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医薬品輸入超過;半年で1兆円超の貿易赤字

2015年度上半期の貿易統計(速報値)が公表された。37兆8080億円の輸出額に対して、39兆5330億円の輸入額で1兆7251億円の貿易赤字となっている。昨年下半期の赤字額5兆1879億円に比べると貿易赤字は改善している。その中で、依然として拡大しているのが、医薬品の貿易赤字である。

上半期の医薬品輸出額は2199億円に対して、輸出額は1兆2812億円で、医薬品貿易赤字額は1兆613億円となり、このままでは年間赤字額が2兆円の大台を超えるのはほぼ確実な様相を示している。貿易赤字分の約60%相当が、医薬品によるものである。がんの分野での日米での新薬開発状況を見る限り、赤字額の拡大に歯止めがかかることを期待するのは難しい。

国としての戦略に欠けることは何度も指摘してきたが、新しい組織を作っても、限られた予算で「とりあえず様子を見る」ような規模で施策を実行していては、日本の国家経済の活性化につながるような成果は、絶対に期待できない。今のままでは、わずかで、一時的な景気の刺激になっても、米国のようなバイオ医学産業が経済に寄与し、雇用を生み出すことにはつながらない。

もうひとつの問題は、日本の研究者や霞ヶ関の官僚の大半は、限られた予算で何ができるかを考えてきた習性が身についているので、国家が必要とする大目標を実現するために、何が必要かといった大きな視点で構想を練ることができない点である。各省庁から集めた予算を、各省庁に配分するような仕組みでは、張りぼての虎に過ぎない。

この貿易赤字の拡大を見れば、有効な手立てが打たれていないことは明白である。戦闘機と竹槍の戦いに、いくら竹槍を追加で投入しても勝ち目はない。もう一度根本的な戦略の構築と体制の革命的な改革、そして、それを成し遂げるための予算を投入して欲しいと願っている。日本が医療で世界と伍して競争するには、千億円単位の予算ではなく、兆円単位の予算投入が不可欠であると思う。

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