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日本のトイレがおもてなし文化?

雑事

産経新聞の「日本のトイレを海外へ」おもてなし文化を発信…内閣府有識者委が提言、の見出しを見て、恥ずかしい思いがした。確かに、温水洗浄機など気持ちはいいし、紙の節約にもつながるが、これは「おもてなし文化」とは異質だろうと思う。どうせ役人が考えたことだろうが、米国にも温水洗浄器を販売している会社があるし(私が購入したものは、1年で水が漏れ出し、日本製に買い替えたが)、欧米で普及しない理由は文化的なものだと紹介したニュースを見た記憶がある。

 

私は家では温水洗浄機を利用するが、なんとなく抵抗があって、外では絶対に利用しない。世界中の国々には多種多様な文化・歴史があり、日本人の発想が海外に通用するとは限らない。私の予測では普及しないと思うし、これが成長戦略の一つになると聞いては、落胆するしかない。

 

こんなこと(と言っては博識も、良識も、常識もあるはずの有識者と呼ばれている方々に失礼だが)より、もっと他に日本の国として世界に誇りを示せることや、海外の人に喜ばれることがたくさんあるように思う。多くの国では、今でも食料不足で困っているところがたくさんある。ワクチンを提供すれば、感染症で命を落としている多くの子供の命を救うことができる。医療機器(特に診断用機器では、東芝、日立、オリンパスなど、世界をリードする技術も存在しているのだから)を提供して、診断する人材を育成すれば、数十年後には日本は感謝されるだろう。

 

ニプロやテルモといった技術を持った企業を支援して、開発途上国の医療を支援する方が、トイレの輸出よりもはるかに貢献度は大きいように思う。われわれが生きていくうえで優先度の高いものを成長戦略の柱に据えるべきであると思うが、報道で見る限り、健康・医療でどのように世界に貢献しているのかはっきりと見えてこない。ジェネリック医薬品を生産する工場を設置し、安価で医薬品を提供できる体制を作ることなども、命を守ることに貢献する。

 

また、成長戦略には短期的に日本の経済発展につなげる政策と、長期的に考えて日本と海外の国との絆を強めることにつなげていく施策が必要である。武力で威圧しても、心と心の絆は決して生まれない。自分の子供・親・兄弟の命を救ってもらえれば、その人たちは日本を好きになり、日本に感謝して、尊敬のまなざしを向けてくれるのではないだろうか。それは日本という国が持続的に発展していくためには不可欠だ。

 

残念ながら、経済産業省には世界的な戦略を持つ人材は多いが、金儲け主義が見えてならない。厚生労働省には守る姿勢の人材が多く、海外に目を向け、世界を語る人材は少ない。しかし、医療政策を世界戦略の中で考えていかない限り、日本に対する心の底からの信頼感は生まれてこないだろう。「損して得取れ」といった長期的な視野で、日本の誇りをどのように示すのか、是非、「有識者」に考えてもらいたいものだ。洋服の後ろに、拝金主義の越後屋の鎧が見えるのではなく、本当に相手の国情を慮った中での成長戦略に期待したい。

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