読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

腫瘍免疫ゲノム学―9;米国癌学会

医療(がん免疫・免疫ゲノム学)

今、米国癌学会に参加するため、フィラデルフィアにいる。シカゴからフィラデルフィアに向かう飛行機の中で十数人の日本人を見かけた。6-7人の人に頭を下げられたが、顔と名前が一致したのは2人だけだ。こちらも頭を下げたが、申し訳ないが相手が誰だかわからない人の方が多い。浜松医大の知人からは「ブログを見ていますよ」と声をかけられた。

 

かつてアプライドバイオで勤務していた知人と夕食を共にしたが、結構おいしかった。共に60歳を過ぎ、世の中に貢献したいという話で盛り上がった。日本にこだわる必要はない。アメリカでも、中国でも、韓国でも、タイでもいい、がん患者に何か貢献したいと思う。夏には具体的なことが公表できるかもしれない。特に肺がんなど、世界の肺がん患者の50%は中国にいるので、肺がんで何かするなら中国だ。人生最後の大ばくちを打ってみたい。

 

今日のフィラデルフィアの最高気温は28度で暖かいを通り越して、暑い気候だ。こんな気候が懐かしい。私の滞在しているホテルは自由の鐘から2ブロックのところにあり、ロッキーを撮影したフィラデルフィア美術館前の大きな通りからも近い。久しぶりのフィラデルフィアなので、美術館前の通りを少し散歩してみたいと思う。

 

肝腎の学会だが、やはり、免疫療法のセッションが多くなっている。免疫チェックポイント抗体の成功は大きい。有効率は決して高くないのだが、進行がんでも一定の効果があるので、インパクトは大きい。今、注目されているがん細胞で変異している遺伝子異常を標的としたワクチン医療、個別化ペプチドワクチン療法は、コストがかかる点を除けば、今後のがん医療を考えるうえで、極めて重要だ。日本ではまだまだだが、世界の動きは意外に早い。この影響で、これまで数百遺伝子に限られていたがんのゲノムシークエンスが全ゲノムエキソン解析へと急展開している。

 

そこで、注目に値するのが、3日前に公表された「Science Translational Medicine誌」の論文だ。いくつかの企業では、がんでの遺伝子異常を調べる場合に、がん組織を調べるだけで、正常組織を調べない場合が多い。いろいろなデータベースと照合して、がん細胞で起こった異常なのか、遺伝的な多型か区別しているのだが、これでは間違いが多いと指摘した。どの程度の範囲で遺伝子を調べるかによるが、3分の1から3分の2で間違いが起こると報告されていた。これでは、利用すべきワクチンの予測にはとても使えない。

 

これまでは、薬剤の選択に関係する「Actionable Mutation」、すなわち、薬を選択する行動(Action)に関係するものだけに焦点が当たっていたが、免疫療法の進展によって今後の遺伝子解析の在り方が大きく変わってくると予測される。

 

明日、明後日、どんな発表があるかわからないが、日本時間の火曜日には速報を伝えしたい。

f:id:ynakamurachicago:20150419105913j:plain