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新国立競技場問題

雑事

報道を見ていて不思議なのが、新国立競技場問題だ。1300億円の予算が2500億円まで膨らんだのがけしからんといって白紙に戻ったようだが、これも前回の介護に関する教科書問題と同じで、どこに問題があるのかはっきりしない。工期の問題(間に合うのかどうか)や技術的な問題(敷地内に収まるのか)なら仕方がないが、高すぎるかどうかを今頃議論するのはおかしな話だ。

計画した当時と、現在とでは、円の価値が相当異なる。私がシカゴに移った当時(3年少し前)、1ドルは77-78円だったが、今は、1ドル123-124円である。量販店で少々高いビールを買っても1本1ドル=80円程度、コーラは1本20セント=16円で、「安~い」と思った。今のレートだと、125円と25円程度で、依然として日本と比べると安いが、3年前のお得感が薄れた。日本にいるとわからないだろうが、私のような貧乏性の人間は、米国に住んでいても常に円に換算して、高いのか、安いのかを考えているので、米国の物価は3年間で1.5倍になったと感じている。したがって、原材料をほとんど輸入に頼っている日本なのだから、1300億円の予算が1.5倍の2000億円程度になっても不思議ではない。

震災復興などで建築業界の人件費が上がっているようなので、それを考慮に入れれば、2500億円を「とんでもない高額に膨らんでいる」という議論は的が外れているように思う。そして、円安で日本の輸出産業は潤ってきているのだから、利益を上げている企業に寄付をしてもらって、みんなで盛り上げていけばと思うのは、私だけだろうか?国の威信をかけて、東京オリンピックを開催するのだから、国や東京都としてそれなりの覚悟が必要ではないのか。

どうもこの議論を見ていて聞いていて、高いか安いかという感情論で、「世論」という得体のわからないものを焚きつけて、政権批判に利用しているだけにしか思えない。「国を、国民を守る」ための議論を、「戦争の準備をする」議論にすり替えて、「世論」を煽っている人たちを見ていると本当に日本が心配になる。「安倍政権 対 世論」の闘いを宣言していた政治家がいたが、その世論の期待を見事に裏切って、選挙で大惨敗をしたのを忘れてしまったのだろうか?!安っぽい世論の醸成に時間を費やすのではなく、もっとどっしりとした現実感のある議論ができないのだろうかと思う。

誰だって戦争などしたくないし、血が流されるのを見たくない。家族を失った肉親の悲痛な姿など見たくはないはずだ。しかし、日本にいると安全であることが当然のように思っているのだろうが、対価を払わなければ安全は維持できない。感情的に煽っている人たちに、シカゴの危険地域を夜遅く無防備で歩いて無事でいられるかどうか試して欲しいものだ。日本が憲法9条を掲げても、外国がそんなものを気にかけなければ、何のお守りにもならないのではないか。日ソ不可侵条約は守られたのか?

現実は厳しい。自己の理想主義を信じているだけでは、いつか、多くの日本人の血が流される危険性には思いが及ばないのだろうか?

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