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「過去は変えられない」「夢を持って、明日を迎えよ」

雑事

今、羽田から北京に向かう飛行機の中で(昨日は1泊だけ東京に泊まった)、この原稿を書いている。どうも、最近は出張が億劫だ。空港で待つ時間が無駄に感じてならないし、移動に要する時間と出張するだけの意味があったのかどうかを秤にかけると、帰りの飛行機で考え込んでしまうことが多い。

 

唯一の利点は10時間以上にわたって、電話もなく、面談もないので、自分のことに集中できることだ。論文の校正などの仕事がたまっている時には、この時間は貴重だ。今回も、論文を2編預かっているので、時間が有効に利用できる(ひとつは、成田に着くまでに片づけた)。

 

しかし、最近は論文を書くことに以前ほど熱く燃えることがなくなってきた。すでに、1300編以上の報告しているため、自分の心の中で相対的に一つ一つの価値が小さくなってきているのだと思う。歳をとると1年、1日が短く感ずるのと同じようにと言っても、若い人にはなかなか実感できないのかもしれないが、感覚的にはそのようなものだ。

 

といっても、若い研究者の人生を左右するので、その場その場では気合を入れて真剣勝負している。昔は、審査員からの理不尽な評価に、頭から湯気が上るほどカッカとしたものだが、最近は、不当なコメントに腹が立たなくなった。時にはEditor(編集責任者)に「こっちは真剣にやっているのに、こんなレベルの低い審査員のコメントを送って恥ずかしくないのか」と電話で激しく言い合ったこともあるが、もちろん、歳を取って人間が丸くなったのか、そんな気力は残っていないのか、近年はおとなしい。

 

科学の世界で最近感ずることは、論文の審査(評価)の質が落ちてきていることだ。私も他人のことは批判できる立場にはないが、とにかく忙しすぎるのだ。だからと言って、手を抜いていい言い訳にはならないが、かなり手を抜いている人が増えてきたように思う。これは科学の質の観点から極めて重要であり、このままでは質の低下は急速に進むだろう。

 

と、このブログを書き終わらないままに北京につき、今、北京のホテルで続きを書いている。予想はしていたが、快晴のはずなのに青い空は見えない。窓ガラスには黒い汚れが点々とついているので、朝早く目が覚めたが、散歩する気にはならない。

 

中国ではこれまでもいろいろと日本で体験できないことを体験した。今宿泊しているホテルは結構評価が高かったが、廊下も部屋もたばこ臭い。そして、驚いたのは、シャワー室だ。「Pull」と書いてあったので、引っ張ったがあかない。少し、力んだが、全くダメ。もっと力を入れたが、何ともならない。そこで、ふと見ると、どうも手前には開かない構造になっている。そこで、押してみると簡単にドアが開いた。ここまで堂々と「Pull」と書かれていると疑いを持たなかったが、やはり中国かと納得する。

 

北京に来るたびに、走っている車のレベルが上がってきており、高級車が多く、経済の発展が見て取れる。残念ながら日本の車は非常に少ないし、タクシーはすべてヒュンダイのものだ。高速道路の渋滞は年々ひどくなっており、大気汚染の問題は間違いなく健康被害につながる。中国では、年間の肺がん患者数は70万人と、世界の肺がん患者の半数に及ぶが、今後さらに増えてくるだろう。胃がんは依然として、日本、韓国、中国にとって大きな問題だ。これらのがんの克服に向けて協力体制を築き、政治的な緊張感を和らげることができないものかと思う。

 

今回の出張で、最も印象に残ったのは、昨日の夕食会で、隣に座った企業の社長だ。ラジオ波治療の機器を開発した人で、北京郊外に7000平方メートルの豪邸を持つという。結構話がはずんだ中で、彼が突然、「私は何歳と思うか」と聞いてきたので、70歳前後かなと思いつつも、失礼があってはいけないので、「60代半ばか」と答えた。すると、「81歳だ」と嬉しそうに返事が返ってきた。「どうしてエネルギシュで、そんなに若く見えるのだ。」と問い返したところ、「夢を持ち続けることだ。過去は変えられないので、それを悔やんでも意味がない。しかし、明日は自分次第で変えられる。」「周りが変わらないことを嘆かず、自分が変わればいい」と熱く語った。そうだ。不満からは何も生まれない。夢に向かって自分を前に進めていけばいい。

 

あと2時間後には、シカゴに向けて出発する。ここのホテルを出て、成田経由で家にたどり着くまで、22時間の予定だ。3泊5日の出張は、やはりきつい。かつては1泊3日で東京―パリーニース(1泊)-パリー東京でも平気だったが、その頃が懐かしい。と嘆いても、北京に来ているという事実(過去)は変えられない。我が家に帰るためには、22時間耐えねばならない。自分の夢を追いかけるために、気合を入れて出発準備をしよう。

PS: 中国ではうまくつながらず、結局、成田空港でこれを投稿することになってしまった。まだ、残り約14時間弱だ。

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