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続く理化学研究所の迷走

STAP関連

読売新聞に「理化学研究所は20日、STAP細胞の論文で4件の不正が認定された小保方晴子・元研究員に対し、英科学誌ネイチャーに論文2本を掲載するのにかかった費用約60万円の返還を請求すると発表した。」とあった。いかにも役所らしい玉虫色の裁定である。報道で見る限り、この費用は掲載にかかった全額なのか、一部なのかも定かではない。「公表した結果はでたらめだが、研究はちゃんとしていた」という解釈など、世間は納得するはずもない。

研究内容は別にして、小保方氏に対して論文掲載料を全額返還要求したならば、小保方氏に全責任があり、責任著者やセンター責任者に責任がなかったと理化学研究所が判断したことになる。これはどう考えても理屈に合わない。一般的には、筆頭著者(論文に最初に名前が載っている研究者)よりも、責任著者(研究に全責任を負うとされている記載されている研究者)の方が責任が重いので、小保方氏の過失、故意を問わず、責任著者も応分の責任を負うべきである。私は、故笹井氏は絶対に自ら捏造には加担していなかったと今でも信じているが、責任の一端は免れられるわけではない。もし、責任ある立場の人にも応分の責任を認め、掲載料の負担を求めたなら、当然ながら、それを含めて公表すべきである。

また、論文内容に不正があったとしても、誰がES細胞にすり替えたのかによって、小保方氏の責任の重さは、相当違ってくる。第3者が細胞を入れ替えたことに気づかず、知識が不十分でそれに振り回され、データの辻褄をあわせるために不正をしたのであれば、最大の責任は、このような犯罪行為をした人間であり、この場合はもちろん、全額を小保方氏に請求するのは無理がある。税関で麻薬を持ち込もうとして逮捕された場合、麻薬と知って持ち込もうとしたのか、第3者を信じて知らないままに持ち込んだのでは、罪の大きさは全く異なる。

結局、理化学研究所は「誰が、いつ、細胞を入れ替えたのか」という最大の謎を封印したまま、この問題を終結させようとしている。この謎を解明せずに、これに関わった研究者の過失の大きさを判断することはできないはずである。仮に第3者が故意に試料などを入れ替えかえたのが原因であれば、いくらチェック体制を整えても、今回の事件のようにあいまいな決着の方法を取っていては、同種の問題の再発を防ぐことは非常に困難となる。泥棒や殺人が間違ったことだと教育しても、警察という犯罪抑止力が働いていなければ、この種の犯罪は抑制することができないと同じである。

また、これでは面倒なことにっ頬被りして、トカゲの尻尾きりをして済ませたという一般社会の批判を拭い去ることは永遠にできないであろう。「再建の道、険し」である。

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