセル、遅延が多くてストレスが貯まる。日頃の行いが悪いので、私だけ、飛行機の運が悪いのかも知れないが?

 

さて、多くの研究員が研究室を去っていくことを以前にも触れたが、8月末日に、中国から留学している技術補佐の女性が、大学院博士課程進学のため、研究室を離れることになっている。これで、3年前の夏に在籍していた職員は全員いなくなる。本当に寂しい気持ちでいっぱいだ。彼女も同じように感じているようで、一人一人に別れを言うのは辛いと全員にメールを送ってきた。明日の研究室の会議の最後に挨拶をする予定だったが、悲しくなりそうで挨拶ができないようだ。そして、ユーチュープに、サザンオールスターズの「真夏の果実」のメロディーに乗せて、3年間の思い出の写真集を公開した(https://www.youtube.com/watch?v=uqTxU8kglI4)。彼女が高校生の頃に好きだった歌だそうだが、その頃の日中関係は穏やかだった。

 

1989年に米国のユタ大学から日本に戻って以降、400人以上の学生や技術補佐員との出会い、別れがあった。がん研究所に在籍していた頃は、部下に直接個人レベルで研究指導をしていた。個人的に触れ合う機会が多かったためか、研究員が異動していく際には随分寂しい気持ちになったが、人が増えると共に、日々の仕事に追われるようになり、人との別れを寂しく思う余裕もなくなった。

 

しかし、シカゴ大学に移った後は、研究室が小さく、雑用も極端に少なくなったので、個々の研究者と議論をする時間が長くなったためか、歳を取ったためか、人との別れが以前より寂しく感ずるようになった。上のランクの職を得たり、大学院や医学部に進学していくので、おめでたいことなのだが、やはり別れの寂しさは別物だ。

 

しかし、この3年間の結晶として、多くの研究室員が参加して書き上げた本がもうすぐ出版されるのは、嬉しい。もちろん、彼女も一つのチャプターを担当してくれた。Amazonですでに予約受付が始まっている。本のタイトルである「Immunopharmacogenomics(免疫薬理ゲノム学)」(略してIPG)と命名したのは、この私だ。あまり浸透していないのが残念だが。でも、今後5-10年の間には、この研究分野が世界的にもきわめて重要になると信じている。免疫学・薬理学・ゲノム学の3分野の融合が、今後の医学研究に革新的な変化を引き起こすであろう。

 

そして、今年のバイオジャパン(10月15日12-13時)で、「Immunopharmacogenomicsのインパクト」のタイトルでランチョンセミナーをすることになった(http://www.ics-expo.jp/biojapan/main/2015seminar/annex/20-1.html)。日本癌学会と日本人類遺伝学会の二つの学会の間、日本に滞在する予定だったので、タイミングが良かったのでお引き受けすることにした。事前登録すると無料で参加できるようなので、是非、ご来場いただければと願っている。がんワクチン、骨髄移植後のT細胞の変化、クローン病での炎症部位でのリンパ球浸潤、悪性リンパ腫の組織浸潤リンパ球などのデータの紹介を通して、免疫薬理ゲノム学の重要性の一端を学んでいただければ幸いである。

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