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肥満と2種類の脂肪細胞(浪費細胞と倹約細胞)

シカゴは早くも秋風が吹くような気候だ。今朝は急いでいたので、自転車で通勤したが、上着を着ていたにもかかわらず、寒かった。気温は16度だったが、北風が吹き、大学に到着したときには、体の芯まで冷えるような感じがした。昨日は、私の部下が財布の盗難にあう事件が起きた。オフィスを1-2時間留守にした隙に、免許証、グリーンカード(米国の永住権カード)などの入った財布が持ちさられ、気づいたときには普通預金口座にあった現金の大半が銀行から引き出されていた。一人暮らしだと、この時点で、お金も引き出せず、カードも使えず、まったくの無銭状態で、彼は別の意味で、心底から寒くなったと思う。

さて、理化学研究所元研究員の小保方晴子氏が人権侵害を申し立てていた、放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送人権委員会は、STAP細胞に対するNHKのドキュメンタリー番組「NHKスペシャル」について審理入りしたとの報道があった。これに対して、NHK側は委員会に「申立人がES細胞を盗み出したなどと断定していない」と反論したそうだ。NHKの反論の詳細はわからないのが、断定しなくとも、ほぼ黒を匂わすような内容だった。断定しなかったから、人権侵害でないというのもおかしな話だ。

私は小保方氏に対する同情は全くない。誰がES細胞を盗んで混入させたのかという真相が闇に包まれた状況を逆手にとったのだろう。しかし、私はNHKの番組だけでなく、STAP報道を「人権侵害」の観点から検証する責任が、メディア全体にあると思う。最初の派手な記者会見に対する反動が働いたのかもしれないが、責任者の一人が死を遂げるまで、魔女狩り的・感情的な報道が続いたのは事実である。報道関係者は、「正義」を口にするが、その背後に「販売部数」や「視聴率」がちらつくことが多い。

このSTAP問題の場合、本来は科学者が科学者自らで真相を明らかにすべき問題であったにもかかわらず、科学者がメディアを一体となって騒ぎ立て、真に科学的な検証をするまでに時間がかかったことが問題を大きくした側面は否めない。しかし、いい加減に、この非生産的な問題は終わって欲しいものだ。

と、本題に入るのが遅くなったが、昨日の「New England Journal of Medicine」誌のオンライン版に、肥満に関係することがわかっていたFTO遺伝子が、どのような仕組みで肥満を引き起こすのかを示すデータが紹介されていた。この遺伝子は2007年に肥満のリスクに関係することが報告され、理研のゲノム医科学研究センターも日本人の肥満に関係することを翌年に報告している。

脂肪細胞には、「熱産生型褐色脂肪細胞」と「エネルギー保存型白色脂肪細胞」があるそうだ。FTO遺伝子の遺伝子多型のタイプによって、前駆脂肪細胞の分化(どちらのタイプの脂肪細胞になるのか)が左右され、肥満のリスクを高める遺伝子タイプの場合、エネルギーを体内に蓄えるタイプの脂肪細胞が増えてくる。遺伝子がリスク型の人では、非リスク型の人に比べて、脂肪細胞のサイズが大きく(脂肪を蓄積する倹約型細胞)、ミトコンドリア数が少なくなっている(エネルギーはミトコンドリアで産生されるので、これが少ないとエネルギー(熱)を生み出しにくい)。7倍程度熱産生能が違っていると示されていた。

自分を振り返ると、今よりはるかに太っていた頃は、非常に暑がりで、クーラーでガンガンに部屋を冷やしていたが、今は、周りの人が平気な温度でも寒く感じるような状況である。きっと、減量した際に、熱産生型の浪費脂肪細胞が選択的に減ってしまったのではないかと思う。1週間前には暑く感じていたオフィスが、外気温に関わらずクーラーが入っているためか寒く、足が冷えた感じがする。背中にホッカロンを張って1日を耐えた。人間の体には、いろいろな調節機構が備わっているのだと感心すると同時に、一旦バランスが崩れると、適応するのが大変だ。

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